〈教学〉 3月度座談会拝読御書2024年3月3日

  • 兵衛志殿御返事(三障四魔の事)

拝読御文

 しおのひるとみつと、月の出ずるといると、夏と秋と、冬と春とのさかいには、必ず相違することあり。凡夫の仏になる、またかくのごとし。必ず三障四魔と申す障りいできたれば、賢者はよろこび愚者は退く、これなり。(御書新版1488ページ4行目~6行目、御書全集1091ページ15行目~16行目)

〈池田先生の指針から〉 戦うことは喜び

 三障四魔といっても、できるものなら、困難には遭遇したくない。そう思うのは、人間の素朴な心情かもしれません。
 しかし日蓮大聖人は、三障四魔が出来することは「喜び」であると仰せになっています。
 なぜ、障魔が競い起こることが「喜び」なのか。どうすれば「喜び」となるのか。
 結論を先に言えば、その障魔の坂を上り切るなかで成仏の境涯が築かれ、頂上には常楽我浄の大眺望が開かれるからです。
 三障四魔について、戸田先生は幾度も語られました。三障四魔が出来することは、小さな功徳の山から、成仏という大境涯の山に登る際の谷間に生ずる生命の鍛錬である、ということを打ち込んでくださったのです。
 大切なのは、三障四魔の捉え方です。「これは、自分が呼び起こした障魔だ!」と自覚することです。
 一見、障魔から攻め込まれているように思うことがあるかもしれない。しかし本質は逆です。私たちが自ら勇んで成仏の峰に挑んだがゆえに、障魔が競い起こったのです。
 魔が競うのは、正法である証です。実践が正しいことの証明です。
 どこまでも、主体者は自分です。永遠の常楽我浄の幸福境涯を得るために避けて通ることのできない試練である――こう覚悟した者にとって、障魔と戦うことは最高の喜びとなるのです。(『勝利の経典「御書」に学ぶ』第13巻)

障魔の坂を上り切り、成仏の大境涯を築く
 

キーワード① 不退の人生をまっすぐ

 本抄をいただいた当時、兵衛志、つまり池上兄弟の弟・宗長は人生の岐路に立たされていました。
 極楽寺良観を信奉する父が兄弟の信仰に反対し、兄・宗仲に2度目の勘当を言い渡したのです。武家社会における勘当は、家の相続権を失うことを意味します。それでも宗仲は信心を貫く決意でした。
 一方で、兄が勘当されれば、自分が家督を譲り受けることになる宗長は、信仰を取るのか、社会的な地位や財産を取るのか、選択を迫られていたのです。
 大聖人は「あなたは目先のことにとらわれ、信仰を捨ててしまうでしょう。道理の分からない世間の人々は、それをほめるでしょう」(新1487・全1091、趣意)と、宗長の揺れる心境を鋭く指摘されます。
 その上で、潮の満ち引きや四季の変わり目に変化が起こるように、凡夫が仏に成る時も三障四魔が競い起こるのです――と、信心に励んできた兄弟にとって、この苦難は障魔によるものであると見破られています。
 そこからは、“今こそ一歩深い信心に立ち、勝利の人生を開きゆくのだ!”との、大聖人の厳愛が伝わってきます。
 その後、師の指導通りに信心を貫いた池上兄弟は、父親を入信に導くなど、一家和楽を築くことができたのです。
 試練に直面し、悩み迷う時も、仏法の眼があれば障魔を見破り、正しき方向へと進むことができます。いかなる時も信心を貫き、不退の人生を真っすぐに歩み抜いていきましょう。

キーワード② どこまでも学会と共に

 賢者はよろこび愚者は退く――三障四魔が競い起こった時に、喜び勇んで前進するのが賢者の生き方であることを教えられた御文です。
 まさに、迫害に遭うほど、いよいよ強盛な信心で広布の闘争を貫かれたのが日蓮大聖人でした。その尊きお姿を模範とし、多くの門下が、難と戦い、仏の境涯を開いていったのです。
 苦難に立ち向かうことで、境涯を大きく広げることができます。では、現代に生きる私たちが魔を打ち破り、賢者になっていくためには、どのような実践が必要でしょうか。
 池田先生は本抄の講義の中で次のように教えています。
 「魔と戦う時に大事なことは、第一に『題目』です。自身の仏の境涯が躍動すれば、魔に打ち勝つことができます。そして、第二に『和合僧』の世界に入ることです。環境によって自分の生命を支配されてはならない。勇んで『信心の世界』に飛び込むことです。不惜身命の師と共に、異体同心の同志と共に進むことです」
 大聖人直結の「賢者の信心」は今、あらゆる障魔をも追い風に変えて、世界広宣流布にまい進する創価学会に受け継がれています。
 日々、題目を唱え抜くとともに、仏意仏勅の和合僧(集い)である学会の中で、同志と励まし合うことが大切なのです。
 「どこまでも学会と共に!」と信心を実践する時、わが生命が仏の大生命に連なり、いかなる障魔にも、喜び勇んで立ち向かっていく生命力が湧き上がるのです。
 
 
 
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 ※御文、通解、英文が聞けます。