名字の言 熱い心が生んだ「言葉」2024年5月26日

 ズシンズシンと米をつく。その杵の響きを「国の鼓動そのもの」と記したのは、134年前に来日し、島根で暮らしたギリシャ出身の作家・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)。餅つきの風景も、言葉の選び方で印象が変わる▼八雲は片目が不自由だった。その中で、言語も文化も違う日本の魅力をどう理解していったか。“彼は文献を読むだけでなく耳を使い、音や声を通して全身全霊でその本質に迫った”と、ある専門家は指摘する。そうした努力が紡いだ言葉だからこそ、味わいがあるのだろう▼“山陰は、光り輝く天地・山光なのだ”――池田先生が「山光提言」を発表したのは40年前の1984年5月。その深い洞察は地元の人々でさえ抱いていた“山陰”への暗いイメージを一変させた▼言葉に込めた思いを先生は後につづった。「皆の意識が変わり、自信がわき、元気になることこそ、根本の目的」であったと。どうすれば皆が前を向き、胸を張って生きていけるか。その熱い心から生まれたのだ▼御聖訓に「言と云うは、心の思いを響かして声を顕すを云うなり」(新713・全563)と。深き思いから生まれた言葉には、人の心を動かし続ける力がある。私たちも“希望の言葉”を紡ぐ日々を送ろう。(子)