〈民音ハートフル・インタビュー 明日へつなぐ芸術の力〉 ガーナのバンド「サントロフィ」のリーダー エマニュエル・オフォリさん2024年7月7日

  • 伝統と現代を結ぶ調べ

 ――初来日公演、おめでとうございます。
 
 ありがとうございます。どの会場に行っても、温かい声援を受け、胸が熱くなりました。日本の皆さんはとても優しく、“おもてなし”の心にあふれていますね。
 
 特に民音の皆さまには、感謝の思いでいっぱいです。民音の招へいによって、初のジャパンツアーが実現したのですから。ご尽力いただいた関係者の皆さんに、心から御礼申し上げます。
 
 ――「サントロフィ」が奏でるガーナのポピュラー音楽「ハイライフ」の魅力について聞かせてください。
 
 「ハイライフ」とは、西アフリカの伝統音楽と西洋の音楽の融合によって育まれた、ガーナが誇る音楽ジャンルです。
 
 19世紀後半に誕生したと言われるハイライフ音楽は、アフリカ特有のリズムやビートを基調としつつ、トランペットやトロンボーン等の管楽器、ギターやベースといった弦楽器などを取り入れてきました。
 
 中でも、私たち「サントロフィ」は8人で構成されており、奥行きのあるダイナミックな響きを特徴としています。
 
 ――「サントロフィ」は、歴史あるハイライフ音楽をガーナの若い世代に伝え、世界に発信することを目的として結成されたそうですね。
 
 欧米のポップスの影響などによって、ガーナの若者の間ではハイライフは“昔の音楽”だと思われるようになりました。しかし、ハイライフはガーナの豊かな文化と歴史が凝縮された、ガーナ音楽のルーツです。この貴重な音楽を、若い世代に伝えていくことこそ、私たちの使命だと感じています。
 
 そのためには、ハイライフがさらに進化していく必要があると思います。大事なエッセンスは残しつつ、現代のサウンドも取り入れながら、若者により響く音楽に発展させていきたい。
 
 今年発売される予定の新アルバムも、ラップなど他ジャンルのアーティストが出演しています。
 

 ――バンド名の「サントロフィ」にも、特別な思いが込められているそうですね。
 
 サントロフィとは、ガーナの神話に登場する鮮やかな色と、四つの翼をもつ希少な鳥のことで、美や繁栄、歌の力などを象徴しています。この名前には、私たちの豊かな音色で人々に幸福をもたらしていこうとの決意が込められています。
 
 また、サントロフィが翼の色の調和によってその美しさを増すように、私たちも互いの個性を尊重し、その良さを生かしていこうとの意味も含まれています。
 
 互いの差異を認め合い、協力していくならば、世界はどれほど平和な場所になることか――私たち「サントロフィ」は音楽を通して、このメッセージを広めていきたい。
 
 ――今回の公演で、日本の童謡「月の沙漠」を披露されました。斬新なアレンジに驚くとともに、大変感動しました。
 
 ありがとうございます。「月の沙漠」は、民音の創立者である池田大作氏がお好きだった歌の一つだと聞きました。音楽・文化の力で平和の橋を架けてこられた氏と、その精神を受け継ぐ民音への感謝の気持ちを込めて演奏しました。
 
 アレンジも気に入っていただき、うれしいです! 演奏ではガーナの伝統的なビートやリズムを織り交ぜました。
 
 ガーナと日本という二つの異なる音楽のスタイルが融合したことで、新たな可能性を感じさせるサウンドが生まれたと思います。
 
 これを機に、今後、日本の様々な伝統楽器や音楽、アーティストともコラボしていきたいです。
 
 音楽には、心の距離を縮める不思議な力があります。
 
 これからも平和の調べを、多くの方々へ届けていけるよう頑張っていきます。