名字の言 二つの腕時計2024年4月28日

 ある男子部員は「仕事の日用」「休日用」と、二つの腕時計を使い分けている。休日用の腕時計はユニークで、文字盤の上で時を刻むのは「秒針」だけ。時針と分針は元々ないデザインだという▼時刻はスマホで確認できる。遊び心も手伝って「休みの日ぐらい、時間に縛られたくない」と購入したが、最近この腕時計を見ていて、思うことが変わったという。“常に時は刻々と進んでいく。僕も「今」を前進しよう”と▼多宝会のある壮年は数十年前、友人から特注の目覚まし時計を贈られた。セットした時刻になると学会歌のメロディーが流れるように作られた時計で、彼は大切な宝物とした▼後年、妻が脳梗塞などの大病に襲われ、夫婦で数々の試練に直面する。そのたびに信心で奮い立ち、唱題を重ね、“今、直面する苦難”を乗り越えた。時計が奏でる学会歌に勇気づけられ、後退することなく、勝利の自分史を刻んできた。これまで自宅を12回も引っ越したが、時計は今も手元にある▼「時は流れる、とわれわれは言う。しかしこれは正しくない。流れ進むのはわれわれであって、時ではない」(小沼文彦訳編)とはトルストイの言葉。現在という「時」を自分自身の意志で進んでいく。これが真実である。(白)