〈社説〉 2024・5・27 ケニアでの国連市民社会会議2024年5月27日

多様な人々との連帯を足元から

 国連市民社会会議が今月9、10の両日、ケニアのナイロビで行われた。9月にニューヨークで開かれる「未来サミット」に向けて、市民社会の代表が中心となり、地球的な課題の解決へ、国連関係者らと多様な知見を共有する機会となった。
 
 グテーレス事務総長はスピーチで、「私たちは協力することで、私たちを待ち受ける課題に対処し、未来の損害を防ぐことができる」「そのチャンスに賭けるという決意により、私たちは今日ここに集まった」と述べ、“世界の状況を変える闘いを諦めない”との思いを共有する市民社会の存在が「未来への一番の希望」だと訴えた。
 
 パンデミックや気候変動、デジタル技術の革新がもたらすリスクなど、かつてない脅威が私たちの眼前にある。世界の共通目標であるSDGs(持続可能な開発目標)も停滞が懸念される現状を、いかに打開するか。そのための「一世代に一度の機会」として開催されるのが「未来サミット」だ。ここでは課題解決のための連帯や、危機への対応強化を目指す「未来のための協定」が採択される予定となっている。
 
 人類協働への努力が実を結ぶためには国境を超えた市民の連帯が欠かせない。市民社会会議では「未来のための協定」に提案を行うためのグループがテーマごとに設けられ、多様な団体から幅広い世代の参加者が協力する姿が見られた。SGI(創価学会インタナショナル)の代表も参加し、若者・市民団体の協働による「未来アクションフェス」の実行委員会の一員として、同フェスの模様や「青年意識調査」の結果を紹介する展示を行ったほか、調査結果を踏まえた共同声明を関係者に届けた。
 
 池田先生が40回にわたる「SGIの日」記念提言で何度も言及してきたテーマこそ、国際社会における市民参画の重要性と、青年が持つ力への期待と信頼だった。より良い未来を願う人々と連帯し、力を合わせる。幅広い世代の多様な声に耳を傾ける。草の根の挑戦が重なり合う中で、持続可能な社会への地平は開けるはずだ。
 
 グテーレス事務総長は「私たちの闘いは、一つです。すべての人にとって、より良い世界とより明るい未来を創ること」とも語った。今を生きる歴史創出の主体者として、時代変革に向けた行動の連帯を足元から広げていきたい。