◆価値創造への挑戦 未来の理想社会を築く女性教育2024年7月3日

【創大・短大マガジン】
一人一人の可能性広げ平和と尊重の新時代を
創価女子短期大学

 先月、世界経済フォーラムが発表した男女格差を測る「ジェンダーギャップ指数」(2024年版)で、日本は146カ国中118位。先進7カ国(G7)で最下位だった。国連のSDGs(持続可能な開発目標)にも掲げられる「ジェンダー平等」に課題が残る中、創価女子短期大学では未来の理想社会を築こうと一人一人の可能性を広げる「女性教育」を行っている。その様子を取材した。

亀田教授を中心に行われる「女性学・ジェンダー」の授業。偉人の生き方を通し、歴史や文化、国際関係など幅広い教養を身に付ける

亀田教授を中心に行われる「女性学・ジェンダー」の授業。偉人の生き方を通し、歴史や文化、国際関係など幅広い教養を身に付ける

私たちの使命

 ディスカッションの中で生まれる天真爛漫な笑い声。友の意見に耳を傾ける真剣なまなざし。授業に臨む創価女子短期大学の学生たちは、キラキラと輝いて見える。
     
 取材したのは、短大の「女性学・ジェンダー」の授業。経済格差や貧困問題、環境破壊や紛争など、多くの課題が横たわる現代にあって、共感や慈愛に基づく女性の視点で、平和と尊重の新たな社会構築を目指す「女性学」が今、注目されている。
     
 創価女子短大では、2025年の開学40周年に向けた中期計画のテーマを「女性が輝く未来を拓く」と定め、輝く女性の育成とSDGsの推進を二つの柱として取り組んでいる。
     
 「創立者・池田先生が築かれた創価の女性教育の学府として、真の女性活躍社会をリードする人材を育成するのが私たちの使命だと感じています」
     
 こう語るのは「輝く女性育成推進」の取り組みを担当する亀田多江教授である。
     

亀田多江 教授

亀田多江 教授

     
 この日の授業では、これまで学んだ女性学の基礎を生かし、米大統領夫人で世界人権宣言の起草にも尽力したエレノア・ルーズベルトや米公民権運動の母ローザ・パークスの人生を考察。平和と調和の社会に、女性が果たす役割について論じていた。
     
 短大では、女性学や女性のキャリア形成に特化した正課の授業に加え、輝く女性育成の取り組みとして、課外でも、社会で活躍する女性講師によるセミナーや、創立者の指針に登場する女性の偉人の勉強会などを実施。知識と精神を共に養う。
     

「偉人に学ぶ女性の生き方」と題する勉強会。中国の「人民の母」とうたわれる鄧穎超について学ぶ

「偉人に学ぶ女性の生き方」と題する勉強会。中国の「人民の母」とうたわれる鄧穎超について学ぶ

2年で4年分

     
 平和と幸福を求める女性の心に着目し、女性のエンパワーメントに力を注いできたのが、創価の女性教育の伝統である。
     
 戦前、創価教育の父・牧口常三郎先生は、自ら女学校で教壇に立った経験から、女性の向学心と可能性を重視。小学校卒業後は働くのが一般的だった20世紀初頭に、女性のための通信教育を行う「大日本高等女学会」を設立した。
     
 牧口先生の“女性こそ、未来における理想社会の建設者”との心を受け継いだ池田先生は、「先師の夢を大きく開花させる事業」として創価女子短期大学を創立した。
     
 短大卒業生の山口和美さん(28期)は語る。
     
 「2年で4年分と言われる濃密な学びの中で、池田先生が掲げられた女性教育を学びたいという思いが、短大に進学した一番の理由です」
     

     
 東京の創価高校を卒業後、短大に進学。創立者の特別文化講座「永遠に学び勝ちゆく女性 キュリー夫人を語る」を学ぶ中で、短大生の使命の大きさを自覚した。ゼミでは経営学を学び、世界で苦しむ女性の幸福に尽くそうと誓った。
     
 短大卒業後は、創価大学経営学部への編入学を経て、東京大学大学院で人間の安全保障分野の修士号を取得。現在は、公益財団法人ジョイセフの一員としてアフリカ・ザンビアに駐在。地域住民や政府に働きかけながら、女性たちの命と健康と人権を守るための支援活動を行う。
     
 「短大での学びは人生の土台です。生涯、創立者との誓いを貫き、人々の幸福と世界平和に貢献する人生を歩みます!」
     

一人を大切にする姿

     
 橋本慶子さん(20期)は、関西創価高校時代からの夢であったCA(キャビンアテンダント)を目指し、一流の女性教育を学ぼうと短大に進学。格調高いホテルでのマナー研修を含めた「フレッシュマンズキャンプ」や、アメリカ創価大学への短期留学プログラムに参加し、社会性と国際性を身に付けた。
     

     
 「最も心に残ったのは、創立者が自ら示された“目の前の一人を大切にする姿”です」
     
 夢がかない、大手航空会社にCAとして就職。乗客一人一人に心を配る姿に信頼が集まり、国内線、国際線のチーフパーサー(CAの統括責任者)を務め、ファーストクラスのチーフの資格も取得した。
     
 コロナ禍の折には、社内で公募されていた「地域おこし協力隊」に会社を休職して着任。岡山県矢掛町の道の駅で“観光案内人”を務めた。
     
 橋本さんの“一流の接客術”は大きな反響を呼び、CAの経験を生かした接遇講座や子どもたちへの“空の仕事体験授業”なども開催。ラジオ番組でレギュラーコーナーを持つなど、町の観光PRにも貢献してきた。
     
 昨年からCAに復職し、フライトと地域おこしを兼業。新しい働き方が注目され、地方紙に橋本さんの活躍が紹介された。
     
 「短大への恩返しのために、私たちが地域や社会で頑張ろうと、いつも卒業生同士で励まし合っています。一人でも多くの人の希望になれるよう、短大スピリットで挑戦を続けます!」
     

     
 5月1日、創価女子短期大学の学生募集を2026年度から停止することが発表された。直後のオープンキャンパスでは、“最後の受験生”を励まそうと、2年生に加え、入学直後の1年生も運営役員に志願した。
     
 学生会執行委員長の井上一香さんが胸の内を語ってくれた。
     

井上一香さん

井上一香さん

     
 「さみしさ、悔しさなど、さまざまな気持ちが駆け巡りました。でも一番大きかったのは“感謝”だったんです。だからこそ、“総仕上げの時”を短大生の勝利の姿で飾り、生涯、どんな場所でもキラリと光る人材に、皆で成長していきます!」
     
 幾多の人材を育んだ短大の女性教育。今後、その特色は発展的に創価大学に受け継がれ、誉れの短大精神は、これからも変わることなく輝き続けていく。
     
     

◆News&Topics

キャンパス見学会を開催!
7月15日(月・祝)

 創価大学・創価女子短期大学が今月15日、合同でキャンパス見学会を開催する。中学生、高校生が対象。当日は、10:00、または13:00に中央教育棟に集合し、歓迎の集いに参加した後、自由にキャンパスを見学できる。また、個別相談のコーナーを、午前の部は12:00まで、午後の部は15:00まで開設。食堂も利用可能(有料)。
 参加には、事前の予約が必要です。参加登録および食堂等の営業時間やメニューは、ホームページを参照してください。

 ※8月のオープンキャンパスについてはこちらの記事を参照。

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 kansou@seikyo-np.jp

  
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