誓願 433~434ページ 【小説「新・人間革命」】第30巻〈下〉2024年6月12日

 山本伸一は、同時多発テロ事件後、各国の識者との会見でも、また日本の新聞各社のインタビューなどでも、今こそ、「平和」と「対話」への大世論を起こすべきであると強調した。
 翌年の1・26「SGIの日」記念提言でも、「文明間対話」が二十一世紀の人類の要石となると述べるとともに、国連を中心としたテロ対策の体制づくりをと訴えた。また、テロをなくす方策として、「人間の安全保障」の観点から、人権、貧困、軍縮の問題解決へ、世界が一致して取り組む必要性を提起した。
 彼は、世界の同志が草の根のスクラムを組み、新しい平和の大潮流を起こす時がきていることを感じていた。もとより、平和の道は“険路”である。恒久平和は、人類の悲願にして、未だ果たし得ていない至難のテーマである。なればこそ、創価学会が出現したのだ! なればこそ、人間革命を可能にする仏法があるのだ! 対話をもって、友情と信義の民衆の大連帯を築くのだ!
 また、人類の平和を創造しゆく道は、長期的、抜本的な対策としては正しい価値観、正しい生命観を教える教育以外にない。めざすべきは「生命尊厳の世紀」であり、「人間教育の世紀」である。

 二〇〇一年(平成十三年)十一月十二日、11・18「創価学会創立記念日」を祝賀する本部幹部会が、東京戸田記念講堂で晴れやかに開催された。新世紀第一回の関西総会・北海道栄光総会、男子部・女子部結成五十周年記念幹部会の意義を込めての集いであった。
 伸一は、スピーチのなかで、皆の労を心からねぎらい、「『断じて負けまいと一念を定め、雄々しく進め!』『人生、何があろうと“信心”で進め!』──これが仏法者の魂です」と力説した。そして、青年たちに、後継のバトンを託す思いで語った。
 「広宣流布の前進にあっても、“本物の弟子”がいるかどうかが問題なんです!」
 広宣流布という大偉業は、一代で成し遂げることはできない。師から弟子へ、そのまた弟子へと続く継承があってこそ成就される。