〈社説〉 2024・4・1 小説「人間革命」執筆発表60周年2024年4月1日

師との“一対一の心の対話”を

 本年は、小説『人間革命』の執筆開始(1964年〈昭和39年〉12月2日)から60星霜。そして、きょう4月1日は、執筆の「発表」から60周年の佳節である。

 64年同日、戸田城聖先生の七回忌法要が厳粛に執り行われた。
 池田大作先生はあいさつの中で、恩師・戸田先生の出獄から亡くなるまでの指導や業績を、小説として書き残す準備に取りかかることを発表。さらに、学会への誹謗・中傷を「ことごとく打ち破る」小説にしていくとの決意を述べた。

 池田先生は、“師の偉業を永遠に伝え残すため、恩師の伝記ともいうべき小説を、早く手がけねばならない”と思いながらも、まずは300万世帯の達成という師弟の誓願を、戸田先生の七回忌までに果たしてから、執筆に着手しようと心に定めていた。

 「行動の人」である戸田先生の精神を伝える伝記を書くためには、広宣流布を現実に進めて、世界平和への不動の礎を築き上げなければならないとの信条だった。

 そして、62年(同37年)に300万世帯の拡大を成就。また、沖縄やアメリカに支部を結成するなど、弟子の勝利の証しをもって、執筆闘争の開始を宣言したのだ。

 65年(同40年)の本紙新年号から連載が始まって以来、『人間革命』、そして『新・人間革命』は、「創価の精神の正史」「信心の教科書」として世界中で愛読されている。

 今年1月から、聖教新聞電子版で、小説『新・人間革命』第30巻〈下〉「誓願」の章の配信がスタート。とりわけ青年世代から多くのアクセスがあり、好評だ。再びの“連載”が今、日々の挑戦への源泉となっている。

 『人間革命』の連載が始まって間もない頃、池田先生は執筆の真情を、次のように語っている。

 「学会員一人一人と膝を交えながら、心ゆくまで対話をしたい。いろいろのことを語り合いたい。教えてもおきたい。しかし、それは不可能だ。だから『人間革命』を書く。これは全学会員に送る私の真心の対話である」

 『人間革命』『新・人間革命』を通し、私たちは永遠に師との“一対一の心の対話”を重ね、共戦の道を歩む。「読む」ことが池田先生と「会う」ことである。新しい創価の弟子の大道を、勇気と智慧を尽くして開いていきたい。