後継のバトンを君に 池田先生の励ましの言葉から(未来ジャーナル 2024年2月号)2024年2月1日

2017年11月、東京・八王子市にある創価大学のキャンパスを訪れた池田先生は、青空にそびえる本部棟を撮影しました。本部棟の前に立つ「学光の塔」には、「学は光、無学は闇」との言葉が刻まれています。先生は未来部の友に呼びかけました。「今、苦労して学ぶ光が、いつか自分や家族、友の人生、そして地球社会をも明るく照らすことを朗らかに確信してください」

2017年11月、東京・八王子市にある創価大学のキャンパスを訪れた池田先生は、青空にそびえる本部棟を撮影しました。本部棟の前に立つ「学光の塔」には、「学は光、無学は闇」との言葉が刻まれています。先生は未来部の友に呼びかけました。「今、苦労して学ぶ光が、いつか自分や家族、友の人生、そして地球社会をも明るく照らすことを朗らかに確信してください」

 今月、各地で「未来アクション・ミーティング」が行われます。中・高等部員同士が楽しく語り合い、お互いを知り、つながりをつくるための会合です。またこの時期、受験生にとっては、いよいよ試験の本番を迎えます。そこで今回の「後継のバトンを君に」では、日ごろ思っていても、“こんなこと聞いていいのかな”と、人前では口に出せない疑問に答える池田先生の言葉、また受験生に送られたエールを紹介します。

信心は「本当の力」「可能性」を出し切る原動力

 〈未来部員の中には、親御さんや祖父母の方々が学会員で、「自分も幼い頃から学会に入っていた」というメンバーも多いでしょう。中には「どうして信心するんだろう?」と思ったことがある人も、少なくないかもしれません。何のために信心をするのか。池田先生はつづりました〉
 
 青春時代は誰しも悩みの連続です。勉強、進路、友達、家族、恋愛……。数えれば切りがないことでしょう。結論から言えば、信仰は、そうした課題に一つ一つ立ち向かい、勝ち開いていく原動力なのです。
 
 「祈る」ということは、人間にしかできない崇高な行為です。祈りは、自身の本源の生命の発露であり、計り知れない力を持っています。
 
 法華経には、「現世安穏・後生善処」(※)という一節があります。“今の環境が必ず良くなり、そして、永遠に幸福になれる”という意味です。私たちの祈りは、今の悩みが解決できるだけでなく、自分を成長させ、皆を幸せにする人生を歩んでいくことができます。
 
 これが南無妙法蓮華経の究極の力です。
 
 そのための日々の勤行・唱題の実践です。
 
 本物の信仰とは、何かにすがる、弱々しい“お願いごと”“神だのみ”のようなものではありません。真剣に祈り、真面目に努力することで、本当の自分の力、本来の自分らしい可能性を存分に出し切っていくためにあるのです。より偉大な自分自身になるためなのです。
――『未来の希望「正義の走者」に贈る』

※法華経(妙法)を信受する者は、現世(現在の生)は安穏であり、後生(未来世)は善処(よき所)に生まれる、という意味。

より大きな自分へと「人間革命」するために

 〈皆さんは学会の座談会などに参加した時、誰かが「人間革命するために頑張ります!」と決意を語っている場面を見たことがありませんか。池田先生が書かれた小説のタイトルも『人間革命』『新・人間革命』といいますが、そもそも「人間革命」とは、何をすることでしょうか〉
 
 「人間革命」といっても、特別なことではない。たとえば、少年が、まったく勉強しないで遊んでばかりいたのに、「よし、勉強しよう」「将来のために努力しよう」と決意し、取り組んだ時、その少年の人間革命です。
 
 お母さんが、今の一家の幸せだけにとらわれて、これでよし、と思っていたのが、「このまま一生涯、幸せが続くかどうかわからない。もっと壊れない幸福を求めよう」と、信仰をもって一家を支えていくようになるのも、お母さんの人間革命です。
 
 お父さんが、自分だけ、家族だけ、友人だけという世界から、もう一歩脱却して、病める人、苦しむ人に慈愛の手を差し伸べ、どのように幸福の人間道を歩ませてあげられるか、という運動をするようになるのも、お父さんの人間革命です。
 
 つまり、平凡から大きく目を開き、より高い、より深い、より広いものへ努力し、献身していく行動を人間革命というのです。
 
◆◇◆
 
 苦しくて苦しくてならない時こそ、行き詰まった時こそ、大きく人間革命できるチャンスなのです。すぐに、くじけるのならば、くじけるたびに、また決意すればいい。「今度こそは」「今度こそは」と、もがきながら前進する人が、必ず人間革命できるのです。
――『青春対話』普及版1

自身の「人間革命」に挑む全世界の友に勇気と希望を送ろうと、原稿用紙に向かう池田先生(1999年3月、八王子市の東京牧口記念会館で)。先生がライフワーク(一生をかけた仕事)とされたのが、小説『人間革命』『新・人間革命』の執筆でした

自身の「人間革命」に挑む全世界の友に勇気と希望を送ろうと、原稿用紙に向かう池田先生(1999年3月、八王子市の東京牧口記念会館で)。先生がライフワーク(一生をかけた仕事)とされたのが、小説『人間革命』『新・人間革命』の執筆でした

本当のゴールとは「幸福になること」

 〈受験生にとっては、今が一番大変な時期でしょう。ほかの誰かと比べて一喜一憂したり、焦ったりすることがあるかもしれません。目の前の高校受験というゴールに向かって進む中等部員に、池田先生はこう語ったことがあります〉
 
 他人と比べても、しようがない。「うさぎとかめ」で、「かめ」が勝ったのは、別に相手が「うさぎ」だったからじゃない。「かめ」は、相手がだれであろうと、ただ自分の道を、自分の全力で、休まず、あせらず、一歩一歩、歩んだのです。その人が最後に勝つ。「他人に勝つ」ことよりも、「今までの自分に勝つ」。それでいいのです。
 
◆◇◆
 
 いつも私は信じている。使命ある諸君が、何があろうと負けるわけがない、と。君たちは、「勝つために生まれてきた」のだから! 夢に向かって、がんばってもらいたい。ご両親とも、よく相談してもらいたい。
 
 ただし、「希望の高校に行けなかったら、私の人生は終わりなんだ。未来も閉ざされたんだ」なんて、絶対に思っちゃいけない。
 
 その高校に入ることが、あなたのゴールではない。幸福になることが、ゴールです。
 
 かりに希望の高校に入れなくても、大学で志望校に入ればいい。大学がうまくいかなければ、社会人になるときに、勝てばいい。20代でできなければ、30代で挑戦すればいい。この繰り返しです、人生は。
 
 たとえ遠回りしても、最後に、勝利のテープを切ればいいのです。強くなることです。強い人が幸福の人です。
――『希望対話』