名字の言 台湾地震の発生から2週間2024年4月17日

 スポーツは、よく「筋書きのないドラマ」と形容される。予想を超える感動は競技だけではなく、時に観客席からもたらされることもある。応援する側も“もう一人のチームメートだ”という思いがあるからだろう▼記憶に新しいところでは、本年1月2日の全国高校サッカー選手権大会。前日に能登半島地震で被災した石川県の代表として、星稜高校が出場した。会場に来られない地元の人たちに代わって観客席から大声援を送ったのは、2回戦で敗退した神奈川県の日大藤沢高校のメンバーらだった▼古くは2013年3月のワールド・ベースボール・クラシック。日本対台湾戦で、多くの観客が感謝の言葉を記したプラカードを手にしていた。日本チームの応援団が持つボードには、東日本大震災の時、支援活動などに奮闘してくれた台湾へのお礼の言葉が。一方、台湾の人は1999年の大地震の際、いち早く救援に駆け付けてくれた日本への謝意の言葉を掲げた▼99年以来となる大地震が台湾で発生して2週間。負傷者は1100人を超え、今も懸命な復旧作業が続く▼現地の方々の苦しみ、心労を想像すると胸が痛む。決して人ごとではない。“私たちは仲間だ”との思いで強盛に祈っている。(城)