〈未来部育成のページ〉 少年少女きぼう新聞主催 第12回「きぼう作文コンクール」最優秀賞(自由部門)2024年1月12日

  • 未来っ子たちが豊かな感性でつづる

 昨年12月に第12回「きぼう作文コンクール」(少年少女きぼう新聞主催)、第12回「読書感想文コンクール」(未来ジャーナル主催)の表彰式が行われました。どの作品にも、未来っ子たちの豊かな感性や温かい思いやりの心などが、生き生きとつづられています。未来部育成のページでは3回にわたり、各部門の最優秀賞に輝いた作品を紹介します(次回は26日付の予定)。

「ぼくのじいじはスーパーじいじ」
東京・2年 小貫貴志さん

 ぼくのじいじは、お題目の力でたくさんの壁を乗りこえてきたスーパーじいじだ。
 
 ぼくが三才のたん生日をむかえる一カ月前、じいじは心きんこうそくという病気でたおれた。
 
 お母さんと急いで病院に行ったぼくは、じいじの心ぞうめがけてお題目をあげた。
 
 そんなぼくを見て、ばあばは「ぜったいに大丈夫」と言った。
 
 じいじもぼくも一生けん命お題目をあげた結果、じいじの心ぞうは元気になって退院した。「あ~よかった」と思っていたら、じいじは二年後、こんどは十万人に一人しかならない小ちょうのガンになってしまった。ぼくは「え~! じいじが十万人に一人にえらばれちゃって大変!」って思ったけれど、すぐに小ちょうの場所をずかんでしらべて、お母さんといっしょにじいじの細ぼうにパワーがとどくように一生けん命お題目をあげた。お母さんとぼくと電話で話をしたじいじは、「池田先生にお応えするために、じいじはまだまだやることがたくさんあるんだ。だからぜったいに負けないよ!」と言っていた。じいじは強いなと思った。
 
 お母さんは電話を切るとぼくに「しょ天をうごかそう」と言った。「しょ天ってなあに?」と聞くと、「じいじのガンを一つものこらずやっつけてくれるお医者さんがさい高の治りょうをしてくれることだよ」とおしえてくれた。お母さんはいつも「お題目は宇宙もうごかすさい高のパワーがあるんだよ」とぼくにおしえてくれる。なんだかぼくはとってもやる気が出てきて、じいじの体に入りこんだガン細ぼうたちを一つものこらずお題目のパワーでたおしてやろうときめた。じいじにそのことを伝えたら、すごくよろこんでくれた。そして手じゅつの日をむかえた。ぼくはずっとドキドキしていた。そんなぼくに、ばあばは「ぜったいに大丈夫!」と言った。ばあばに大丈夫と言われるとホントに大丈夫な気がしてきた。ぼくはばあばに聞いた。「なんでばあばは、いつもぜったいに大丈夫!って言うの?」と。
 
 するとばあばは、ぼくの顔を見てこう言った。「みんなが、じいじのためにお題目を送ってくれているからだよ。じいじも一生けん命お題目をあげたから、じいじはぜったいに負けないよ。ガン細ぼうに打ちかってお題目のすごさを伝えていく使命がじいじにはあるんだよ!」と。「使命」ってお母さんがぼくによく言うことばだと、ピンときた。じいじは命を使ってガン細ぼうとたたかっている『スーパーじいじ』なんだと、ぼくは思った。そしてじいじは、スーパーじいじの力をはっきして、ガン細ぼうとのたたかいにかった。三年以上たった今、じいじの体の中で悪さをしていたガン細ぼうは一つものこらず消えてなくなった。じいじはとても元気だ。「じいじはすごいね!」とお母さんに言ったら、お母さんは「じいじもすごいけど、一番すごいのはばあばなんだよ」と言った。ぼくはその時気づいてしまった。何があっても負けないスーパーじいじを育てたばあばこそが『スーパーミラクルばあば』だったことを。
 

「妹が教えてくれたこと」
北海道・5年 佐々木正明さん

 妹のことを書きます。生まれてくることができなかった、小さくてかわいい僕の妹です。
 
 僕が四歳になった日。体調が悪くて入院していた母から電話がきました。お腹の赤ちゃんが亡くなったと聞かされました。家族で小さなお葬式をしました。悲しくて信じたくなくて、たくさん泣きました。妹が亡くなるまで、人は死ぬと空に飛んでいくと思っていましたが、何も残らないのだと知りました。小さな白い箱の中の妹は、焼かれて、細くて白い骨が一本だけ残りました。一緒に入れた花も、姉が書いた手紙も、妹も、消えてしまいました。僕の誕生日に亡くなった妹には、僕の「正明」と、父の「英明」の一字をあげて、「明―あかり―」と名付けられました。
 
 あれから七年が経ち、明ちゃんは、生きていたら小学一年生です。四月に入学してきた元気な一年生を見ていると、明ちゃんもそこにいるような気がします。生きていてほしかったです。時間が過ぎて明ちゃんを忘れてしまうことが不安でしたが、仏壇の前で「新しい命になった明ちゃんに会わせてください」と追善供養しているので絶対に忘れません。毎日思い出させてもらえる僕は幸せです。
 
 八月十二日は明ちゃんの命日。今年も、家族と祖父母でお墓に行きました。お供えには、女の子が喜びそうなきれいな色の金平糖を選びました。家で仏壇に向かうのと同じようにみんなでお参りしました。毎年、夏のお墓参りの後には僕の誕生日会をしてもらいます。悲しい日とうれしい日が一度にやってくるので、どんな顔をしたらいいのか、自分でも自分の心の中が分からなくなります。七回忌だから特別にと、母が妹の写真を見せてくれました。お葬式の時、まだ小さかった僕たちは妹を見せてもらえませんでした。ドキドキしながら写真を見ました。十センチメートル程の小さな小さな赤ちゃんは、笑っているように見えました。かわいいけれど少し怖くて、たくさんの思い出と一緒に涙があふれました。
 
 お腹の中で赤ちゃんが死んでしまうことを流産・死産といいます。理科で「人の誕生」を学習した時に、どうしてこんなに悲しいことが起こるのか知りたくて調べてみました。医療が発達した日本では、死産の割合はすごく減っていて、昔だったら助からない小さな赤ちゃんや病気の赤ちゃんも無事に育つことができるようになりました。しかし、そこまで医療が発達しても、まだ全ての原因は解明されていません。僕は、その原因を突き止めたいです。どんな病気もそうですが、命を守るためには、危険な状態になってから対処するよりも、原因を防ぐことが大切だからです。
 
 今ある命は当たり前ではない。それを教えてくれたのは明ちゃんです。僕には優しい姉とかわいい弟もいますが、もう失いたくありません。大好きな家族や大事な友達が、命を捨てたり奪われたりすることがない世界をつくりたい。生まれてくることができなかった明ちゃんの分も、力いっぱい生きていく!
 

【コンクールの入賞者】

きぼう作文コンクール

 
 【最優秀賞】(自由部門)
 佐々木正明(北海道・5年)
 「妹が教えてくれたこと」
 小貫貴志(東京・2年)
 「ぼくのじいじはスーパーじいじ」

 【ユゴー賞】(読書感想文部門)
 山根秀伸(福島・6年)
 「『じいちゃんの山小屋』を読んで」
 宮川蓮(大阪・1年)
 「ぼくをせいちょうさせるコンビネーション」

 【ホイットマン賞】(詩部門)
 渡邊秀一(群馬・2年)
 「学校についたよ」
 藏元蓮七(鹿児島・1年)
 「私のパパのいいところ」

 【優秀賞】
 髙橋久美子(広島・6年)
 「『中村哲物語』を読んで」
 橋田恵子(千葉・5年)
 「手紙」
 日下部貴志(東京・3年)
 「ぼくは公園レンジャー」
 井上力翔(愛媛・2年)
 「ぼくのはなび」

 【ビクトリー賞】
 駒井蓮人(千葉・6年)
 「届けたい想い」
 武田佳代子(大阪・6年)
 「早く会いたい!」
 藏元心花(鹿児島・6年)
 「『31センチの約束』を読んで」
 鎌田幸恵(東京・5年)
 「『ニッポンのSDGsなぜなにクイズ図鑑』を読んで」
 福田幸恵(大阪・5年)
 「自分自身に勝つ」
 甲斐唯花(佐賀・5年)
 「ママとおひさま」
 横山陽仁(東京・4年)
 「『大坂城のシロ』を読んで」
 堀江羽陽(茨城・4年)
 「おばあちゃんはおうえんだん長」
 初田美佳(大阪・4年)
 「ファーストペンギンの未来への一歩」
 濵﨑恵美(香川・4年)
 「『ありがとう』は奇跡の言葉」
 小林優子(大阪・3年)
 「私のじまんのアザ」
 本田佳代子(東京・2年)
 「べんきょうってなんでするの?」
 平野花純(奈良・2年)
 「自分がすきなら、『それで、いい!』」
 小川英久(広島・2年)
 「ぼくのいもうと のぶちゃん」
 榊原正幸(愛知・1年)
 「あきらめない」
 

読書感想文コンクール

 
 〈中学生の部〉
 【最優秀賞】
 大方心希花(東京・1年)
 「少女が教えてくれたこと」

 【優秀賞】
 安田弘子(神奈川・3年)
 「私と小娘」
 池田優姫菜(大阪・1年)
 「自分のままの色」

 【優良賞】
 伊藤彩夏(宮城・3年)
 「時間」
 泥谷咲(東京・1年)
 「『あと少し、もう少し』を読んで」

 【審査員特別賞】
 門戸城太朗(愛知・1年)
 「認め合う社会のためにできること」

 【佳作】
 吉田康平(大阪・3年)
 「弟は一番身近で大切な存在」
 中村太陽(青森・3年)
 「境界線」
 今井光子(東京・2年)
 「分類するのは良いことか」
 森本啓太郎(兵庫・2年)
 「『さぶ』を読んで」

 ◇
 
 〈高校生の部〉
 【最優秀賞】
 藤野美紀子(大阪・3年)
 「信じ待つ人の力」

 【優秀賞】
 倉重あすか(千葉・2年)
 「優しい雨が降るとき」
 武田美紀子(大阪・2年)
 「生きるをツナグ」

 【優良賞】
 小岩井真菜(埼玉・3年)
 「『流浪の月』を読んで」
 秋積美香(東京・1年)
 「夜闇によりそう光」

 【審査員特別賞】
 髙原聡(東京・3年)
 「少年の夏、青年の空」

 【佳作】
 佐藤彩寧(東京・1年)
 「皆が必要とされている」
 田上洋子(大阪・1年)
 「堕落論を読んで」
 塚田啓子(北海道・1年)
 「『ヒトリコ』に込められた思いを知る」
 和田光博(広島・1年)
 「幸せの本質」
 

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