東洋哲学研究所と学会が共同で推進「法華経写本シリーズ」通巻20点目が発刊2024年2月2日

  • 『梵文法華経写本校訂本――ネパール・ギルギット・中央アジア系写本異読対照』

 今月4日は「東洋哲学研究所(東哲)の日」。1961年2月4日、インドのブッダガヤを訪問した池田大作先生は、仏法の人間主義、平和主義の思想を世界に発信する研究所を構想した。この構想に基づき、現在の東哲(桐ケ谷章所長)は創立された。このほど、創価学会と東哲が共同事業として進めてきた「法華経写本シリーズ」の新刊が発刊。また東哲では本年、“法華経展”などの活動を活発に展開する。

刊行された『梵文法華経写本(C4)校訂本――ネパール・ギルギット・中央アジア系写本異読対照』

刊行された『梵文法華経写本(C4)校訂本――ネパール・ギルギット・中央アジア系写本異読対照』

 「法華経写本シリーズ」の18番目、通巻20点目の刊行となり、同シリーズの到達点と位置付けられる『梵文法華経写本(C4)校訂本――ネパール・ギルギット・中央アジア系写本異読対照』が発刊された(非売品)。
 
 今回の校訂本は、1039年と書写年が判明しているネパール系写本の中の最古の貝葉写本である「ケンブリッジ大学図書館所蔵 梵文法華経写本Add.1683」(C4)を底本としており、このC4テキストの世界初のローマ字版の公表となる。
 
 また同シリーズで初めて採用された学術的手法として、C4テキストと他のネパール・ギルギット系写本や、中央アジア系写本と対比させた。
 
 重要な語句等、キーワードについて注記を施し、計6200以上もの異読の脚注を列挙。これによって、現存する法華経写本の全ての系統を容易に確認でき、包括的視点から梵文写本の伝承について、語彙や文章のレベルでの分析・研究が可能となった。
 
 また、2019年に発刊した「ケンブリッジ大学図書館所蔵 梵文法華経写本Add.1682」(C3)の校訂本は、この写本が序品第1から見宝塔品第11の途中までしかないため、校訂が半分で終わっていたが、今回の写本は完本であるので全文をカバーできた。
 
 この傑出した仏教の原典研究は、日英版の解説文等もあることから、世界の学術界からも大きな注目を集めるであろう。

仏法の万人尊敬の哲理を発信
5月に伝統の第38回学術大会
今秋、マレーシアで法華経展を開催

 また本年、東哲は、主に次の事業に取り組んでいく。
 
 ①第38回学術大会を5月に行う。テーマは「AIと信仰・宗教・思想」。現在、人類社会が喫緊の課題として抱えるAI(人工知能)と人間の関わりの在り方を議論する。秋の連続公開講演会も、同テーマで開催する予定。
 
 ②日本の秋ごろに、マレーシア・ジョホールバルのSGI(創価学会インタナショナル)アジア文化教育センターで、同国で2度目となる「法華経――平和と共生のメッセージ」展を行う。
 
 光輝満つ「人間の世紀」の実現へ――世界の分断と混迷が深まる今、東哲は仏法を基調とする万人尊敬の哲理を発信し、平和の連帯を広げゆく。

2月4日は「東洋哲学研究所の日」
国内外の研究員が「記念の集い」

「東哲の日」を記念して、オンラインで行われた海外研究員の会議(1月31日)

「東哲の日」を記念して、オンラインで行われた海外研究員の会議(1月31日)

 「東哲の日」記念の集いが1月30日、東京・八王子市の創価大学で開催された。
 総務部の坂上伸孝副部長、梶川貴子研究員が抱負を述べた。また海外研究員の会議も同31日にオンラインで行われ、各国の研究員が活動の様子を語った。
 両会合で小関博文常務理事が、「大衆に直結」という東哲の創立者・池田先生の指針を胸に、生命尊厳の思想を時代の潮流にすべく前進しようと訴えた。

 また、インスタグラムでは最新情報を発信中。