〈みんなで学ぶ仏法〉8 「境涯」ってどういうもの?2024年3月10日

一人の変革から平和は広がる

登場人物

 ハル その人の「キャパシティー(容量)」みたいなイメージなのかな。
  
 ユリ いろんな表現があると思うけれど「境涯」とは、「心の広さ、深さ」のことともいえるよ。
  
 アオ うーん。
 イマイチ想像できないなあ。
  
 ユリ そうね。例えば、雨が降った日、どう感じるかしら。
 “傘が必要になるし、自転車に乗るのも大変になるし、嫌だな”と思う時もあれば、雨の音で落ち着いた気分になったり、好きなレインコートなどでおしゃれを楽しんだりする時もある。
 同じ雨でも、自分の「境涯」次第で見え方、感じ方は変わっていくの。
  
 ハル 確かに、ダンス部の練習で、うまくいかなかった時に落ち込む場合と、“もっと頑張ろう”と思える時があるかな。
  
 アオ この前、寝起きの機嫌が悪く、お気に入りの目覚まし時計が、なぜか憎たらしく見えてしまったよ(笑)。
  
 ユリ 御書には「欲望に支配された心を持つ者には恒河(=ガンジス川)が火と見える。普通の人には水と見えるし、喜びの気持ちに包まれた天界の人には甘露(=不死の飲料)に見える」(新1426・全1050、趣意)と示されているの。同じガンジス川の水でも、境涯によって見え方が大きく異なるとの仰せよ。
 信心に励むことによって「境涯」は、どこまでも変革していくことができるわ。
 そのことによって物事の見え方、捉え方がより広く、深く、豊かになっていくのよ。

 ハル 言われてみれば、毎日の勤行・唱題に挑戦している中で、何かに失敗しても、“この経験は次に生かせるな”と思うようになったかな。
  
 アオ 僕は以前、自分のことばかり祈っていたけど、友達が大変な状況にあったり、部活の試合を控えていたりすることを聞くと、“乗り越えてほしい、試合に勝ってほしい”と祈るようになったなあ。
 最近は自分より、友達のことばかり祈っていて、自分のことも祈らなきゃと思っているよ。
  
 ユリ 2人とも、素晴らしいわね!  
 私も、学会活動に挑戦する中で、目の前の仕事しか見えていなかった自分から、職場の皆が仕事をしやすくなるように気を配る自分に変わったと実感しているわ。そうすると、皆も同じように周囲のサポートを考えて仕事するようになったの。
 池田先生は、小説『新・人間革命』第1巻「旭日」の章で「自分の境涯が変われば、自然に周囲も変わっていきます」とつづられているわ。
  
 ハル なるほど。自分の周りの「境涯」にも影響していくんだね。
  
 ユリ 池田先生は「人間革命の仏法は、全人類の境涯を高めます。“人間が人間らしく生きる世界”を築いていく希望が、ここにあるのです」とも教えられているの。
 創価学会は、仏法の平和主義を、一人一人の“境涯の変革”から広めているわ。だから、世界の平和のため、「核兵器の廃絶」や「気候危機」の問題にも積極的に関わっているのね。
  
 アオ すごいことだね。僕も、もっと大きな境涯になれるように頑張るよ!
  
 ユリ あら、「友達のことばかり祈っていた」なんて、すでに立派な境涯だと思うわよ。