先日参加した「ぼうさいこくたい2020」。

講師の方の言葉で印象に残ったものがある。

 

 「行政と一緒に考えていこう、というスタンスで」

 

環境省から改訂版のガイドラインが出されたのは2018年。

もう2年まえではあるが、それを形にするには相当な時間を要する。

「2年も前に環境省がガイドラインを出しているのに、行政は

 今まで何をしていたんだっ!」

と、何もせず自分が希望する形になっていないからと文句を言うのは

少し違うのではないかと感じる。

 

職員は市民のために多くの業務を抱え、日々忙殺されている。

災害時のペット対策にだけかかりっきりになれないのだ。

ましてや地域全体、全ての人の状況、環境を考慮する必要があるため

住民が何を、どういう形を望んでいるのかわからなくては動けない。

 

行政は国が決めたことを執行する役目がある。

一方、国民(市民)の声を上にあげ形にするという役目も担っている。

 

その「声」が行政に届かなければ、動きようがない。

 

参加者から

 「同行避難について自分の地域がどこまで進んでいるのか、

   行政がどのように取り組んでいるのか、どこに聞けば良いのか」

という内容の質問があった。

質問した参加者が役所に聞きに行ったところ、職員はペットの同行避難に

ついてまったく認識がなく慌てて資料を引っ張り出してきて調べていたと。

 

昨年4月に自分が区役所を訪問した時のことを思い出した。

その際の説明は、

 『環境省からのガイドラインに沿って市のガイドラインが

  出されているので我が区としてもそれに沿って動いています。』

と。

しかし「それに沿った内容」については不確かなものだった。

 

 「これについてはどこまで進んでいますか?」

 「これはどんな状況になっていますか?」

 

こちらからの質問に対して、

 「まだ検討中です」 「それについては今後動く予定です」

と。動いていますとしながらも、実際にはまだ何も決まっていない状況だった。

 

たが昨年8月と今年2月と区役所が開催した災害時のペット対策セミナーは、

8月のものに比べ今年の2月は驚くほど内容が改善されていた。

 

そのきかっけは、2度の開催の間にあった台風19号の関東直撃だ。

 

台風の直撃によって避難勧告が出され、多くの区民がペット同行避難について

区役所に問い合わせたり、台風後クレーム(クレームが正しいかはおいといて)

入れたことで、多くの区民が避難所へのペットの同行(同伴)避難を必要と

していると伝わったのだ。

 

それまで一度と開設されたことがなかった避難所の初めての運用。

台風19号で避難しなければならない状況となり、初めて同行避難について

区役所に問い合わせた人が多かったのだろう。

多くの区民の声が行政を動かした証だと思う。

 

区民の声で行政が動いてくれることはわかった。

引き続き行政に対して伝えていくことが大事である。

 

だが職員たちもやれることには限界がある。

たくさんの業務を抱えながら、住民が望む対策を形にするには

かなりの時間が必要となる。

いつ起きるかわからない災害、そんな悠長なことは言っていられない。

職員の時間が足りないのであれば、自分たちの身を守るためなのだから

自分たちで動く必要があるのではないか。

 

 「一緒に作り上げていこうという考え」

 

どんなことを望んでいるかを行政に伝えつつ、

自分たちで動けるところは動く。

 

それが望む形を作り上げる早道なのだと思う。