誓願 229~231ページ 【小説「新・人間革命」】第30巻〈下〉2024年1月18日

 最後にマイクに向かった山本伸一は、「平和の輝きと響きと力の文化祭」であったと賞讃し、岐阜、愛知の県知事をはじめ、来賓に心から謝辞を述べ、簡潔にあいさつした。
 「有意義に充実の人生を生きていくには、常に、根本に立ち返って、進むべき道を考えることが大切です。『人生、いかに生きていくべきか』『人生の目的とは何か』、また、『平和実現への原理とは何か』などを探究していくことであり、いわば、哲学という根っこをもつことが大事であるといえます。日々、多くの友と、それらを語り合い、共に実践しながら、平和という理想に向かって前進しているのが、私ども創価学会であると申し上げたい」
 大拍手が轟き、岐阜城がそびえる金華山にこだました。彼は、言葉をついだ。
 「古来、力ある宗教には、いわれなき、中傷、批判がつきまとうものである。しかし、生命の世紀を、恒久平和をめざす皆さんは、何があろうが、勇敢に乗り越え、二十一世紀へ威風堂々と前進を開始していただきたい。
 そして、各職場、各学校、各家庭、各地域で、信頼される一人ひとりになってください。それが、仏法の偉大さの証明となり、平和の道を開くことにつながるからです」
 青年平和文化祭が終わるのを待つかのように、雨が降り始めていた。
 伸一は、躍動する青年たちの姿を目にしながら、中部に、創価の崩れざる“金の城”が築かれたことを確信した。東京、関西の中間に位置する中部に、難攻不落の広宣流布の堅塁を築き上げることは、師・戸田城聖と彼の「師弟の誓い」であった。
 伸一は、若き日、一首の和歌を師に捧げた。
 「いざや起て いざや築けと 金の城
        中部の堅塁 丈夫勇みて」
 戸田は、即座に返歌を認めた。
 「いざや征け 仏の軍は 恐れなく
        中部の堅塁 立つは楽しき」
 この師弟の念願が、見事に成就したのだ。大勝利の歴史を刻む文化祭であった。