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〈地域を歩く〉 常勝大阪総県 地域に信頼の根を張り 対話と友情の花が満開2024年5月17日

  • 師弟の誓いに生きる友の
  • 頭上に輝く“不二の宝冠”

緑豊かな景観が訪れる人を楽しませる「花博記念公園 鶴見緑地」

緑豊かな景観が訪れる人を楽しませる「花博記念公園 鶴見緑地」

 それぞれの地域には、その地にしかない歴史があり、魅力があり、誇りがあります。日本の各地を訪ね、その地で生き抜く学会員を追う連載「地域を歩く」。今回は、常勝大阪総県が舞台です。

 田草月、菖蒲月、橘月――5月の、草花を冠した異称は多くある。バラやシャクヤク、ネモフィラやスズランなど、個性豊かな花々が新緑の中で咲き薫る季節だ。

 世界各地の庭園が披露された「国際花と緑の博覧会」(1990年)は、守口市と大阪市鶴見区にまたがる「花博記念公園 鶴見緑地」で行われ、今も季節ごとの花が訪れる人の目を和ませている。また、大阪市旭区のハナショウブや門真市のサツキも、これから見頃を迎えるそうだ。

 この4市区を広布の舞台とする常勝大阪総県に咲く、美しい対話の花々に思いをはせつつ、この地に根を張る友を訪ねた。

橋本奈里子さん㊥が姉の中嶋裕見子さん㊨、松岡枝理子さんと「Cafe 実のり」の店内で

橋本奈里子さん㊥が姉の中嶋裕見子さん㊨、松岡枝理子さんと「Cafe 実のり」の店内で

 京阪本線・守口市駅の近くにある「Cafe 実のり」は、橋本奈里子さん(圏副女性部長)ら、仲良し3姉妹が営む。「お店では月1回、生け花の教室を開くんですよ」と言う橋本さんは華道の教授。今度、作品が守口市役所に展示されるという。
  
 店ではコーヒーや手作りケーキに加え、日替わりランチが人気。中でも毎月1日のちらし寿司にはファンが多く、「おふくろが作ってくれた味と一緒や」と涙を流した客もいたほどだ。
  
 14年前に開店した当初は「学会員の店やから、行かんほうがええで」と陰口を言われたこともあるが、橋本さん姉妹は「地域に根差した喫茶店に」と、祈りを根本に信頼を広げてきた。
  
 今では訪れる人々から「この店に来ることだけが楽しみや」「わしが生きとる間は、ずっと続けてや」と喜ばれ、笑顔の花が咲く地域の憩いの場所となっている。

「新星金属製作所」を営む富永稔さん㊧と弟・彰さん。彰さんのアイデアを生かし、二人三脚で新製品の開発に取り組む

「新星金属製作所」を営む富永稔さん㊧と弟・彰さん。彰さんのアイデアを生かし、二人三脚で新製品の開発に取り組む

 守口市は門真市と並んで松下電器(現・パナソニック)の企業城下町として発展してきた。市内を歩くと、大小さまざまな工場を目にする。

 その一角で、火花を飛ばして作業するのは「新星金属製作所」を家族で経営する富永稔さん(本部長)。富永さんが人気アイドルとコラボ(共同製作)した「焚き火台」は、昨今のキャンプブームの後押しもあって大きな話題に。この焚き火台やテーブルなどの家具は、ものづくりが盛んな守口市を代表する「ふるさと納税」の返礼品にも選ばれた。

 もともとは企業の下請け部品を製作していたが、2008年のリーマン・ショックの影響で、仕事が一時的にゼロに。廃業も頭をよぎったが、「今いる場所で勝とう」と、家族で唱題に励んだ。そして、会社存続の起死回生の一手として取り組んだのが、金属と木材を組み合わせた自社製品の開発。不慣れな木材加工に悪戦苦闘しながらも、商品は売れ始め、会社も危機を脱した。

 「お客さまからの『ありがとう』という声を励みに、これからも妥協せず、丁寧に作っていきますわ」。富永さんのように、逆境にも諦めない執念の挑戦が、未来を切り開くのだと感じた。

長尾幸さん㊨と父・健さん㊧が、母・よう子さんを囲んで。家族を長年にわたり支え続ける、よう子さんこそ“最大の功労者”と

長尾幸さん㊨と父・健さん㊧が、母・よう子さんを囲んで。家族を長年にわたり支え続ける、よう子さんこそ“最大の功労者”と

 自転車で鶴見緑地をゆっくりと走ると、阪神甲子園球場32個分という広大な敷地の中で、「風車の丘」の花壇を眺める人や、芝生広場でくつろぐ親子など、皆が思い思いに自然を楽しんでいた。そんな穏やかな光景に触れながら、大阪市鶴見区に向かった。

 鶴見緑地近くの市営住宅で暮らす、ヤング白ゆり世代の長尾幸さん(地区女性部長)は「子どもが遊べる場所だけやなく、大型商業施設も目と鼻の先にあって、子育て世帯が住みやすい町として人気なんですよ」と教えてくれた。

 自らも2人の子を育てる幸さんは、住んでいる市営住宅を含む4棟からなる町会で、今年から町会長を務める。さらに、介護福祉士として障がい者支援の仕事をしながら、民生委員として尽力するなど、地域貢献に率先して取り組む。

 信心根本に生き生きと日々を送る幸さんの姿に触れ、同級生が4月14日に入会した。

 友のために尽くす幸さんの“模範”は、父・健さん(副本部長)。健さんは、町会長を22年間務め、2年前からは相談役として町会に関わっている。町会長時代は、住民同士のトラブルの仲裁など、対応が難しい相談にも、一人一人の話にじっくり耳を傾けた。長年、町会活動に誠実に取り組んできた健さんを頼りにする人は、今でも多い。

 長尾さん親子に、活動の原動力は何かと尋ねると、口をそろえて言う。

 「それは師匠に勝利でお応えしたいという誓いです」

広布史を和やかに語らう長野澄子さん㊧と朝倉三枝子さん

広布史を和やかに語らう長野澄子さん㊧と朝倉三枝子さん

 師弟共戦の誓い――その原点は常勝大阪総県の地で刻まれた。

 池田大作先生が会長を辞任した1979年(昭和54年)4月24日、守口門真文化会館(現・守口文化会館)で大阪本部長会が開かれた時のこと。

 後に「常勝大阪・師弟誓願の日」となったこの日、絶望の闇を打ち払うように、同志は誓い合った。

 “関西の私たちの師匠は永遠に池田先生です!”と。

 9日後の5月3日、本部総会の終了後、先生は関西の友の思いに応え、語っている。

 「関西だけは、誰が会長になろうとも私と直結だよ! これを忘れてはいけないよ!」

 関西中に“勝って先生をお迎えしよう”との魂が熱く燃え広がる中、80年(同55年)3月9日に、600人を超える門真の同志が弘教に挑み抜き、学会本部に集った。勤行会の途中、突然、会場に現れた先生は、友の心意気に応え、「熱原の三烈士」など3曲をピアノで演奏し、共戦の同志を激励した。

 また、先生は翌年の81年(同56年)3月17日には、全国をけん引する弘教拡大を成し遂げた大阪市鶴見区の同志のもとを訪問した。喫茶店で懇談後、長野澄子さん(総区女性部総主事)の案内で隣の個人会場へ。女子部(当時)の友らと勤行し、励ました。

 「そこから人材が陸続と育っていきました」と長野さん。姉・朝倉三枝子さん(総区女性部主事)と共に、師匠へ、さらなる広布拡大を誓った。

 この姉妹の折伏で入会した友人は、200人を優に超える。朝倉さんは語る。「師弟の誓いに生き抜こうと決めた時、題目の渦が巻き起こり、燎原の火のごとく、次々と折伏が広がり、実っていくのです」

「正義は必ず勝つとの先生の言葉が忘れられへん」と米澤孝志さん

「正義は必ず勝つとの先生の言葉が忘れられへん」と米澤孝志さん

 大阪市旭区で生まれ育った米澤孝志さん(総区議長)は「あの“大阪の戦い”も、先生と直結やったからこそ大勝利したんやと、先輩から何度も聞きました」と振り返る。

 “大阪の戦い”の当時、先生は同志に「勇戦」「大勝」の書を贈った。83年(同58年)3月、大切に保管していた旭区の友が「広布史を伝える大切な書を、学会本部にお返ししたい」と申し出ると、和紙に再び大書された「勇戦」「大勝」の書が、先生から贈られた。

 勇戦ありて大勝あり――この先生の精神を伝えようと、米澤さんは昨年、350軒を訪問・激励。83歳の今も元気に広布の道を歩んでいる。

千林商店街で地域の魅力を語る片山敦子さん㊨と娘の望美さん。望美さんは先日まで総県池田華陽会委員長を務め、人材育成に尽力した

千林商店街で地域の魅力を語る片山敦子さん㊨と娘の望美さん。望美さんは先日まで総県池田華陽会委員長を務め、人材育成に尽力した

 勇戦の誓いのままに、地域の商店街で奮闘している友も多い。

 旭区の千林商店街で地域貢献に取り組むのは、片山敦子さん(女性部本部長)。

 「大阪三大商店街」の一つである千林商店街は、全長約660メートルの道の両側に約220店舗が軒を連ねる。高齢者や親子連れ、若者などが、そぞろ歩きを楽しんだり、買い物をしたりしていた。

 30年前のバブル崩壊後は長引く不況の影響で、閉店する店もあったが、20~30代の若い世代が店を継ぐなど奮闘。今では多くの人で、にぎわうようになったそうだ。

 敦子さんは「育ててもらった地域に恩返ししたい」と祈る中で、11年前から商店街を中心に地域を活性化するボランティア「1000ピースプロジェクト」に携わり、広報誌の作成や、「千林昭和写真展」などのイベントを企画・開催している。

 敦子さんを手伝っている長女・望美さん(女性部グループ長)は、「先生が教えてくれはったように、地域の一人一人を尊敬しながら、絆を結んでいきます」と意気軒高だ。

武内力さん㊨と妻・初美さんが店の前で。初美さんは介護福祉士として奮闘する

武内力さん㊨と妻・初美さんが店の前で。初美さんは介護福祉士として奮闘する

 千林商店街の中にある千林駅から、京阪本線で門真市駅へ。駅近くの栄町商店街で、48年にわたり「ヘアーサロン太陽」を営むのは、武内力さん(副本部長)。81歳の今も現役でハサミを握る。

 武内さんの腕にほれ込み、市外や府外から通う客もいるという。「そういう人がおってくれるから、辞められへんねん」と笑みを浮かべる。

 店を開いた当初、近隣の人から学会の悪口を言われたこともあったが、そうした人にこそ率先して誠実に対話し、信頼を重ねてきた。

 先日、店の客として知り合った友人に悩みを打ち明けられ、信心の確信をありのままに語った。友人は武内さんの温かさに触れ、この4月に入会した。

 「先生は何度も門真の同志を激励してくれはった。だから絶対に負けたらあかんのです」と力強く語る武内さんのまなざしは、広布の未来を見据えていた。

地域の友が育てる花の前で語る貞友貴久子さん

地域の友が育てる花の前で語る貞友貴久子さん

 国道1号バイパス・第2京阪道路に沿って、自転車を走らせる。花壇に咲くピンク色のサツキの花に癒やされながら、門真市の四宮まで足を延ばした。

 ここで暮らす貞友貴久子さん(支部副女性部長)は、自治会の役員を約45年務めた。今年から役員を離れたが、「今でも近隣の人が、しょっちゅう相談に来はります」と。少しでも地域を明るい雰囲気にと、ピンク色の服を着ていると、いつしか地域の子どもたちから「ピンクのおばちゃん」と親しまれるようになった。

 貞友さんが最も苦しんだのは、若い頃の夫の酒癖。収入は全て夫の酒代に消え、借金も背負った。子どもを育てるために、貞友さんがパートで働いても、また夫が借金を重ねる。自宅まで借金取りが押しかけ、恐怖の毎日だった。何度もくじけそうになったが、信心を教えてくれた母がそのたびに励ましてくれた。

 「負けたらあかん。一緒に題目あげよう」

 母と共に祈りながら、仕事と学会活動に挑んだ。支えにしてきたのは、聖教新聞に掲載される先生の励ましの言葉。毎日、ノートに書き写し、師匠との誓いから出発した。年月はかかったが、最終的に夫の残した借金は完済することができた。

 貞友さんはこの経験を通し、友の悩みに同苦できる自分に成長できたと実感する。3人の子を育てる20代のシングルマザーの友人と、3年前に地域の活動で知り合った。彼女と話すうち、次第に相談を受けるように。懸命に仕事と育児に挑む姿が、かつての自分と重なって見えた。

 “なんとしても、彼女を幸せにしたい”

 仏法の希望の哲学を語り、座談会にも一緒に参加。対話を重ねる中で、今年3月に彼女に弘教を実らせた。翌月には3人の子どもたちも入会し、一家で未来部の会合に生き生きと参加している。

2019年にリニューアルした守口市の大枝公園

2019年にリニューアルした守口市の大枝公園

 大樹は美しい花を咲かせながら、大地に深く根を張っている。あの地この地で対話と友情の花を咲かせる常勝大阪総県の同志もまた、地域に信頼の根を大きく張っていた。

 いかなる苦難にあっても、“負けたらあかん!”“戦いには絶対に勝つ!”と、常勝の闘魂を燃やす友の勇気の源泉は、池田先生がこの地に刻んだ、師弟共戦の誓願にほかならない。

 先生は誓いに生き抜く関西の同志につづっている。

 「『常勝』とは、師弟不二の宝冠なのである」

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