〈紙上教学研さん〉 「自他共」の幸福へ2024年2月3日

 
勇気の指標

 幸福とは、各人が自らつかむものであり、自身の生命で感得するものです。しかし同時に、自分一人だけの幸福もありえません。自分さえ幸せなら後は関係ない――それでは、利己主義です。だからといって“自分はいいから、他の人が幸せに”というのも、仏法の理想とは異なります。
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 幸福もまた、「自他共に」です。
 うれしいことがあると、私たちは、この喜びを誰かと共有したいと願います。家族、友人、同志、そして師弟――苦楽を分かち合う関係の中で、幸福はより大きくなるのです。
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 大聖人は「汝須く一身の安堵を思わば先ず四表の静謐を禱らん者か」(全31・新44)と、立正安国の祈りの根本精神を叫ばれました。
 牧口先生は戦時中、滅私奉公の自己犠牲を退け、「自己を空にせよということは噓である。自分もみんなも共に幸福になろうというのが本当である」と断言されました。
 戸田先生は「自分が幸福になるぐらいは、なんでもない。かんたんなことです。他人まで幸福にしていこうというのが信心の根底です」と強く訴えられました。
 幸福は、誰かから奪い取ったり、誰かを踏み台にして得るものではありません。どこまでも「自他共に」です。ゆえに私たちは「他人の不幸の上に自分の幸福を築かない」という生き方を目指してきました。
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 「御義口伝」の別の箇所には、「我心本来の仏なりと知るを即ち大歓喜と名く所謂南無妙法蓮華経は歓喜の中の大歓喜なり」(全788・新1097)と示されています。
 しかも、我が心が本来、仏であると自覚することは、自分だけでなく他の人々もまた仏だという覚知をともないます。「自他共に」仏なり、です。そこに絶大な喜びが込み上げてくることは必然でしょう。「自他共に喜ぶ」境涯を開いていくところに、三世永遠の無上の幸福が輝いていくのです。
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 創価学会は、「価値創造の団体」です。
 美・利・善の価値の創造は、「自他共の幸福」の内実です。私たちは、一人一人の信心の勝鬨の発露として、この幸の花を豊かに多彩に咲かせながら、地域に、社会に、そして全世界に、幸福と勝利と平和の歓喜の花園を広げていくのです。(中略)
 今、「幸福をつかむ信心」の歓喜の波動が、国境を越え、民族や言語などの差異を越えて、グローバルに拡大しゆく世界広布新時代を迎えました。
 それは、全人類が共に幸福をつかむ、民衆凱歌の世紀を開く挑戦です。
 幸福とは、日々の着実な積み重ねです。そして、私たちが幸福を目指す人生の根幹には、日々の最高の「祈り」があります。

“ようこそ! お会いできてうれしい”――世界各地から創価大学に集った留学生を歓迎し、励ます池田先生。苦難に負けず、目先の悩みに翻弄されず、学び勝ちゆく青春を!(2000年6月、創価大学池田記念講堂で)

“ようこそ! お会いできてうれしい”――世界各地から創価大学に集った留学生を歓迎し、励ます池田先生。苦難に負けず、目先の悩みに翻弄されず、学び勝ちゆく青春を!(2000年6月、創価大学池田記念講堂で)

 
 
清水愛 女子学生部長
戦争なき世界を築く旗手に

清水女子学生部長

清水女子学生部長

 池田先生は20年前、女子学生部に長編詩「幸福と平和の追求の勝利者たれ!」を、贈ってくださいました。
 その中で、「平和のために/絶対に戦争のなき世代を/作り上げる/高邁なる信仰という/最高の/仏法と哲学と思想を持った/旗手の連帯」と、女子学生部への期待を寄せてくださいました。
 今の女子学生部は、先生がこの長編詩をつづってくださった前後に生まれた世代であり、創立100周年の2030年へ、平和創出の主役となる使命があります。
 世界青年学会を築く二月闘争の開幕に当たり、“自他共の喜び”を教えられた「御義口伝」を拝し、自身の壁を破る挑戦を開始していきましょう。
 先生は、この一節を通して、「“自分も人も一緒に!”“自他共の幸福を目指す”というのが、本当の幸福でしょう」と講義され、幸福とは何かを明快に教えてくださっています。
 私は先生の故郷であり、二月闘争の舞台となった、東京・大田区の出身です。温かな学会家族の輪の中で育てていただき、創価女子短期大学へ。女子学生部の活動にも取り組み、全力で仏法対話に挑みました。その中で、1年次に対話した1人の親友と、価値観の違いから疎遠になってしまいました。落ち込みましたが、先輩に励まされ、その後もその彼女の幸福を祈り続けました。
 一昨年、思いがけない形で彼女と再会。数年の空白を埋めるように話が弾み、今では以前よりも友情が深まっています。創価の思想や運動にも深い共感を寄せてくれ、平和の連帯も広げることができました。
 振り返ると、心から彼女の幸せを祈れる自分へと成長することができました。「自他共の幸福」を目指し、生き抜く中に、自分自身の人間革命もあると確信します。
 池田先生は、昨年11月の本部幹部会に寄せてくださったメッセージの中で、「自他共に智慧と慈悲の光る『幸福城の仲間』を、喜び勇んで広げていこう」と呼びかけられました。
 今、私自身、核兵器廃絶や気候危機について学びながら、先生の平和思想を友人に語っています。中には無関心な人や、“今の生活が充実していればそれでいい”と言った方もいます。だからこそ、自他共の喜びに生きる最高の哲学を、大切な友また友に、伝え弘めていきたい。
 先生の世界平和への行動を受け継ぐ女子学生部が、絶対に戦争なき世界をつくり上げるため、勇気の対話に挑んでいきます。

 
御義口伝

 「喜」とは、自他共に喜ぶことなり。(中略)自他共に智慧と慈悲と有るを、「喜」とは云うなり。(新1061・全761)

メモ

 日蓮大聖人が、身延で法華経の要文を講義され、それを日興上人が筆録したと伝えられている。上下二巻からなる。

 今回の池田先生の御書講義は、『創価学会永遠の五指針』からの引用です。