〈暮らしのアンテナ〉 きょうのテーマは「サイクリングに出かけよう」2024年3月31日

  • 「春」を体感 家族や友人とも
  • アシスト付きの普及で高齢者も楽に

 日中はすっかり暖かくなり、外出の機会も増えました。サクラの開花を迎えたこの春、日頃はサイクリングをしない人も、愛車に乗って遠出してみませんか。今回は、サイクリングの魅力や事前の自転車の点検などについて、福岡県サイクリング協会に聞きました。

 春は暖かく、家族や友人と自転車で出かけるには適した時季と言えます。
 野外は室内とは異なり、春を実感させる草花や風景、雨や風などの自然にあふれています。また自転車をこぐことは、走るより体への負担が小さく、心肺機能を向上させる適度な有酸素運動にもなります。スマートフォンを使うと健康の効果が目に見えて分かります。
 近年は、電動アシスト付きの自転車も普及していることから、比較的高齢の方でもサイクリングに取り組みやすい環境になっています。
 2017年5月には、自転車活用推進法が施行され、自転車専用道路の設置や、シェアサイクル施設の整備も進んでいます。
 ここ福岡県でも、福岡市の「海の中道海浜公園」や北九州市の「北九州市立響灘緑地」が、全国紙の公園でレンタサイクルが可能なサイクリングコースランキングでトップ10にランクされています。
 私たち福岡県サイクリング協会では今月10日、岡垣町観光協会とのコラボイベント「第10回トレジャーハントツーリングin岡垣」を開催。テーマ『岡垣のいにしえを訪ね、新しきOkagakiを探せ!』の下、6歳から81歳までの139人が岡垣探検の旅に出ました。観光協会加盟店の温かいおもてなし、結果発表、岡垣産の賞品・記念品の授与などがあり、一日を楽しんでいただきました。
 交通ルールを守ることはもちろん、家族連れの場合は子ども、グループの場合は初心者に合わせて、無理のないコースを選択してください。
 また、ごみは持ち帰るなどマナーを守ることも大事です。
 サイクリングを安全に楽しむ前に自転車各部を点検することは必須です(詳細は「出発する前に」参照)。自身での点検が難しい場合、お住まいの近くのサイクルショップでメンテナンスしてもらうとよいでしょう。
 地域のおいしい食べ物を味わったり、新鮮な風景や街並みを撮影したり、人との交流が深められる機会があるのもサイクリングの魅力。「春」を感じるサイクリングに出かけられてはいかがでしょうか。

出発する前に

ブレーキ、タイヤ、ライトなど点検

 点検のポイントは「ブ・タ・ハ・シャ・ベル(ブタはしゃべる)」です。
 「ブ」は、前輪・後輪のブレーキ。ワイヤがさびていたり、緩んだりしていないか、きちんと効くか。
 「タ」は、タイヤ。空気は十分に入っているか、すり減ったり、何かが刺さっていたりしないか。
 「ハ」はハンドル。上から見て曲がっていないか。
 「シャ」は車体で、サドルに座った時に両足が地面に付くか、ライトは点灯するか。
 「ベル」は、音がきちんと鳴るか。
 快適なサイクリングは、これらの部品が十分に機能して初めて可能です。

服装のポイント

吸湿性、保温性など考えて

 春といっても3月下旬から4月上旬はまだ、日によって寒い時と暖かい時があります。遠出の際は、服装選びも大切になります(イラスト参照。右は暖かい時、同左は寒い時の服装例)。
 気温が比較的高い時は、吸湿性がよく、乾きやすい服を。パンツは伸縮性がある七分丈がお勧めです。裾が広がると、チェーンに巻き込まれる危険があります。
 気温が低い時は、アンダーウエア選びが重要。初めは寒くてもサイクリングをするうちに汗をかくので吸湿性と保温性に優れた素材のものを選んでください。その上にジャージーやジャケットを着るなど、当日の天気や体調に合わせてください。
 ヘルメットは着用の努力義務があり、転倒した時のけがを防ぐためにも必須です。サングラスも急な雨やごみの飛来から目を守ってくれます。
 また、グローブは長時間ハンドルを握った時の手の痛みを軽減してくれます。

無理なく走行するために

小まめな休憩と水分補給

 サイクリングを楽しむためには無理のない計画を立てることとともに、忘れてはならないのが、休憩を小まめに取ること。予想以上に汗をかいてきます。喉が渇いたと感じる前に自転車を止めて、十分な水分補給を行ってください。
 休憩の目安は、サイクリングの経験が少ない場合は20~30分に1回程度。1回当たり5~10分くらいの休憩を取りましょう。
 水分補給の他、食べるとすぐにエネルギーに変わるチョコレートや果物なども疲労回復に適しています。

全国にある さまざまなコース

レベルや日程に合わせて

 サイクリングは場所を選びません。自宅周辺であっても、近くの公園や近隣の市町村まででもOK。
 その上で、全国にはさまざまなサイクリングコースが設定されています。
 愛媛県と広島県を結ぶ「しまなみ海道サイクリングロード」は、日本で初めて海峡を横断できる自転車道です。
 歴史と文化にあふれる島々を結ぶ、全長約70キロの海の道を、サイクリングで満喫できます。
 広島県尾道市から愛媛県今治市の間にある「しまなみ海道」沿線の自治体ではレンタサイクルを利用でき、各地区にあるレンタサイクルターミナルや今治市内の一部のホテル、旅館で乗り捨て可能です。
 茨城県では、「つくば霞ケ浦りんりんロード」が有名。ルートの一つでは、潮来市から土浦市まで、霞ケ浦北岸を走る約40キロの霞ケ浦自転車道に加えて、南岸にもコースが整備されており、霞ケ浦を一周することができます。長さは約140キロですが、コースは比較的平たんで、女性や初心者の方でも気軽に楽しめます。
 また、旧筑波鉄道の廃線跡と霞ケ浦湖岸を結んだルートも。首都圏からのアクセスの良さに加え、旧駅舎を利用した休憩所が好評を博しています。
 関西では、琵琶湖一周サイクリングコース(ビワイチ)が有名。琵琶湖が最もくびれて細くなっている琵琶湖大橋から北側を北湖、南側を南湖と呼び、北湖一周で約150キロ、北湖・南湖一周で約200キロです。
 1泊2日や2泊3日で回ったり、今回は湖西、次回は湖東というように数回に分けて走ったりしてはいかがでしょうか。