〈インタビュー〉 ナイツ・塙宣之さん初監督 映画「漫才協会 THE MOVIE~舞台の上の懲りない面々~」2024年2月29日

  • あす3月1日(金)から全国公開

◆浅草の芸人が“なぜ舞台に上がり続けるのか”を撮りました

塙宣之さん

塙宣之さん

 3月1日(金)公開のドキュメンタリー映画「漫才協会 THE MOVIE~舞台の上の懲りない面々~」で監督デビューを果たす、お笑い芸人のナイツ・塙宣之さん。昨年6月、一般社団法人漫才協会の会長に就任。浅草に“新風”を巻き起こす“塙監督”の渾身の力作に、期待は膨らむ。過日、塙監督に作品に込めた思いや意気込みなどを聞いた。

©「漫才協会 THE MOVIE 〜舞台の上の懲りない面々〜」製作委員会

©「漫才協会 THE MOVIE 〜舞台の上の懲りない面々〜」製作委員会

 ――映画を製作された経緯を教えてください。
 
 2年前に、映画を作らないかとのお話を頂き、“漫才協会のためになるのなら”との思いで引き受けました。漫才協会といえば、東京・浅草にある演芸場「東洋館」のイメージが強いですが、正直、東洋館の舞台だけでは、芸人の生活は成り立たないのが現状です。映画では、演技でも、ねたでもなく、浅草の芸人たちが、“なぜ舞台に上がり続けるのか”を撮りたいと思っていました。

 ――製作する中で、新たに発見した漫才協会の魅力は?
 
 漫才協会に昔からある制度などを見直していくと、“もう一度、この制度を復活させてもいいのかな”と思えるものがありました。例えば、落語家さんの階級を示す「真打ち」という制度が昔の漫才協会ではしっかり機能していて、真打ちは、舞台で“トリ”を務めたり、公演の看板になったりもします。この制度を復活させることで、若手の目標にもなるのかなと。漫才協会の中から“若手スター”を生み出すシステムをつくりたいです。

©「漫才協会 THE MOVIE 〜舞台の上の懲りない面々〜」製作委員会

©「漫才協会 THE MOVIE 〜舞台の上の懲りない面々〜」製作委員会

 ――漫才協会会長として、浅草の漫才をどのように盛り上げていきたいですか。
 
 理想は、浅草を拠点に、もう一つ違う“小屋”みたいなものをつくって、頑張っている漫才協会所属の芸人を出してあげたいです。東洋館の良いところは、見習いを数カ月やれば舞台に上がれるところ。いわゆる“修業の場”なんです。ですので、簡単には出られない舞台を新たにつくって、そこに出られれば、生活には困らないようにしてあげたい。そうすれば、みんなのやる気をさらに引き出せるんじゃないかなと考えています。

©「漫才協会 THE MOVIE 〜舞台の上の懲りない面々〜」製作委員会

©「漫才協会 THE MOVIE 〜舞台の上の懲りない面々〜」製作委員会

 ――公開を楽しみにしている方々に、メッセージをお願いします。
 
 大学時代、「笑いとは“庶民の知恵、庶民の武器”」という言葉と出合い、今でも大切にしています。僕自身、つらいこともたくさんありましたが、それらを笑いに変えて乗り越えてきました。やはり、お笑いは生きていく上で必要なものだなと。映画を見て、実際に東洋館にも足を運んでいただき、“こんなことも笑いにしていいんだ”と思ってもらえたら。悩みがある人もいると思いますが、そうしたことも笑えるような人生にするための、きっかけにしてほしいです。

 ◆プロフィル
 
 はなわ・のぶゆき 1978年3月27日生まれ、千葉県出身。2000年に大学の後輩・土屋伸之とお笑いコンビ「ナイツ」を結成。07年、漫才協会の理事となり、18年に「M―1グランプリ」の審査員に抜てきされる。19年に上梓した『言い訳――関東芸人はなぜM―1で勝てないのか』の売り上げは10万部を超える。昨年6月には同協会会長に就任。最新著書『劇場舎人 ずっと売れたい漫才師』が、あすから発売となる。

【記事】小滝清 【写真】笹山泰弘

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