〈SDGs×SEIKYO〉 解説編「誰もが働きやすい社会に」2024年6月25日

 「SDGs×SEIKYO」の解説編「ちーちゃんと考える 未来のカタチ」。今回のテーマは、SDGs(持続可能な開発目標)の目標8「働きがいも経済成長も」です。誰もがやりがいを持って働ける社会について考えます。

「誰もが働きやすいと思える未来へ」 作・迎朝子

「誰もが働きやすいと思える未来へ」 作・迎朝子

 しまった! 忘れてた!

 どうしたの?

 明日までにやらなきゃいけない、学校の宿題を思い出した! 母さん、ちょっといいかなあ?

 大丈夫よ。

 学校の「キャリア学習」の授業で、働く大人にインタビューをするっていう宿題が出たんだ。母さんはヘルパーの仕事をやっていて、やりがいを感じるのはどんな時?

 利用者さんや、そのご家族に「ありがとう」と言われた時かな。“誰かのために働けた”と思うと、やりがいを感じるよね。

 そっか。母さんは人の役に立てた時にうれしく感じるんだね。じゃあ、父さんは会社に勤めながら、働いていて大変だと思うことはある?

 そうだな……。残業が多いことと、休みが取りづらいことかな。

 どうして残業が多いの?

 うーん、人手不足っていうこともあるんだけど、みんながまだ残って仕事しているのに、自分だけ先に帰るのは悪いなって思ったりしてね。

 そうなんだ……。

 それでも、以前に比べれば残業も減ったし、有給休暇なんかも取りやすくなったかな。長時間労働の弊害が指摘されて、「ワークライフバランス」が重視されるようになってきたからね。

 「ワークライフバランス」って?

 仕事と生活の調和を図ることだよ。仕事だけじゃなく、育児や介護、家族と余暇を過ごしたり、趣味を楽しんだりといった時間を大事にできる労働環境が求められているんだ。最近では、男性の「育児休業」も促進されている。
 SDGsの目標8には“若者や障がい者を含む全ての女性と男性にとって、働きがいのある人間らしい仕事を実現する”とある。日本で進められている「働き方改革」も、一人一人がより人間らしい、豊かな生活を実現するためのものなんだ。

 なるほど。最近は、女性の社会進出も進んでいるよね。

 でも、まだ課題も多いの。女性は男性に比べて20%以上も賃金が低いし、企業の管理職(課長級以上)に就く割合は13%ぐらいしかない。女性の出産や育児に伴う休業制度も整備されてきたけど、男性と同じようにキャリアを積んでいけるかというと、実際は難しい場合が多いんだ。
 こうした不平等をなくしていかないといけない。ワラクが大人になる頃には、もっと働きやすくなっているといいね。

 うん。私の夢は「歌って踊れる通訳」になることだから!

 障がい者の方の雇用を進めることも大切だ。ワラクは「サイニングストア」って聞いたことないかな? 聴覚障がいのある店員さんが、手話や筆談を使って注文を取ったり、案内をしたり……。

 テレビで紹介されているのを見たことがあるよ。皆さん、とても楽しそうに仕事をしていたなあ。

 そうだね。年齢や性別、障がいの有無などにかかわらず、誰もが平等に、やりがいをもって働ける――それが目指すべき社会の姿だと思う。
あれ、宿題の趣旨からは少しそれちゃったかな?

 大丈夫。とても勉強になったよ。あ、もうこんな時間だ。急いでインタビューをまとめなきゃ!

  
  
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