〈座談会〉 1月27日「東洋哲学研究所」創立の日 法華経の共生の哲学を世界へ2024年1月25日

  • 通信員制度発足70周年 聖教は社会照らす希望の灯台
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  • 〈出席者〉原田会長、永石女性部長、萩本主任副会長、西方青年部長、栗原東哲理事

 西方 能登半島地震の被災地では、厳寒の中、支援・復旧に懸命な活動が続いています。聖教新聞でも、現地で奮闘する友の姿が連日、報道されています。本紙の配達が困難な地域では、現地のリーダーの方々が、励ましの紙面を携えて、渾身の訪問・激励に動いてくださっています。

 原田 内外の友に勇気と希望を届ける尽力と真心に、心から感謝を申し上げます。学会本部も、さらに全力で支援してまいります。被災された皆さまのご健康と安穏、そして一日も早い復旧、復興を、皆で強く祈念しています。

 永石 聖教は、人生と社会を照らす希望の灯台です。電子版も大いに活用していきたいと思います。また、新たに聖教拡大に挑戦するメンバーも着実に増やしながら、購読の輪を広げていきましょう。

 萩本 今月27日には、通信員制度の発足から70周年の佳節を迎えます。通信員の皆さんは、家庭、地域、仕事、学会活動と多忙な中、紙面制作に尽くしてくださっています。

 原田 池田先生は、通信員の皆さまを、「普く賢い『民衆の英雄』」、「生涯創造の『共戦の同志』」と、たたえられました。その通りに、聖教の紙面充実、発展に師子奮迅の活躍をしてくださっています。

 永石 率先垂範で、聖教の拡大にも先駆されている方が多くいます。群馬の通信員の女性部の方は、不屈の一念と題目で、昨年、自身の病を克服。さらに、念願だった祖母への御本尊流布も成し遂げました。

 原田 世界は、分断や対立が絶えません。池田先生は、「『生命』という普遍の大地に根ざし、人びとを結ぶ言論の光が、今ほど待望される時はない」と、つづられました。「聖教拡大」即「広布拡大」であり、「友情拡大」即「平和拡大」です。あの友この友に、真心の対話を重ね、地域や社会に、希望の連帯を広げていきましょう。

世界聖教会館で開催された全国通信員大会(昨年11月)

世界聖教会館で開催された全国通信員大会(昨年11月)

 
広布の構想を実現

 西方 27日は、「東洋哲学研究所」(東哲)が創立された日でもあります。

 原田 淵源は、池田先生が第3代会長に就任された翌年の1961年2月4日のことです。日蓮大聖人のご遺命である「仏法西還」、戸田先生の悲願である「東洋広布」を遂行しゆくアジア歴訪のただ中でした。池田先生は、宗教も文明も社会構造も異なる多様な世界で、どうすれば生命尊厳の仏法思想を伝えることができるか、熟慮を重ね、インドのブッダガヤで「東洋および世界の思想・哲学・文化を多角的に研究する機関が絶対に必要だ」と構想されたのです。

 萩本 そして翌62年1月27日、東哲は産声を上げます。その眼目は、法華経を中心に研究を重ね、仏法の人間主義、平和主義を世界に展開していくことでした。
 

「大衆直結」の使命

 栗原 東哲ではこれまで、マラヤ大学「文明間対話センター」、ブラジル哲学アカデミー、敦煌研究院など、12の世界的研究機関と学術交流協定を結び、宗教間・文明間対話をテーマに、シンポジウムを重ねてきました。

 西方 1994年からスタートした「法華経写本シリーズ」の刊行は、壮大なロマンの事業ですね。

 栗原 ロシア科学アカデミー東洋古文書研究所やインド国立公文書館が所蔵する、貴重な梵文法華経写本の写真版などがあり、世界的に評価をいただいています。昨年11月には、シリーズ18番目が発刊されました。

 萩本 池田先生は、「大衆に直結」が東哲の使命であり特徴であると示されました。その指針の通り、こうした研究内容を、展示会等を通じて幅広く、親しみやすく公開してきました。

 栗原 東哲が主催する「法華経――平和と共生のメッセージ」展は、これまで世界17カ国・地域を巡回。法華経の生命尊厳の思想と共生の哲学を伝えています。鑑賞者は、まもなく100万人に到達します。

 萩本 池田先生は、この展示に寄せて「法華経」は、①仏性の内在と顕在化という人間の本質的な平等性に立脚する「共生・共存」の思想である②その淵源を“永遠なるもの”――「宇宙生命」としての“永遠の仏”“永遠の法”に求める③人類平和の創出のための「世界市民」像を菩薩群の活躍として指し示す経典であると、明確に述べられています。今、その重みを、ひしひしと感じています。

 栗原 インド文化国際アカデミー理事長のロケッシュ・チャンドラ博士は、「古代文明への影響を含め、法華経の歴史と伝統が集大成された初めてのものと言えるでしょう」と語っています。パグウォッシュ会議元会長のスワミナサン博士も「暴力と不幸の世界に、平和と調和のメッセージを送ります。法華経の精神こそが今、最も求められているのです」と強調していました。

 永石 韓国の慶北大学・李淙煥名誉教授は、「法華経に説かれる平和と共生の思想が広く伝わり、世界がより良い方向に向かっていくことを願います」と期待を寄せていました。展示は、今秋も海外で開催される予定です。

 萩本 現代の諸課題をテーマに研究者の知見を公開する事業として、今や伝統行事となっている「連続講演会」も好評です。昨年は、海外10カ国以上を含む2000人を超える方が視聴されました。東哲の研究・活動は、今や世界的広がりと影響力を持っています。

 原田 御聖訓には、万人を平等に幸福へ導く「慈悲の極理」(新13・全9)は、法華経にとどめられていると仰せです。東哲が発足した際、池田先生は、「東洋を中心に、世界の文化や宗教、民族性などを研究して、人間の相互理解を図る糧とし、東洋、さらには世界の平和に寄与していこうとするものなのです」と、その使命を厳然と示されました。より一層、慈悲と一体の智慧を輝かせ、大衆の力となる取り組みを期待します。