〈社説〉 2024・2・28 若者の生き方から学ぶ2024年2月28日

多様だからこそ“軸”を大切に

 各地でにぎやかに開催された「世界青年座談会」。若者世代との心を開いた座談の輪に、触発された参加者も多いことだろう。

 今、多くの若者は変化のただ中にある。その特徴を端的に言えば「多様性」と指摘できようか。

 アメリカ在住で、自身もいわゆるZ世代(1990年代中盤以降に生まれた若者世代)であるライターの竹田ダニエル氏は、こう指摘する。「Z世代という年代で括った人たちには、当然多様な政治観、宗教観、倫理観等の持ち主がいる。『世代』で特徴を一括りにし、一概に語ることは間違いなく困難であり、筋違いだろう」(『#Z世代的価値観』講談社)

 “今時の若者は〇〇”という安易なラベリング(レッテル貼り)は、あまり意味がない。趣味やファッション、仕事観、恋愛観、家族観など、あらゆる価値観が広がる時代の中で、生き方を身に付けてきたのが若者の実像と言える。これまでの“物差し”だけで、人や集団の価値を推し量ることはできないだろう。

 そうした状況にあって、創価の哲学を学ぶ青年は、いかに信仰と向き合っているのだろうか――。

 北海道・苫小牧池田県の池田華陽会が開催した華陽カレッジで、ある県サブキャップが唱題の大切さを若者言葉で表現していた。「人をうらやんで自分サゲー⤵にならずに、よっしゃ自分かわいい☆アゲー⤴てなれるように」と(1月29日配信聖教電子版)。他人と比べて一喜一憂することなく、自分らしい言葉で、唱題根本に励まし合う姿が新鮮だった。

 多様な価値観があるのは“正解”が一つではないということでもある。さまざまな価値観の中で“根無し草”のように流されないためには、生き方の軸となる信仰が大切になる。

 仏法では、世代や性別、人種や言語を超えて、あらゆる人に仏の生命が具わると説く。「桜梅桃李の己々の当体を改めず」(新1090・全784)との御金言の通り、自分自身を信じ抜き、可能性に挑む祈りと実践の中に、かけがえのない個性の開花がある。

 「価値観の多様化」は、若者に限った話ではない。「青年を愛し、青年に学ぶ人は、永遠に若い」――師の指針のまま、若者世代から学ぶ柔軟性を持ち、青年と共に、青年の心で“後継の3月”へ進もう。