タイに広がる仏法研さんの潮流2024年5月10日

3月に行われたタイの教学研修会。求道の瞳が輝く(バンコクのトンブリ会館で)

3月に行われたタイの教学研修会。求道の瞳が輝く(バンコクのトンブリ会館で)

行学の両輪で信頼を拡大

 世界各地に太陽の仏法が広がる今、タイで教学の研さん運動が活発に進められている。昨年10月の教学部任用試験(仏法入門)では、110会場で約4400人が受験。本年3月には原田SGI教学部長が担当し、全国を結んで教学研修会を実施した。タイ創価学会のナワラット教学部長に教学運動のポイントを聞いた。また、タイ語版の御書や池田先生の御書講義の翻訳に当たるメンバーの奮闘を紹介する。

ナワラット教学部長

 タイでは9割以上の人が上座部仏教を信仰しており、「宿命」「業」などの概念はよく知られています。だからこそ、信心の実践によって今いる場所で宿命を転換できる「人間革命」の理念などを伝え、共感を広げるためには、教学の理解が欠かせません。

 そのため、毎月進めていることが二つあります。

 一つは、オンラインの勉強会です。現在、池田先生の御書講義「勝利の経典『御書』に学ぶ」を男女別に学んでいます。講師がスライドを使って要点を示しながら、30~40分ほど講義し、その後は約1時間を質問会に充てます。「その場で疑問を解消できる」「活動や仕事における先輩からのアドバイスが聞けて、ためになる」等と好評です。

 ちなみに、婦人・女子部は、取り上げた御文の前後を含めて、御書一編を拝読する勉強会を行っています。その求道心に学び、壮年・男子部も頑張らねばと感じています(笑)。

 もう一つは、一人でも多くのメンバーが座談会での御書講義に挑戦することです。研さんを深め、その成果を人前で語ることが、より一層の理解につながるためです。参考になる講義動画を配信するとともに、先輩たちが手厚くフォローするなど、講義担当者が安心できる体制を整えています。

 そのほか、部別の集いでの研さんや教学を解説したショート動画の視聴、教学試験の受験の推進にも力を入れています。

 池田先生が1961年2月にタイを初訪問された際、贈ってくださった指針があります。それは「信心といっても、決して特別なことではありません。まず、朝晩の勤行をしっかり励行し、自分の周りで悩みを抱えて苦しんでいる人がいたら、仏法を教えてあげればよいのです」との指導です。タイの同志は師の思いを胸に行学の二道を進み、信頼の輪を広げてきました。

 教学を根本に全国で人材の陣列を築きながら、タイ広布の道を開いていきます。

徹底した研さんこそ、不屈の人生を生きる力――タイ青年部が機関誌を活用し、日蓮仏法を学び合う(3月、バンコク近郊のタイ本部で)

徹底した研さんこそ、不屈の人生を生きる力――タイ青年部が機関誌を活用し、日蓮仏法を学び合う(3月、バンコク近郊のタイ本部で)

パーニサラー・タームキットカチョンスックさん

タイ語版御書に尽力 

 私は2018年から順次刊行しているタイ語版御書の翻訳に携わっています。全16巻の予定で、「立正安国論」など10編を収録した第1巻に始まり、現在は11月発刊予定の第6巻の作業を続けています。

 翻訳作業は、毎週土曜日にオンラインで行います。英語版の御書をタイ語に訳した文章を見ながら議論を重ね、理解しやすい翻訳を目指します。“どうすれば日蓮大聖人のお心が通じるだろうか”と考え、日々、真剣に作業を続けています。

 タイ語版の御書の発刊によって、機関誌や本に掲載された御文のみを読んでいた状況から、御抄の一編全てを拝読できるようになりました。「毎日少しずつ学んで生活に生かしています」「生命力にあふれて正しい人生を歩む喜びを感じています」などの声が寄せられており、うれしい限りです。

 私は中学3年生の時に池田先生の話を聞いて、語学を習得する大切さを自覚。成績が振るわない中で、必死に唱題と勉強に挑戦し、英語学習に特化した高校に進学しました。その後、企業勤務などを経て、今は私立大学の国際課で働いています。留学生のサポートや外国でのインターンシップの仲介などに携わり、世界を舞台に輝く人材を育んでいます。

 語学を生かして広布に尽くす人生を送れることに感謝でいっぱいです。

タイ各地で行われた教学部任用試験。多くの会友や新入会メンバーも受験した(昨年10月、タイ本部で)

タイ各地で行われた教学部任用試験。多くの会友や新入会メンバーも受験した(昨年10月、タイ本部で)

ワニパー・キアットカイワンシリさん

御書講義などを翻訳

 私は、池田先生の御書講義などをタイ語に翻訳するチームの責任者を務めています。

 まず、ほかの7人が訳した原稿を読み、タイ人が理解しやすい言葉遣いになっているか、御文や仏法用語、池田先生のご指導などの定訳があるものと整合性がとれているかなどを入念に確認します。その後全員で、誤字・脱字などのチェックをし、最後にもう一度、私が読んで編集者に原稿を渡します。

 “皆に勇気と生命力を与えられる正確な文章を届けたい”と祈り、全員で学会活動に精いっぱい挑戦しています。私は総合本部の副婦人部長を務めており、バンコク周辺を訪問・激励に回る合間に翻訳作業を進めることもあります。

 私は17歳の時に脳炎にかかり、寝たきり状態になりました。「助からないかもしれない」と医師から告げられましたが、家族をはじめ、同志の祈りで奇跡的に回復。「皆に恩返しをしたい。そして自身の使命を果たしたい」と猛勉強し、第1志望のチュラロンコン大学文学部に入学したのです。これまで、企業の国際部門で働きながら、教学関係の翻訳作業に関わってきました。

 とても大変ですが、悩みを抱える同志に、文章を通して希望を与えられることに誇りを感じています。自分自身の使命を精いっぱい全うしていきます。