7月25日(火)に行われたボクシングのWBC&WBO世界スーパーバンタム級(55.3キロ以下)タイトルマッチ12回戦で、挑戦者の井上尚弥(大橋)が2団体統一王者スティーブン・フルトン(米国)に8回TKO勝ちを収め、4階級制覇(ライトフライ級、スーパーフライ級、バンタム級、スーパーバンタム級)を達成した。

 

井上がやや不利と思われていた一戦。見事な完勝劇だった。

 

そもそも「WBCだとかWBOだとか団体の名前がいくつもあるってなんだよ?」と思われた人はいるだろう。


 ボクシング界にはWBA(世界ボクシング協会)、WBC(世界ボクシング評議会)、IBF(国際ボクシング連盟)、WBO(世界ボクシング機構)という4つの主要団体があり、各団体がベルトを管理している。問題はファンやメディアの批判の的になっていてもWBAが一向にタイトル乱立を食い止める策を打ち出さないことと言われている。

 

それはともかく、井上はそのバンタム級の4団体統一を成し遂げたばかりか、階級を上げたスーパーバンタム級でいきなり王者と対戦し、勝ってしまうのだからスゴすぎる…

 

その井上のタイトルマッチと同時期に行われた、世界ウェルター級タイトルマッチで勝利を収めたテレンス・クロフォードという人物。井上とクロフォードの「パウンド・フォー・パウンド(PFP)論争」が過熱している。

 

【パウンド・フォー・パウンド(PFP)】

ボクシングや総合格闘技、キックボクシングなどの格闘技において全階級で体重差のハンデがない場合、誰が最強であるかを指す称号。権威ある米専門誌「ザ・リング」の初代編集長ナット・フライシャーによって、1950年代初期に造られた用語である。Pound for pound=PFPまたP4Pと略される。

 

 ボクシングの階級はミニマム級~ヘビー級まで全17階級が設定されている(下記資料参照)。一般的に軽量級ではスピードに優れ、体重が重くなるにつれてパワーが増していく。技量が同程度であれば、体重が重い方が勝つ可能性が高いというのが通説となっている。

 最重量級のヘビー級のチャンピオンが最強ということになるが、ではもし体重差がないと仮定し、全階級のボクサーが同じ条件で戦った場合誰が一番強いのかを示す指標がパウンド・フォー・パウンドである。現在では、多くのメディアが独自のパウンド・フォー・パウンドランキングを発表している。(サイト『THE ANSWER』参照)

 

今回の2試合が終わって、多くのメディアが、1位 クロフォード、2位 井上と発表している。

 

しかし戦う相手によってもこの順位は変わってしまうから、ボクサーの力量がそのまま出るとは言い難い。

 

私からの提案なのだが、スーパーコンピュータ(以下、スパコン)によるシュミレーションをしてみてはどうだろうか。サッカーの2022カタールW杯でもスパコンの計算によって予想結果を算出し、それによるとアルゼンチンが優勝。実際もアルゼンチンが優勝している。

 

ボクシングでするなら、例えば、①全ての階級のチャンピオンの基本となるデータ(パンチ力、リーチ等)をスパコンに入力。②スパコンでチャンピオンたちを同じ体重、同じ身長にする。公平を期すため、チャンピオン1人につき17階級それぞれに合わせた17通りの選手をモデリング。③自動的ゲーム形式でチャンピオン同士をそれぞれ100万回戦わせる。④結果を算出して世界最強を決定。

 

こうすれば文句は少なくなるだろう。しかし、もし自分が「最弱のチャンピオン」になっても面白くないな…

 

↑テレンス・クロフォード(左)と井上尚弥(右)

 

 

資料 全17階級

  • ヘビー級 90.719キロ(200ポンド)超
  • クルーザー級 90.719キロ(200ポンド)以下
  • ライトヘビー級 79.379キロ(175ポンド)以下
  • スーパーミドル級 76.204キロ(168ポンド)以下
  • ミドル級 72.575キロ(160ポンド)以下
  • スーパーウェルター級 69.853キロ(154ポンド)以下
  • ウェルター級 66.678キロ(147ポンド)以下
  • スーパーライト級 63.503キロ(140ポンド)以下
  • ライト級 61.235キロ(135ポンド)以下
  • スーパーフェザー級58.967キロ(130ポンド)以下
  • フェザー級 57.153キロ(126ポンド)以下
  • スーパーバンタム級 55.338(122ポンド)キロ以下
  • バンタム級 53.524キロ(118ポンド)以下
  • スーパーフライ級 52.163キロ(115ポンド)以下
  • フライ級 50.802キロ(112ポンド)以下
  • ライトフライ級 48.988キロ(108ポンド)以下
  • ミニマム級 47.627キロ(105ポンド)以下
 ↑赤字は井上が制覇した階級