名字の言 被災した友への希望の一灯2024年1月17日

 阪神・淡路大震災の発生直後、幾つもの建物が倒壊し、道路には無数のひび割れが入った。本紙の配達は不可能に。“何とかして被災された皆さんに希望を”――神戸のある地域では、連載中だった小説『新・人間革命』を印刷し、有志のメンバーで配って歩いた▼『新・人間革命』第3巻「仏法西還」の章が始まったのは、1995年1月1日。震災発生から16日後の2月2日からは、5回にわたって、山本伸一が仏法の生死観を語る場面がつづられた▼その中に、こうある。「広布のために、仏の使いとして行動し抜いた人は、いかなる状況のなかで亡くなったとしても、恐怖と苦悩の底に沈み、地獄の苦を受けることは絶対にない」。それは、震災で愛する家族や友人を失った方々にあてた、先生の万感の励ましだったと思えてならない▼能登地震で被害の大きかった石川県のリーダーは、東日本大震災の直後に先生が贈ったメッセージを手渡しながら、激励に回っている。「『心の財』だけは絶対に壊されません」――この一節が、どれほど被災した友への希望の一灯となることか▼北陸は厳寒の時節。「大きな余震が起こらないこと」「積雪や降雨が1ミリでも少ないこと」「一日も早い復旧」を、強く祈りたい。(山)