名字の言 「民衆が主役」の時代を2024年4月18日

 戦時色が濃くなり、写真作品における表現が制限されていった1930年代後半から40年代。その中で庶民側の視点を守り続けた写真家がいた。安井仲治氏もその一人。回顧展が昨秋から今月にかけ、愛知、兵庫、東京で行われた▼38歳で病没した氏が発案した「流氓ユダヤ」シリーズでは、ナチスの迫害を逃れて日本にやって来たユダヤ難民のポートレートを撮影。社会の中で虐げられた人々や見落とされがちなものと向き合い続けた▼京都に住む氏のひ孫は14年前、信心に巡り合った。彼が学会活動を通じて学んだことは、どんな困難があっても、真正面から立ち向かうこと。氏の展覧会を訪れた折、「一貫してブレない曽祖父の“審美眼”を受け継ぐためにも、信心の眼で全てを捉え、社会に貢献していきたいと改めて決意しました」と▼御聖訓に「凡夫は体の三身にして本仏ぞかし」(新1789・全1358)と仰せだ。“凡夫こそ本仏”との御断言である。民衆を離れて、日蓮仏法の精神はない。広宣流布とは「民衆が主役」の時代を築くことであり、私たちの運動の目的もここにある▼常に民衆の中に入り、苦悩する人々に希望を送る。この誇り高き生き方こそ、永遠に変わらぬ学会の伝統である。(虎)