誓願 298~299ページ 【小説「新・人間革命」】第30巻〈下〉2024年3月8日

 学会員は、新聞の報道などで、宗門の宗規改正によって、名誉会長の山本伸一や学会の首脳幹部らが、法華講総講頭・大講頭の資格を失ったことを知った。
 同志たちは、予期せぬ事態に驚くとともに、宗門への強い怒りを覚えた。
 「なんで宗門は、こんな理不尽なことをしたのか!」「宗門を大発展させたのは、山本先生ではないか! その先生の総講頭資格を、なんの話し合いもなく、一方的に喪失させるとは何事だ!」
 資格喪失の通知が届いたのは、二十九日であった。年末の慌ただしい時期ではあったが、学会では、各県・区で、緊急の幹部会を開くなどして、宗門の問題について状況を説明した。迅速な対応であった。
 「われわれは時すでに遅しとならないうちに今行動しなければならない」とは、アメリカ公民権運動の指導者マーチン・ルーサー・キング博士の叫びである。

 学会が「平和と拡大の年」と定めた一九九一年(平成三年)が明けた。
 伸一は、新年の出発にあたって、和歌を詠み、「聖教新聞」をはじめ、各機関紙誌に発表した。このうち、「聖教新聞」に掲載された和歌の一首は──
 「新春を 共に祝さむ 喜ばん
      皆勇猛の 心光りて」
 『大白蓮華』に掲載された三首のうちの一首には──
 「恐れなく 妬みの嵐も 烈風も
       楽しく越えゆけ 自在のわれらは」
 創価の同志は、この新春、全国各地の会館で、また、海外七十五カ国・地域で、晴れやかに新年勤行会を開催し、希望あふれる一年のスタートを切った。
 伸一は、学会本部での勤行会に参加した各部の代表と、学会別館で新年のあいさつを交わし、励ました。
 「世界広布の新しい時代の扉を開こうよ。烈風に向かって、飛び立つんだよ」