◆価値創造への挑戦 多様な人々の命を守る国際看護2024年6月17日

【創大・短大マガジン】
豊富なネットワークで世界的視野の人材育む
看護学部 佐々木ゼミ

 2013年に創価大学で7番目の学部として開設された看護学部。高齢化やグローバル化など、人々を取り巻く環境が変わる中、多様な人々の生老病死と向き合う看護職の使命は、ますます大きくなっている。今回の「価値創造への挑戦」では、創価大学で国際看護学を研究し、世界的視野を持つ人材を育成する佐々木ゼミを取材した。

充実の設備で行う演習授業

充実の設備で行う演習授業

一対一で教える

 創価大学看護学部棟のエントランスで記者を迎えてくれたのは、行き交う学生たちのさわやかなあいさつと、創立者・池田大作先生が贈った看護学部指針の銘板だった。
   
 一、生命の尊厳を探究する
       生涯学びの看護
   
 一、生きる力を引き出す
     励ましの心光る看護
   
 一、共に勝利の人生を開く
      智慧と慈悲の看護
   
 生老病死に直接関わる看護職には、高度な専門性と技術力に加え、多様な人々と向き合う人間性や倫理観が求められる。
   

   
 創大看護学部は、国家試験に向けた手厚いサポートはもちろん、総合大学の強みを生かした幅広い教養力と、豊かな国際性の育成に力を入れてきた。
   
 国際看護学が専門の佐々木諭教授が教えてくれた。
   
 「看護学部では、創立者が結ばれた世界的な信頼のネットワークのもと、看護を通じた国際交流を推進してきました。グローバル化が進む今、文化や習慣の違う多様な人々と向き合う力が、社会で求められています」
   

佐々木諭 教授

佐々木諭 教授

   
 看護学部では、欧米、アフリカ、アジアなどで「国際看護研修」を実施。海外の客員教員も、のべ25人を超える。こうした中で培われた国際性を基盤に、4年生から、より専門的に国際看護を学ぶのが佐々木ゼミだ。
   
 看護学部のゼミは2~5人の少人数制。佐々木ゼミでは、授業やディスカッションは他のゼミと合同で行い、卒業研究と国家試験対策については、教授が学生と一対一で関わりながら、各人の状況に合わせて指導する。
   

国際看護を学ぶ佐々木教授(右から3人目)と忍田講師(同4人目)の合同ゼミ

国際看護を学ぶ佐々木教授(右から3人目)と忍田講師(同4人目)の合同ゼミ

   
 「佐々木先生は、論文の書き方や伝わりやすい資料の作り方など、とても丁寧に教えてくださり、就職活動もこまやかにサポートしてくださいました。私の代のゼミ生は、全員が第1志望の病院に就職できました」
   
 昨年、卒業した中嶋沙英さん(49期)は瞳を輝かせる。
   
 創大1年生の時に、佐々木教授と共にアフリカ・ザンビアの研修に参加。貧富の格差が人間の生死に直結する現実に衝撃を受けた。また、病院の看護師不足の実態も目の当たりにした。
   
 「医療格差の非情さを肌で感じ、一人でも多くの命を救える看護師になろうと決めました」
   
 佐々木ゼミでマラリア予防教育について研究した中嶋さんは現在、国際的なネットワークを持つ都内の総合病院に看護師として勤務。将来、国際協力に携わることを目標に、看護の現場で奮闘する。
   

国境を超えた学び

 「佐々木ゼミの魅力は、国境を超えて学べる教育環境です。世界的視野で学べたことが、今の人生につながっています」
   
 永野優希さん(44期)の声に実感がこもる。
   
 幼少期、父親の仕事の関係でスリランカでの生活を経験。内戦やスマトラ島沖地震の津波被害、路上で生活する子どもたちの姿などを目の当たりにし、幾度となく人生の意味を考えた。
   
 そんな永野さんに一つの答えをくれたのが、創大看護学部での学びだった。フィリピンとアメリカでの研修に参加し、医療設備や衛生面に大きな隔たりがあることを目にした。
   
 “看護の分野で、途上国の人々の役に立ちたい!”と、佐々木ゼミで国際看護を研究した。
   
 卒業後は、看護師として都内の国立病院のHCU(高度治療室)に勤務。国内外の患者に対して、時には英語で話しながら安心を送り続けた。永野さんは、その経験を生かし、今夏から国際機関の看護職として、途上国での医療活動に参加する。
   
 「一人一人の幸福のために、創立者が示された“生涯学びの看護”を貫いていきます!」
   

最期の声を届ける

 松元優さん(45期)は、学生時代の看護実習先であった神奈川県内の総合病院に看護師として就職。多くの患者と向き合う傍ら、新人看護師の教育担当なども務めている。
   
 創大在学中は、佐々木教授と共に、海外3カ国で研修や研究に取り組んだ。その中で、大切な生き方を学んだという。
   
 「佐々木先生は多忙な中、学生の可能性を信じ、励まし続けてくださいました。一人一人のために、努力を惜しまない姿勢は、患者さんや後輩と接する際の自身の模範となっています」
   
 呼吸器病棟に所属していた時に新型コロナウイルスのパンデミックが起こった。家族の立ち会いもかなわず、命を落とす患者を幾度も見送ってきた。
   
 精神的にも肉体的にも苦しい状況の中で、何度も創立者が看護学部に贈った指針を思い出し、“一人一人の生きる力を引き出し、勝利の人生を開く看護を”と奮い立った。
   
 「どんな状況でも希望を忘れず、苦しみを抜き、楽しみを与える――この創大看護学部で学んだ信念を胸に、患者さんの最期の声、懸命に生き切った姿をご家族に伝える大切な使命を果たそうと、全力で一人一人と向き合いました」
   

   
 創大看護学部は昨年、開設10周年を迎え、現在までに輩出した看護師は600人を超える。その一人一人が蘇生のドラマを起こそうと、日々、生老病死の現場で奮闘している。
   
 学部開設時から、看護学部の発展に尽力してきた佐々木教授は、感慨を込めて語る。
   
 「確固たる生命哲学を持った人材の存在が、これからの時代にどれほど重要か。創立者・池田先生の精神を受け継ぐ創大生の使命は計り知れません。学生の限りない可能性を開き、それぞれの場所で、人々の生きる力を引き出す看護師を一人でも多く輩出するために、私も全力を尽くします!」 
   
   

◆News&Topics

高校生向けオンラインイベント
ぶっちゃけトーーク!~偏差値で測れない大学のリアル~

 創価大学では、高校生向けのオンラインイベント「ぶっちゃけトーーク!~偏差値で測れない大学のリアル~」を開催する。
 昨年11月と本年4月にも実施し、高校生から好評を博した企画の第3弾。現役創大生によるトークセッションや双方向型の懇談会を通して、大学での学びや寮生活、クラブ活動等、等身大の創大生の様子を伝える。
 日時:6月23日(日)午後7時(約75分)
 方法:オンライン(Zoom)、事前登録制
 対象:高校1~3年生
 内容:①現役生トークライブ(約20分)。現役の創大生が大学生活を会話形式で紹介
 ②現役生との懇談会(約30分)。小グループに分かれて現役生と懇談。聞くだけでも参加可能な「ラジオブース」や「何でも相談コーナー」も実施
 ③つながろうトーーク(約20分)。現役生を交え、高校生同士が交流できる
    
 参加登録や企画の詳細は、創大ホームページを参照。
 問い合わせは「創大アドミッションズセンター」〈042(691)4617〉まで。

 「ぶっちゃけトーーク!」の詳細はこちら

   
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