〈SUA卒業式〉 卒業生代表のあいさつ(要旨)2024年5月26日

フロール・デル・シエロさん

 私は、中米のホンジュラス出身です。入学した2020年、私たちはコロナ禍の中、オンライン授業という予想とは全く異なる1年目を過ごしました。
 
 愛する家族や大切なものを失う人もいる状況の中、私と家族は、ホンジュラスを襲った壊滅的なハリケーンに遭いました。当時、私たちは家を追われ、大きな喪失感を味わい、コロナ禍も重なって絶望的な気持ちになりました。しかし、SUAの友人たちの励まし、支えのおかげで乗り越えることができました。
 
 それぞれの困難に勇気で立ち向かい、20期生と初めて顔を合わせた時は、本当にすてきな瞬間でした。
 
 SUAは、素晴らしい友人を私に与えてくれました。今では家族のような存在です。また、多くの学びや留学体験を通し、成長することもできました。私はホンジュラスからの最初の入学生となったことが誇りです。これからホンジュラスの人に“故郷”となったSUAの素晴らしさを伝えていけることは光栄です。
 
 ホンジュラスの仲間たちに、私たちは皆、どんなバックグラウンドを持っていたとしても、夢を実現していけることを伝えていきたいと思います。支えてくださった皆さん、そして私の両親に心から感謝しています。

クァン・ファムさん

 ベトナムで生まれ育ち、家族で誰も行ったことのないアメリカの大学で学ぶことは、夢のようなことでした。
 
 2年生の最後、私は文系から理系に転向しました。多くの困難を伴う挑戦でしたが、家族や恩師、SUAの友の限りない愛とサポートもあり、コーネル大学大学院の博士課程に進学し、進化生物学を学べることになりました。壁を乗り越えることができたのは、決して個人的な努力だけではありません。SUAで出会えた人々のおかげです。
 
 私はSUAで、人間の優しさとは、弱さではなく強さであること、大きな夢を成し遂げる可能性を信じることの大切さを学びました。そして正しい生き方とは、自分自身に生き抜くことであると心に刻みました。
 
 かつて創立者は、こう語られています。
 
 「いかなる運命も自身を光り輝かせる舞台なのだ」
 
 私たちは、この4年間で大きく成長しました。SUAに来た時と同じではありませんし、今日が終わっても成長し続けます。
 
 20期の皆さん、卒業式は単なるハッピーエンドではありません。より大きく、より良い幸福をつかんでいくための出発です。私は、皆さんと一緒に過ごした最高の時間を忘れません。

エマ・シャーバインさん(修士課程)

 私は生まれつき聴覚と言語に障がいを持っていますが、SUAの関係者の皆さんの支えで修士号を取得することができました。そして有意義で貢献的な人生へと出発する誇り高き卒業生として、ここに立つことができました。大変にありがとうございます。
 
 世界は今、気候変動をはじめ、感染症のパンデミック、戦争といった多くの危機に直面しています。そうした中にあって、私たちは手遅れにならないよう、人類と地球の未来を守るために、連帯と共感を選択する必要があります。
 
 卒業生の皆さん、今こそSUAで学んだことを実践する時です。私たちの智慧、勇気、慈悲が試されています。困難が待ち受けているかもしれませんが、私たちは一人ではなく、協力してこれらの課題に立ち向かうのです。その挑戦に当たり、私たちはSUAの価値観と理念を心に留めておかなければいけません。
 
 私は日本の教育者であり、仏教指導者であった牧口常三郎先生の次の言葉に啓発を受けました。「人生の目的とは何か。人生の目的をあえてひと口でいえばそれは『幸福』である。したがって教育の目的は人生の目的と一致しなければならない」
 
 人々の幸福と社会の繁栄のために、団結して立ち上がりましょう。

ヒロミ・ニタグチさん

 これまでの私の人生は、常に居場所を探す旅でした。イタリアで日本人家族のもとに生まれ、近所では唯一の日本人の子どもとして、周りが思っている以上に自分を異質な存在と思っていました。
 
 その後、居場所を求めて日本の高校に留学しましたが、日本文化の中で周りの雰囲気に合わせることしかできませんでした。
 
 そんな思いを抱えながらSUAに進学した私でしたが、コロナ禍での授業がオンラインで始まると、その参加者の多様性に驚きました。それぞれ出身地も個性も異なる友と触れ合う中、私は自分を恥じる理由がどこにもないと気づき、安心感を抱くことができました。長年探していたものが、ここにあったのです。自分の居場所を見つけたという記憶は、これからの私の人生にとって希望の光となり、私を励まし続けるでしょう。
 
 クラスメートはもとより、SUAでの人生の旅を可能にしてくれた両親や全ての大学関係者、寄付者の方々に感謝します。私も運営に携わらせていただいた創価芸術センターのスタッフの皆さん、ありがとうございます。
 
 最後に、この大学を創立し、人生の真の価値を教え、20期の素晴らしい友に出会わせてくれた創立者の池田先生に心からの感謝をささげます。

米カリフォルニア州オレンジ郡アリソビエホ市にあるアメリカ創価大学のキャンパス。世界市民を育む、学生第一の教育環境が整っている

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