〈社説〉 2024・2・17 きょう「農漁光部の日」2024年2月17日

“地域の灯台”から希望の光を

 “あなたの師匠は誰ですか?”――池田大作先生は、交流を重ねてきたゴルバチョフ元ソ連大統領に質問した。返ってきた答えの一つに、こうあった。

 「農民の生活が、私にとって、広い意味での先生でした。農民は、土とともに生き、そこから何かを生み出します。その生き方には、少しも噓がありません」(2003年3月22日、8度目の会談)
 東西の冷戦を終結させた立役者の大切な心のよりどころは、故郷の農村にあった。

 北海道中標津町で、曽祖父の代から続く酪農を家族で営む男子部員がいる。彼が中学生の頃、伝染病が原因で、乳牛の大半を処分した。父から「家族を守るために離農を考えている」と聞いた。その時、彼は言った。「僕たちには酪農しかない。父さんの後は僕が継ぐから!」

 父は全てを酪農にささげ、泥だらけになって牛と格闘してきた。「地域のため」が口癖で、多忙な中、民生委員も担っていた。

 男子部員は「父が本気で乳牛と向き合う姿を見て、自分の人生を酪農に懸けたい思いが深まりました」と。5年前に後を継ぎ、多くの酪農家が離農していく中、徹底して無駄を省き、質の高い生乳作りに挑戦。農協青年部の支部長を務め、教員を目指す学生や地元の子どもたちに対して、食育についての講義なども行っている。

 池田先生は農業に携わる方々こそ「一番の文化人であり、農業を大事にする国が文化国家ではないだろうか」(「光は詩う」)と。文化の真髄は、豊かな心を育むことである。“自分さえ良ければいい”といった利己主義の風潮が強い現代において、「地域を大切にする」「人を大切にする」という謙虚な“農の心”に学ぶべきことは多い。

 2月17日は「農漁光部の日」。1977年のきょう、農村・団地部の第1回勤行集会が開かれ、席上、池田先生が「妙法の下種に励みゆく地域の灯台――農村部たれ」との指針を贈ったことが淵源だ。

 以来、農漁光部の友は師の心をわが心として農林水産業に携わり、地道に信頼を広げてきた。

 そうした“若き灯台”たちが、北海道では今月25日、「農漁村ルネサンス青年主張大会」を開催し、自身の実践を発表する。奮闘する友の生き方は、地域や社会の希望の光となっている。