〈社説〉 2024・5・11 池田先生のオセアニア訪問60周年2024年5月11日

「一人」を自分以上の人材に

 世界六大州の一つ、オセアニア(大洋州)。陸地面積の8割以上をオーストラリア大陸が占め、大小1万を超える島々が、広大な太平洋上に浮かぶ。
 
 池田先生が、この地を訪問したのは1964年5月である。オーストラリア各都市を訪れ、オセアニア初の「メルボルン支部」を結成。その際、後に初代理事長となるツトム・テイテイさんを同支部の支部長に任命した。
 
 小説『新・人間革命』第9巻「新時代」の章には、山本伸一会長が、オーストラリアの中心者を励ます場面が描かれている。
 
 山本会長の訪豪の「最大の目的」は、支部の結成と、その中心者の胸中に「発心の種を植えること」。わずかな会員数での支部結成に戸惑うリーダーに、山本会長はこう語っている。
 
 「支部長でも、地区部長でも、すべて、原理は一緒だよ。一人ひとりを、自分以上の人材に育て上げていけばよい」――。
 
 オーストラリアの総面積は日本の約20倍。友のもとに通うにも車や飛行機で何時間もかかる。草創の同志は「一人」のために労を惜しまず、広布の原野を開拓していった。池田先生は、そうした草創期の友を激励し続けた。
 
 今月13日、先生の訪問から60周年を迎えるオーストラリアSGIは現在、30支部に発展。ニュージーランドには27支部、さらにニューカレドニア、パラオ、ミクロネシアに支部があり、フィジー、ソロモン諸島などには地区がある。広布の陣列は島しょ国にも拡大している。
 
 1万人の地涌の連帯を築いたオセアニアの友にとって、この時の先生の訪豪は“不滅の原点”として刻まれている。
 
 オセアニアの島々に妙法が広がったのは“池田先生の指導通りの行動を貫いていったから”と、オセアニアのSGIのリーダーは振り返る。オーストラリア、ニュージーランドなどで信仰の確信をつかんだ友は、島々に移住・帰国した後、「一人」立ち上がり、「一人」を励ましていった。
 
 御書には「法華経の功徳は、ほむればいよいよ功徳まさる」(新1713・全1242)と。
 
 同志の奮闘を心からたたえ、どこまでも一人を大切にする――わが使命の天地で真心の対話を重ねつつ、世界の友と、幸福と希望の連帯を広げていきたい。