◆価値創造への挑戦 最先端の知性に学ぶ開発経済学2024年5月19日

【創大・短大マガジン】
データの後ろにある 一人の命を見つめる
国際教養学部 内海ゼミ

 2014年4月の学部新設から10周年を迎えた創価大学国際教養学部。多くの地球的課題と向き合いながら、平和の実現に挑戦する「世界市民」の育成を掲げ、毎年、多彩なグローバル人材を輩出している。今回の「価値創造への挑戦」では、同学部で開発経済学を学ぶ内海ゼミを特集。途上国の経済問題の解決へ果敢に挑む学びの現場を取材した。
    

内海准教授(右端)を囲んでのゼミの授業。オールイングリッシュで活発なディスカッションが繰り広げられた

内海准教授(右端)を囲んでのゼミの授業。オールイングリッシュで活発なディスカッションが繰り広げられた

高い志の仲間

 教室を飛び交う流ちょうな英語。楽しげな語らいの輪には留学生もいる。まるで、海外の大学のような空間が、創価大学中央教育棟の一角に生まれていた。
    
 これは、国際教養学部の授業前の一場面。同学部では、全て英語で行う少人数制授業や、2年生までに全員が体験する留学制度、多分野を横断的に学ぶリベラルアーツなどを通し、ハイレベルな国際性と実践力を磨く。
    
 こうした幅広い教養の上に、3年生からは多彩なゼミで高度な専門性を身に付ける。
    
 今回、訪れた内海友子准教授のゼミでは、途上国が抱える多様な課題を経済面から考察する「開発経済学」を学ぶ。
    
 ゼミのリーダーである西川伸彦さん(4年)が教えてくれた。
    

西川伸彦さん(4年)

西川伸彦さん(4年)

    
 「多くの社会課題は、一つの学問領域だけでは解決できず、歴史、文化、政治など、さまざまな背景が複雑に絡み合っています。経済学を軸に、多面的に学ぶことができるのが、このゼミの最大の特長だと思います」
    
 内海ゼミには、決まった教科書がない。いつも世界の最先端を行く研究者の学術論文や文献を、徹底的に予習で読み込み、授業ではそれを元に、グループワークやプレゼンテーションで自らの考えを発表する。
    
 この日も、ノーベル経済学賞を受賞した学者らが発表した、途上国の教育課題に関する論文をテキストに議論していた。
    
 「勉強は大変ですが、共に学ぶ仲間の高い志と、内海先生の励ましに力をいただき、学ぶことの楽しさを実感できるようになりました」と西川さん。
    
 膨大なデータを緻密に分析し、貧困などの諸課題を論理的に探究する一方で、内海准教授は、当事者の証言や現地の様子などの動画を見せ、数字の後ろにいる一人一人の存在を意識することを伝えていく。
    
 「データの後ろにある一人一人の命を見つめ、その人々の幸福のために学ぶ。まさに、創立者・池田先生の理念を学問的に学んでいるのだと実感します」
    
 そう語る南大翔さん(4年)は、こうした学びを通して“今自分にできる責任を果たそう”と一念発起した。
    

南大翔さん(4年)

南大翔さん(4年)

    
 これまで学生自治会の学部執行委員長や各種行事の実行委員を歴任。現在は滝山国際寮で寮生活のサポート役を担いながら、クラブ団体を統括する学友会の運営委員長として奮闘する。学業も怠らず、3期連続で特待生に選ばれた。
    

世界の悲劇をなくす

 指導教員の内海准教授は、小学校から高校まで関西創価学園に通い、アメリカ創価大学(SUA)で学んだ。胸に刻むのは、国家元首にも小学生にも変わらぬ姿勢で、一人を大切にする創立者の姿。
    
 「一人の生命を見つめ、励ます姿に感動し、自身の生涯を通じて、池田先生の期待に応えようと心に誓いました」
    

内海友子准教授

内海友子准教授

    
 経済学者となって、世界中の悲劇をなくし、一人一人に希望を送る人に成長する――そう決意した内海准教授は、SUAを卒業後、ニューヨーク大学で経済学修士号、ミネソタ大学で応用経済学博士号を取得。世界銀行やマサチューセッツ工科大学の貧困アクションラボである「J―PAL」のコンサルタント、内閣府経済社会総合研究所の研究官などを歴任してきた。
    

希望を生み出す

 「世界銀行やJ―PALのコンサルタントを務め、第一線で世界の貧困問題に向き合ってこられた内海先生は、私自身のロールモデル(模範)です!」
    
 笑顔で語る卒業生の田中美紗希さんは学生時代、留学や海外研修などで豊かな国際感覚を磨くとともに、内海ゼミで大量のデータを収集・分析・整理する力を養った。何よりも、内海准教授の姿から人間力を学んだ。
    
 そうした力を生かし、現在は世界的なコンサルティング企業のITスペシャリストとして、人々の生活を守る情報システムの開発などに携わる田中さん。
    
 「内海先生のような、世界中の困っている人に希望を送る人材を目指して、頑張ります!」と瞳を輝かせる。
    

内海准教授(右端)と内海ゼミの4年生たち

内海准教授(右端)と内海ゼミの4年生たち

    
 北村りおさんは、内海ゼミの学びに魅了され、卒業後も学究の道を貫く研究者。
    
 「今でも論文執筆や将来の進路など、何でも相談に乗ってくださいます。献身的に助言をくださる内海先生は、生涯のメンター(師)のような存在です」
    
 在学中は、オーストラリア留学やカンボジアでのボランティアを経験。4年生の時には、IMF(国際通貨基金)が実施するエコノミスト養成プログラムに参加し、世界中から選ばれた21人の代表と英語での議論や模擬経済審査を行った。
    
 こうした学びの中で、自然に英語力が磨かれ、TOEICのスコアは、入学時の620点から920点まで上がった。
    
 卒業後は、京都大学大学院で経済学の修士号を取得。今秋から、カリフォルニア大学リバーサイド校で経済学博士課程に進学する予定だ。
    
 「自身の努力と経験で、後輩たちの道を開いていけるよう、全力を尽くします!」
    
 そのほかにも、海外の大学院やグローバル企業、農業機器メーカーなど、幅広い分野で活躍する内海ゼミの卒業生たち。
    

ゼミの卒業生と。留学生や海外大学院への進学者など、国際性豊かな人間関係が築けることも内海ゼミの魅力(3月)

ゼミの卒業生と。留学生や海外大学院への進学者など、国際性豊かな人間関係が築けることも内海ゼミの魅力(3月)

    
 その一人一人を見守ってきた内海准教授が、言葉に力を込める。
    
 「一人のエンパワーメント(内発的な力の開花)が実現すれば、どれほど多くの希望が生まれるか――池田先生から学ばせていただきました。これからも、創立者の心を胸に刻んだ創大生が、世界のあらゆる場所で活躍することを願って、学生と共に成長していきます」
    
    
 

◆News&Topics

創大がオンライン「入試ガイダンス」

 創価大学では、受験生や高校生、その保護者を対象に、受験に直結する企画や情報を発信する、オンライン「入試ガイダンス」を以下の通り実施する。
     
 〈日程〉
 5月26日(日)午後7時30分から同8時までの30分間。
     
 〈主な内容〉
 ①総合型選抜・推薦入試を中心とした2025年度入試ガイダンス
     
 ②年内入試で合格した学生による体験発表(2人)
     
 ③今後のイベント紹介
     
 ④質疑応答
     
 ◇ 
     
 参加には開催時間の30分前までに登録が必要。
     
 参加登録や企画の詳細は、創価大学のホームページを参照してください。2次元コードからアクセスできます。
 問い合わせは「創大アドミッションズセンター」〈042(691)4617〉まで。
     
 オンライン「入試ガイダンス」のホームページ

創大『学びガイドブック』が完成

     
 創価大学が、受験生に向けたパンプレット『学びガイドブック』を作成した。
     
 「エンタメ」「お金」「食べ物」「子ども」「一人ひとりを尊重」「世界」「環境」といった、身近な気になるキーワードを元に、自身の興味に合った創大の学部を見つけることができる。
     
 パンフレットは、創大のホームページから閲覧可能です。
     
 問い合わせは「創大アドミッションズセンター」〈042(691)4617〉まで。
     
 パンフレットのページはこちらから

    
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