名字の言 過酷な試練と戦う意味2024年5月23日

 ノーベル物理学賞と化学賞に輝いたマリー・キュリーが含蓄深い言葉を残している。「人生において恐れるべきものは何もありません。人生はただ理解すべきものなのです」(貝塚泉・中尾眞樹・渡邊真里訳)▼彼女の人生は波乱続きだった。ポーランドからフランスに亡命し、極貧の中、学究に徹した。2度目のノーベル賞の受賞は、夫を交通事故で亡くした5年後。“人は過酷な試練と戦うことを通して、生きる真の意味を見いだす”――彼女の生涯は、そう物語っているように感じる▼都内のある女性部員は娘と息子が重篤な病に倒れ、看病などで大変な中、北海道の養護施設に入所する義母の面会に毎月、通っていた。彼女は“必ず境涯革命する”と唱題を重ね、奮闘した▼ある日、義母がいる施設を訪問した際、眼前に広がる北海道の風景を収めようとシャッターを切った。その一葉を、自身のかかりつけの病院が主催する写真展に応募した。展示された作品を見た院長は「この力強い写真をぜひ、もっと多くの人に見てもらいたい」と、院内に掲示する期間を1年延長した▼鮮やかな青空と緑の水田がどこまでも続く写真のタイトルは、「希望は無限」。彼女が格闘する日々の中でつかんだ実感である。(城)