〈子どもと学ぶ日蓮大聖人の門下たち〉=完 池上兄弟2024年3月10日

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 武蔵国池上(現在の東京都大田区)で、日蓮大聖人さまの弟子として、信心の炎を燃やしていたのが、池上宗仲と、その弟・宗長でした。

 ある時、池上兄弟のお父さんが宗仲に、「法華経の信仰を捨てなければ、池上家から追い出すぞ!」と、言い出しました。自分と違う教えを信じていた宗仲を、無理やり従わせようとしたのです。

 しかし宗仲が、「この教えだけは捨てません」と答えたため、お父さんは宗仲との親子の縁を切ってしまいました。
 この時、宗長は、とても迷ってしまいます。兄が追い出されれば、弟である自分が池上家を継げることになります。しかし、そのためには自分も法華経の教えを捨てなければなりません。

 とても悩んだ宗長でしたが、兄と一緒に信仰を貫くことを決意します。“真面目に、この信仰を続けていこう! 必ずお父さんにもわかってもらおう!”と考えたのです。

 そこに、大聖人さまからのお手紙が届きます。
 「鉄を炎で鍛える時、中にある傷が表面に現れてくるように、法華経を信じ抜く人には、このような苦難が必ず起こるのです。今こそ、真金のように輝く、強い信心で乗り越えるのですよ」

 勇気の炎が二人の心に燃え上がります。その後も二人は、何が起ころうとも負けることはありませんでした。
 そしてついに、兄弟の素晴らしい姿に心を打たれたお父さんも、法華経の教えを信じるようになったのです。

 それから数年後、大聖人さまは身延の山から池上兄弟のところへ。そこで最期まで弟子たちを育て抜き、息を引き取られました。池上兄弟の胸には“師匠のために頑張っていこう”との炎がますます燃えていました。

 大聖人さまは池上兄弟に、このように言われていました。
 「どんな大変な中にあっても、信心を続けた、あなた方二人のことは、きっと未来まで長く語り継がれる物語となっていくことでしょう」

 この言葉の通り、池上兄弟の物語は、今も多くの人々に勇気と希望の光を送っているのです。

[道しるべ]難を乗り越える信心

 兄の池上宗仲は、法華経を信じていることを理由に父親に二度、勘当されましたが、信心が揺らぐことはありませんでした。一方、弟の宗長は、兄の代わりに家を継げる立場になったことなどから、心が揺れていたようです。
 日蓮大聖人は、二度目の勘当の際、“宗長が信心を曲げてしまわないか”と、深く心配されていました。そこで大聖人は宗長に宛てて、「必ず三障四魔という障害が現れるので、賢者は喜び、愚者は退く」(新1488・全1091、通解)とつづり、信心の姿勢を教えられました。この“苦難に喜んで立ち向かう賢者たれ”との師の思いを胸に、宗長は、宗仲と心を合わせて、難局を乗り切ります。やがて父も法華経を信じるに至ったのです。
 池上兄弟をはじめ、「子どもと学ぶ」シリーズで取り上げてきた門下の物語には、いかなる難をも信心で乗り越えていく姿が描かれています。
 池田先生は、「『難を乗り越える信心』こそ、創価学会伝統の信心」と教えています。「難を乗り越える信心」で、人生と社会の障魔に打ち勝ち、広宣流布へ前進していく――ここに、日蓮仏法の魂があるのです。

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