〈名字の言〉2024年3月19日

 高校野球の監督を経験した壮年部員の話がとても興味深かった。かつて左翼手のレギュラーを2人の選手が争った。1人は無失策の手堅い守備が定評。もう1人は難しい打球も飛びついて捕る好プレーで何度もチームの危機を救った。壮年が選んだのは前者の選手だった▼前者は相手チームの各打者のデータを事前に研究し、試合前は打撃練習を観察していた。「彼は打者ごとに、あらかじめ守備位置を移動していた。だから打球を体の真正面で処理することが多かった」▼勝利を確実にする「“陰の努力の人”こそ本物の実力者」と語る壮年の持論を聞き、多宝会のある先輩を思い出した。以前、本紙配達員を35年間務めた方。その頃の話を伺った際、「私は大病やリストラなどの試練を克服したとか、皆が驚くような体験はありません」と恐縮していた▼だが“翌朝の配達”のための努力は欠かさなかった。冬季は風邪をひかないよう、首にタオルを巻いて眠った。また、仕事の疲れを明日に残すまいと、毎日、効率的な段取りを明確にしてから仕事を始めたという▼どんな偉業も強固な礎の上に築かれる。創価の同志の尊い“陰徳”の積み重ねがあればこそ、世界広布も地域広布も盤石なものとなる。(城)