名字の言 ある壮年の「不動心」2024年2月7日

 将棋界の15世名人・大山康晴氏は「不動心」を重んじた。「『場合、場合に自分で考えるベストの一手を指すべし』が、私の不動心」と自著で述べている(『不動心論』KKロングセラーズ)▼物事が万事順調に進む時以上に、難事や危機に直面した時こそ“ベストを尽くす”姿勢が求められる。そこに不動心の真価も発揮されよう▼ある壮年は大学生時代に病を患った。未来に希望を持てず、落胆していた時、学会員である友人に折伏され、入会を決意した。彼はその意思を両親にも話した。じっと聞いていた父が言った。「一生涯、やり抜けるか」。「やります」と彼が答えると、両親は「分かった」と快諾した▼その後、彼は病を克服したが、就職した会社の倒産、病気の再発と試練が続いた。それでも心乱されることなく、唱題根本に全てを勝ち越えた。後年、両親は「お前の姿に、この信仰のすごさを教わったよ」と入会した▼池田先生は語った。「どんなことがあっても決して動じない信念がある。信条がある。目的がある。これなくして人間としての真髄はありません」。“動じない”とは、苦境にあって“それでも自分を信じる”という心の強さだろう。信心は、その心を鍛え上げる確かな道である。(白)