Z世代の記者が選ぶフォトニュース2024年4月22日

 Z世代(1990年代中盤以降生まれ)ならではの視点で、ニュースの中から注目した三つを選んでもらいました。

①美しさに注目のジャパンレッド

国宝の復元作業のために作成された色見本

国宝の復元作業のために作成された色見本

 「JapanRed®(ジャパンレッド)」と呼ばれる日本古来の染料をご存じでしょうか。その美しさに注目した展覧会やワークショップが最近、数多く開催されています。

 原料は「日本茜」という、アカネ科の蔓性多年草の根で、黄赤色をしています。

 日本茜自体は茎や葉に細かなトゲがあることから農家に好かれない一方で、その根を原料とする染料は、化学染料と比べ物にならないほどの耐久力や日本の伝統色らしい温かみがあります。そのため、日本茜を使った染め物に“たとえ日陰の存在でも、視点を変えればきっと光の当たる存在になる”というメッセージを込める人もいます。

 「茜」という言葉は、今から約1300年前の万葉集でも見つけることができます。

 「あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る」

 この和歌の「あかねさす」は、「紫」や「昼」、「朝日」の枕詞で、五文字だけで色彩、温度、当時の情景まで表現できる美しい日本語です。

 日本の歴史や文化と共に歩んできた「日本茜」。これからも注目していきたいと思います。(ゆうたぬ)
 

②授賞式に犬のマスク姿で登場

「マンガ大賞2024」の授賞式に犬のマスク姿で登場した泥ノ田犬彦さん㊧。受賞作『君と宇宙を歩くために』の第2巻は5月発売予定(4月2日、東京都千代田区で)

「マンガ大賞2024」の授賞式に犬のマスク姿で登場した泥ノ田犬彦さん㊧。受賞作『君と宇宙を歩くために』の第2巻は5月発売予定(4月2日、東京都千代田区で)

 「マンガ大賞2024」の結果が4月2日、発表されました。

 大賞を受賞したのは『君と宇宙を歩くために』。バイトも勉強もうまくいかないヤンキーの小林と、変わり者の転校生・宇野。生きづらさを抱えながらも、前に進んでいく2人の奮闘や日常を描きます。

 「マンガ大賞」は08年から毎年開催。書店員をはじめとするマンガ好きの選考員による投票・選考で、大賞が選出されます。過去の大賞受賞作には、『ちはやふる』(09年)、『テルマエ・ロマエ』(10年)、『ゴールデンカムイ』(16年)など、後に映像化を果たす大人気タイトルが名を連ねています。

 今回の授賞式では、作者・泥ノ田犬彦氏が、ペンネームになぞらえた犬のマスクをかぶって登場したことも話題となりました。ペンネームの由来は、自身がマンガを描く際に、泥の中でもがく犬のような気持ちになるからだそうです。

 そんな作者の姿が、悩みながら必死に生きる受賞作の主人公たちの姿と重なる部分があると感じました。(むう)
 

③米で核兵器廃絶のキャンペーン

米ロサンゼルスの中心部に掲示された核兵器廃絶を訴えるポスター(3月上旬=共同)

米ロサンゼルスの中心部に掲示された核兵器廃絶を訴えるポスター(3月上旬=共同)

 核兵器廃絶を呼びかけるポスターが3月上旬、アメリカ・ロサンゼルスの街中に貼られました。これは、映画「オッペンハイマー」のアカデミー賞ノミネートを受けて始まったキャンペーン「#MakeNukesHistory(核兵器を過去の物に)」(主催=核脅威イニシアチブ〈NTI〉)の一環で掲示されたものです。

 NTIは、同月7日付のロサンゼルス・タイムズ紙に「核兵器を過去の物に」と訴える意見広告を掲載。ハリウッドの俳優やアーティスト、オッペンハイマー博士の孫も名を連ねました。

 私は、核兵器廃絶を願う一人です。「未来アクションフェス」(同月24日、東京・国立競技場)に向けて行われた「青年意識調査」では、回答者約12万人のうち8割以上が「核兵器は必要ない」と答えたと聞きました。日本の若い世代にも、自身と同じ思いを持つ人が多く存在することに希望を感じました。

 二度と使われない兵器となるよう、「核兵器はいらない」との声を、世界の青年たちと共にさらに広げていきたいと思います。(慧火)