おはようございます。部屋の温度は9℃。全ては祈りから始めよう。人として最高の行為は祈り。自発性から祈りは始まる。今日も意味ある生き方をしよう。今日もお元気で!

 

〈世界青年学会 開幕キャンペーン〉 ルポ 沖縄家族の結合力2024年3月6日

  • ユイマールは祈りから

 地縁・血縁の強い沖縄には、郷土のつながりを維持する役割を担ってきた年中行事や営みが多くあります。各家庭における先祖崇拝の風習として、うちなーぐち(沖縄の方言)で「ウートートー」と唱え、両手を合わせることも。一方で近年、若い世代は、これまでの慣習や特定の宗教文化にとらわれない傾向があるとされます。そうした中で沖縄創価学会は今、題目という“世界の平和と自他共の幸福を願う祈り”と励ましを通し、信仰の有無をはじめ地縁・血縁や世代・立場も超えて、多くの人々を結び付けています。その様子を取材しました。(記事=大宮将之)

恩納村の青い海と空を望む。創価学会の沖縄研修道場は同村に立つ

恩納村の青い海と空を望む。創価学会の沖縄研修道場は同村に立つ

 三線の弦を一本一本はじく音が、恩納村の沖縄研修道場内にある会館の一室から聞こえてきました。
  
 記者が訪れたのは、先月25日。夏が来たかと錯覚するような温かい音色に誘われて入ってみると、そこには練習にいそしむ老若男女の方々が。世代を尋ねると下は小学生から上は80代、演奏経験も玄人から初心者まで実に多様です。県外出身者もいます。今月開催の「OKINAWA未来祭」に向け、“三線隊”の集いが行われているところでした。
  

  
 出演者は学会活動に熱心な人ばかりと思われがちですが、「決してそうではないんです」と銘苅沖縄青年部長は語ります。普段の会合にあまり参加していない人もいれば、そもそも入会していない人も多いそうです。これは他の演目――ウインドオーケストラやエイサー、青年世代による歌やダンス、さらには小・中・高生世代の合唱にも共通していると言います。
  
 「世界で分断や対立が深まる中、立場の違いを超えて手を取り合い、平和と希望のメッセージを発信していけるかどうか。ここに、沖縄の挑戦もあるんです」(銘苅青年部長)
  

「OKINAWA未来祭」のコンセプト。出演者が練習のたびに確認し合っている

「OKINAWA未来祭」のコンセプト。出演者が練習のたびに確認し合っている

未来祭の合唱に出演する中学・高校生が思い思いのポーズで

未来祭の合唱に出演する中学・高校生が思い思いのポーズで

必ず変われます

 三線の練習に励む人の輪の中に、勇大樹さん(沖縄戸田県青年部長)の紹介で昨年入会したメンバーの姿がありました。高良勝彦さん。12年前に看護師として勤めていた介護施設で、介護福祉士である勇さんと出会ったそうです。
  
 共通の趣味であるギターを通じて交流を深めていくうち、信心の話を聞きました。「でも、特に悩みもなかったし……」。職場が変わったこともあって次第に疎遠となり、勇さんからの電話にも出なくなりました。
  
 転機は3年前。高良さんが訪問看護ステーションの代表に就いてからでした。責任者としての“人間力”不足を痛感したのです。
  

  
 そんなある日に鳴ったスマホ。画面には「勇」の文字。思わず応答ボタンを押すと、懐かしい声が。理屈ではない何かに心を動かされ、高良さんは近況を話していました。連絡を絶っていた間も、勇さんがずっと題目を送り続けてくれていたことを知るのは、後の話です。
  
 再び交わり始めた二人の時間。やがて高良さんの苦衷を察した勇さんは言いました。「入会しなくてもいい。一緒に祈りましょう。必ず変われます」
  
 週2回、勤行を共にするようになり、終わった後には浜辺に移動して二人でギターを奏でることも。座談会で一緒に演奏を披露したこともありました。創価家族の笑顔と喝采。どんなにうれしかったでしょうか。
  
 勇さんの言葉は本当でした。生命を変革する題目の力を実感し、高良さんは自ら入会を申し出たのです。早速、折伏への挑戦も開始しました。本年1月には、沖縄戸田県の加島幸治県長が共に唱題を重ねてきた30代の男性と対話。その青年は高良さんの体験を聞いて入会を決心し、御本尊を受持しました。
  

勇大樹さん㊧と高良勝彦さんが三線を手にして

勇大樹さん㊧と高良勝彦さんが三線を手にして

沖縄戸田県男子部の友

沖縄戸田県男子部の友

友人のおかげ

 「祈り」を共にすることは、「悩み」も「喜び」も共にすること。友と胸のうちを開き合い、一緒に唱題する時間を通して、心がつながる。自分自身も境涯を広げ、「今生人界の思い出」(新519・全467)を築いていける――これが、沖縄の友の確信です。
  
 長田昂平さん(男子部部長)の友人は、7年前の交通事故によって左足のまひと高次脳機能障害に苛まれてきました。長田さんが彼と一緒に勤行するようになったのは1年半前。祈った後、リハビリをかねて海岸を散歩しながら、未来への夢を、希望を、語り合いました。会合にも参加するようになり、生き生きとしていく友人の姿に「僕の方が勇気をもらったんです」。
  
 友人は9人のきょうだいと両親の全員に学会に入会することを伝え、新たな人生をスタート。合唱で出演する未来祭には、きょうだいと両親も鑑賞に来てくれる予定です。
  

長田昂平さん㊨が友人と

長田昂平さん㊨が友人と

  
 エイサーの指導担当者を務める盛根葵さん(池田華陽会・県サブキャップ)が題目の力を実感したのは、母が悪性リンパ腫を乗り越えた時のことです。地域の同志が幾歳月も重ねてくれた、同苦の祈りと励まし。一家がどれほど支えられたか分かりません。
  
 恩ある大好きな創価家族に「少しでも喜んでもらえたら」と、幼なじみの城間妃奈さん(県サブキャップ)と一緒に、未来部時代から座談会で得意のエイサーを披露してきました。未来祭には、盛根さんの友人もエイサーの舞台に臨みます。「その友人のおかげで、今はさらに信心を頑張ろうと思えるんです」 

エイサーの指導担当者を務める盛根葵さん

エイサーの指導担当者を務める盛根葵さん

私もそうだった

 三線隊が沖縄研修道場内の別会場へ移動しました。ウインドオーケストラと合奏練習を行うためです。
  
 100人を超えるその吹奏楽団に、クラリネットを初めて手にしたというヤング白ゆり世代の友がいました。関西出身の上圓さやかさん(副グループ長)。創価大学を卒業後20年弱、学会の庭から離れていました。
  
 理由は一言で言い表せません。20年前に弘教を実らせた友人と疎遠になってしまったこと。学会組織への苦手意識。未入会の夫と結婚して10年、子宝に恵まれずにいたこと――幸せそうな人を見るたび、ドロドロとした感情が湧く自分がイヤで仕方ない。「それでもプライドが邪魔して、誰にも相談できなくて……」
  
 一昨年12月、心を唯一、許していた関西在住の姉に「助けて!」と電話したところ、ピシャリと言われたのです。「座談会に出てごらん。いろんな人の人生に触れれば、見える世界も、あなたの心も広がるから」
  

ウインドオーケストラと三線隊が合奏。世代も立場も十人十色

ウインドオーケストラと三線隊が合奏。世代も立場も十人十色

  
 その通りでした。驚いたのは、信心の喜びを生き生きと語る新入会者の姿。上圓さんは思い切って、女性部の先輩に懇談を求めました。幻滅されても構わないと、洗いざらい打ち明けたのです。組織への苦手意識も、子どもがいる友人への劣等感も……。先輩は目を真っ赤にして応えました。「私も、そうだったの」。それでも信心で心を磨き、多くの人に尽くしてきたことで今がある。「祈ろう。必ず幸せになれるから!」
  
 私も生きたい。この人みたいに――上圓さんが、そう祈るようになって1年。「子育てに忙しい同志の話や友人の愚痴を、じっくり聞ける自分になろうと思えるようになったんです。ママの心が軽くなって笑顔になれれば、結果的に多くの子どもたちを笑顔にして、育んでいくことにもつながるじゃないですか」
  
 それが自身の喜びにも通じていく――上圓さんの周りにユイマール(助け合い)の心が広がりました。20年前の弘教後に疎遠になった友人にも、勇気を出して連絡を取り、励ましを重ねて“同盟唱題”を開始。功徳はすぐに顕れました。「友人が『信心を教えてくれてありがとう!』と言ってくれた時は、夢みたいで……」
  
 昨秋と本年1月にも、上圓さんの知人がそれぞれ御本尊を受持。未入会の夫も学会活動を快く応援してくれ、感謝は尽きません。

上圓さやかさん㊧が同じクラリネットパートの未来部員と

上圓さやかさん㊧が同じクラリネットパートの未来部員と

悩みも喜びも共に
人間らしくあるために

 ユイマールの語源は「結(ユイ)」という人との結び付きが「回る(マール)」こと。他者と苦楽を分かち合う“おたがいさま”の意味も含まれています。
  
 “沖縄家族の結び付きは生涯の宝”と、池田先生はたたえました。「人間が人間らしくあること、本当の意味での充足感、幸福感は“結び付き”を通してしか得られない」。これが先生の信念でもあったのです。
  
 あらゆる差異を超え、わが地域の人々の幸福と世界の平和を願う祈りで結ばれた“人間家族”の姿の中に、世界青年学会の実像もあるに違いありません。
  

未来祭のダンスや合唱に出演する青年世代の代表が朗らかに(先月25日、浦添文化会館で)

未来祭のダンスや合唱に出演する青年世代の代表が朗らかに(先月25日、浦添文化会館で)

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