名字の言 迎賓館とゴルバチョフ・ソ連大統領2024年7月1日

 日本外交の舞台となってきた東京・赤坂の迎賓館。明治の東宮御所が戦後の大改修を経て、各国の賓客をもてなす施設として生まれ変わったのは、50年前の1974年である。4月から1年間限定で、非公開だった部屋等が一般公開されている▼ある男子部員は先日、知人に誘われて足を運んだ。庭には、ゴルバチョフ・ソ連大統領(当時)が植樹した木が。知人に「この人、知ってる?」と聞かれ、「知ってるも何も池田先生がいたから来日が実現したんだ」と▼大統領が訪日の意向を明言したのは90年7月、池田先生とモスクワのクレムリンで会談した折。「きょうは、大統領と“けんか”をしにきました。火花を散らしながら、何でも率直に語り合いましょう」との一言に、大統領は笑顔で応じた。翌年、ソ連の国家元首として初の来日が実現し、迎賓館で再会。二人の語らいは10度に及んだ▼知人は「政治家でもない人が、心一つで時代を動かす。とてつもない外交だね」。彼は社会科の教員で、こうした事実を人々は知るべきだと語った▼偉大な魂の交流は時を超えて胸を打つ。先生の対話の根本にあるもの。それは希望の未来を共に開くとの強き一念だ。真心と勇気の対話で、師の人間外交に続きたい。(献)