〈社説〉 2024・3・7 ストレス社会に負けない2024年3月7日

健康を守るつながり強固に

 アフターコロナの今、一時のブームが復調しているのがサウナだ。

 現代人はパソコンやスマホなどで四六時中、多くの情報に触れる。街を歩いても電車に乗っても、目や耳に飛び込んでくる。何かに追われているようで、頭の疲れを感じる人も多いだろう。

 3月7日は「サウナの日」とされるが、サウナは「熱い」「冷たい」を繰り返し感じながら、自律神経を整えるもの。情報の渦を離れ、心身をリラックスさせる体験は、ストレス解消にもつながる。

 サウナに限らず、ランニング、料理、推し活などストレス解消につながる活動は多様化している。日本では、2015年から一定規模の事業所に労働者のストレスチェックを義務づけた。各人がストレス状態を知ることで、心の不調を未然に防ぐための仕組みだ。ストレスは万病の元といわれ、過剰にため続ければ、心身に深刻な影響を及ぼす。ストレスのコントロールが求められる時代である。

 本紙に登場した東北大学名誉教授の辻一郎さんは、ストレスの緩和に直接につながるものとして、何かあった時に「大丈夫だよ」と言ってくれたり、愚痴をこぼし合えたりする人間関係を持つことを挙げていた。家族や友達、身近な人とのつながりがある人はレジリエンス(困難を乗り越える力)が強く、精神的な回復が早いとも。ちょっとしたことを話し合える友がいることは、健康を守る意味でも、とてもありがたいことだ。

 一方、誰人もストレスと無縁ではいられないのも現実だ。生きること自体が常に何かのストレスを抱えることとも言える。ストレスを避け、行動することをおっくうがっていては、かえって不健康にもなろう。ストレスに強い自分をつくることも大切だ。順天堂大学医学部の小林弘幸教授は、「ストレスを受けること自体は決して悪くない」ことだとし、嫌だ嫌だと逃げると余計にダメージが大きくなるものだから、むしろストレスと感じることに立ち向かうことで、ストレスがストレスではなくなることがあると述べている(『ストレス万歳!』PHP研究所)。

 自分にとって、少し高い目標を掲げて挑戦してみる。その行動は、ストレスに負けない耐性のある自分をつくることにつながる。多忙な社会だからこそ、上手にストレスと付き合いたい。