〈英知の光源 希望の哲理に学ぶ〉 テーマ:仏意仏勅の使命2024年3月5日

 連載「英知の光源 希望の哲理に学ぶ」では、仏法理解を深めるための鍵となる教学用語や法理を解説。また、関連する池田先生の指導を掲載します。今回は「仏意仏勅の使命」について。創価学会が目指す根本の目的を学びます。

池田先生の指導から

 一人が立ち上がる。そして、その一人が新たな一人と共に立ち上がっていく。広宣流布とは、どこまでも地道な戦いだ。(中略)
 目の前の一人の背後には、家族や友人がいる。無数の縁が広がっている。一人を誠実に励まし、希望を送ることは、私たちがまだ知らない誰かをも勇気づけていく大いなる因となるのだ。
 恩師は断言された。
 「学会は、どんどん大きくなるだろうが、一人を大切にする心を忘れないかぎり、盤石だよ」
 この心を胸に、一人また一人と忍耐強くつながりゆく挑戦の中に、立正安国の大河もあるのだ。(中略)
 御書には「源渇けば流尽くる」(全1230・新1703)とある。淵源を忘れるな、との厳誡である。学会においての「源」――それは「師弟」だ。(中略)
 師と心を合わせれば、勇気は漲る。智慧が湧く。力も無限に出てくる。「師匠ならば、どうされるか」――この師弟の命の対話がある限り、揺るがない。惑わないのだ。(本紙2021年2月25日付「随筆『人間革命』光あれ」)

Q1:創価学会が目指す 広宣流布について教えてください。

 「我滅度して後、後の五百歳の中、閻浮提に広宣流布して、断絶して悪魔・魔民・諸天・竜・夜叉・鳩槃荼等に其の便を得しむること無かれ」(法華経601ページ)
 大乗仏典の精髄である法華経の、薬王菩薩本事品第23において示された釈尊の遺命――。それは、釈尊滅後の悪世において、法華経の教えを閻浮提(全世界)に弘め、一切衆生を救っていくことにほかなりません。
 日蓮大聖人は諸御抄でこの経文を引き、法華経の肝心である南無妙法蓮華経の大法を全世界に広宣流布する使命について、幾重にも強調されています。
 法華経如来神力品第21では、その使命が、上行菩薩を上首(リーダー)とする無数の地涌の菩薩に託されることが明かされました。
 大聖人は、竜の口の法難佐渡流罪という最大の法難以降、御自身を「教主釈尊の御使い」(新1527・全1121)であると位置づけられました。これは、御自身の忍難弘通の闘争をもって、上行菩薩の使命を果たしているという御自覚を表明されたものです。
 その上で、大聖人は、単に釈尊から託された妙法を弘める菩薩にとどまりません。南無妙法蓮華経の三大秘法本門の本尊本門の戒壇本門の題目)を確立して、誰もが成仏できる道を現実に開いた大聖人は、釈尊に代わって末法の衆生を救済する「教主」です。その意義から、創価学会では大聖人を「末法の御本仏」と尊崇します。
 仏意仏勅の教団である学会は、「一閻浮提に広宣流布せんことも疑うべからざるか」(新173・全265)との御本仏・日蓮大聖人の御遺命のままに、現代に広宣流布を成し遂げていくことを使命としています。

Q2:日蓮大聖人は数ある仏典のうち なぜ法華経を宣揚したのでしょうか。

 それは、法華経の中にのみ、あらゆる仏を仏ならしめ、ひいては万人を成仏させる一念三千の教えが内包されているからです。
 だからこそ、大聖人は「一念三千を識らざる者には、仏、大慈悲を起こし、五字の内にこの珠を裹み、末代幼稚の頸に懸けしめたもう」(新146・全254)と述べ、「法華経の肝心たる南無妙法蓮華経」(新164・全258)を末法に弘めるべき三大秘法として打ち立てられました。
 「報恩抄」では、この三大秘法こそ、いかなる仏教者も弘めていない前代未聞の大法であると示し、三大秘法の確立によって、全人類が根源的な不幸へと転落する道がふさがれたと宣言されました。まさに、一切衆生を救わんとする御本仏の大慈大悲を拝せるでしょう。
 大聖人は、この大法が「万年の外未来までもながるべし」(新261・全329)と展望し、門下たちにも「二陣三陣つづきて」(新1227・全911)と仏意仏勅の使命に立ち上がるよう呼びかけられました。
 池田大作先生は、つづっています。
 「広宣流布とは、妙法を弘めた果ての到達点ではなく、どこまでも『二陣三陣』と妙法を弘めゆく流れそれ自体であり、生きた仏法の現実社会への脈動といえます」
 大聖人の熱願に呼応して、事実の上で、日本中、世界中に妙法を弘めてきたのは“創価三代の師弟”です。その実践に連なる地涌の連帯は、今や192カ国・地域にまで広がっています。

Q3:創価学会の出現によって 世界広布が実現したのですね。

 1942年(昭和17年)5月、戦時下の当時、思想統制が強まって学会への弾圧が迫る中、初代会長・牧口常三郎先生は公式の場で、創価学会(当時は創価教育学会)が“広宣流布を目指す団体”であることを宣言しました。
 戦争による焼け野原に一人立った第2代会長・戸田城聖先生は、殉教した先師の思いを継いで学会を再建。「この世から悲惨の二字をなくしたい」と妙法弘通の旗を掲げ、生涯、民衆救済の闘争を貫きました。
 その遺志を継承した池田先生は、人類全体が無明に覆われつつある現代に、人間主義の対話によって世界を希望の光で照らし、人道と平和のネットワークを地球規模で結び広げてきました。
 今や、世界中の識者たちが、日蓮仏法に基づく創価の哲学に期待する時代を迎えています。
 間もなく迎える3・16「広宣流布記念の日」――1958年(昭和33年)のこの日、戸田先生は、集まった6000人の若人を前に、“学会は宗教界の王者なり”と宣言し、池田先生を中心とする青年に、広布誓願のバトンを託しました。
 後に池田先生は、この時の恩師の心情について、「広宣流布とは決して狭い宗教次元にとどまらない。大きく堂々と、社会の平和と繁栄に関わることを示されようとした」と随筆に記しています。
 人類の救済という仏意仏勅の使命に、身命を賭した創価三代の師弟。その心を受け継ぐのは、誉れの弟子である私たちです。世界広布の未来を開くのは“今ここから”と、師弟共戦で広布拡大に挑んでいきましょう。