名字の言 なぜ、ヒマワリにたくさんの種ができるのか?2024年6月27日

 自宅の「ど根性ひまわり」が大輪の花を咲かせた。東日本大震災で被災した宮城県石巻市で、がれきをかき分けるように芽を出し、開花したヒマワリの子孫である▼ヒマワリの大輪は一つの花に見えるが、実は一つの花ではない。黄金の花びらのような一枚一枚は、それぞれが一つの花(舌状花)。茶色の円形部分はオシベのようだが、これも一つ一つが花。小さな筒のような形なので筒状花という。舌状花と筒状花の2種類の花が団結し、太陽の花を作っているのだ▼だから、ヒマワリにたくさんの種ができるのは、花が大きいからではない。植物学者の田中修さんは「(ヒマワリの大きな花は)多くの小さな花の集まりであり、小さな花が一つずつのタネをつくるので、多くのタネができている」と教える(『植物のひみつ』中公新書)▼ど根性ひまわりには“未来の子どもたちがこのヒマワリを通して震災のことを語り継いでほしい”との願いが託されている。今回、咲いたヒマワリの種は、福島の原発避難者の壮年から頂いた。彼は語り部として、県内外で震災と原発事故の体験を伝える▼「今は震災後ではなく、次の震災前なのです」と警鐘を鳴らす彼。被災地を忘れず、次代へ教訓をつないでいきたい。(川)