〈無冠――本紙の配達・集金に携わる方々へ〉 1995年に贈られた池田先生のメッセージ2024年1月10日

聖教新聞創刊55周年を記念する配達員大会の意義が込められた本部幹部会に出席した池田先生。“勝利のVサイン”で渾身の励ましを送る(2006年4月、八王子市の東京牧口記念会館で)

聖教新聞創刊55周年を記念する配達員大会の意義が込められた本部幹部会に出席した池田先生。“勝利のVサイン”で渾身の励ましを送る(2006年4月、八王子市の東京牧口記念会館で)

 本紙の配達・集金に携わる「無冠の友」。皆さまありて、広宣流布も進む。池田先生が1995年に寄せたメッセージ「最も信頼する無冠の友の皆さまに贈る」(『無冠の誉れ』所収)を紹介する。

あなたの一歩一歩に未来がある

 さあ、新しい年の舞台へ! 
 きょうも、あなたは、暁の鐘とともに、朝明けの新舞台へ、さっそうと躍り出る。
 余裕しゃくしゃくと、早起きの小鳥の歌声をハミングしながら。使命の瞳を輝かせ、一日の勝利を心に深く祈念しながら。
 愛する家族も、仲良き宝友も、あなたに力いっぱい声援を送ってくれている。
  
 「世界はすべて一つの舞台、すべての人間は男も女も役者」(『お気に召すまま』木下順二訳、『シェイクスピア』Ⅴ所収、講談社)と、シェークスピアは言った。
 あなたと私は、人生の醍醐味を演じゆく一流の名優。
 あなたも私も、人生のハッピーエンドを謳い上げる喜劇役者。
 舞台は、目まぐるしく変わる。明から暗へ、暗から明へ。また、暗から暗に沈む時もあろう。
 しかし、あなたは負けない!
 「私の場合、何でも簡単にできたことは一度だってなかった。常に困難があって、むしろそれをのり越えるのが好きだ」(『私が見つけた「青い鳥」ナターリヤ・サーツ自伝』斎藤えく子訳、潮出版社)
 このナターシャおばさん(ロシアのナターリヤ・サーツ氏)の言葉の通り、あなたも恐れることなく立ち向かう。
 父の演奏会に“泣き役”でデビューした一歳の時から、九十歳で亡くなるまで――ナターシャおばさんは、幾つもの山を越え、谷を越え続けた。世界唯一の子どものための音楽宮殿(モスクワ児童音楽劇場)の実現という「青い鳥」を求めて!
 困難に出あうたび、彼女は自分に話しかける。鏡にウインクでもするかのように。“人生劇場”の新展開を楽しむかのように。
 「ちょっぴりやっかいになってきちゃったね。さあ、ナターシャ、あなたがどうやってここを切りぬけるか、みものだわ」(『私が見つけた「青い鳥」ナターリヤ・サーツ自伝』斎藤えく子訳、潮出版社)
  
 勇気の人には知恵がわく。
 確信の人には余裕がある。
 心が定まれば自由になる。
 その自在な自身となるための、自らが「人生の主役」となるための信仰なのだ。
 “一人二役”どころか、五役も六役もこなしながら、主役のあなたは、あなたらしく生きる。
 ある時は、悩める友のもとに、真っ先に駆けつける救援隊。
 自身に勝ち、勝ち続けながら、一日一日を価値あらしめる楽しき人生の演出家。
 邪悪に対しては、だれがなんといおうとも、叫ばずにはいられない我が町の大雄弁家。
 またある時は、沈んだ空気を、爆笑の渦で吹き飛ばす名コメディアン。

「SEIKYO SHIMBUN」の金文字が光り輝く。池田先生が撮影した東京・信濃町の「創価学会 世界聖教会館」(2019年9月)。1階には、配達員の功労をたたえる展示室が設置され、先生が「無冠の友」に贈った句や和歌、メッセージなどが掲示されている

「SEIKYO SHIMBUN」の金文字が光り輝く。池田先生が撮影した東京・信濃町の「創価学会 世界聖教会館」(2019年9月)。1階には、配達員の功労をたたえる展示室が設置され、先生が「無冠の友」に贈った句や和歌、メッセージなどが掲示されている

 あなたがいると楽しくなる。
 あなたの声を聞くと安心する。
 「まるで暖かな太陽のよう」
 あなたを知る人は、口々に感謝の心で語る。
 太陽は自分で輝く。
 自分で燃え輝きながら、すべての人の顔を明るく照らしながら、ていねいに光を送る。
 私たちの胸中にも「妙法」という永遠の太陽が昇る。その希望の光彩は、みんなの「心の部屋」を赤々と輝かせる。
 自身はつらい苦境にあっても、「もっと大変な人がいる」と勇んで寒風に飛び出してゆく。
 どんなに疲れていても、人生に疲れた人を見ると、力の限り励まさずにはいられない。
 閉ざした「心のドア」を開いてくれない時もある。
 でも、必ず、わかってくれる! あの友の笑顔こそが、私の喜びなのだ。
 おお、無冠の同志よ。
 日々、北風に雄々しく挑みゆく「不敗の王者」よ!
 常に春風の心で人々を包みゆく、美しき使命の宝冠に輝く「境涯の女王」よ!
 喜劇王チャップリンも、きっとあの山高帽を取って、あなたに最敬礼を送っている。
  
 あなたは、日々、勇気と希望の「金文字」を運びゆく。
 あの人の家の戸口へ、この人の窓辺へ、あなたは、人間主義の「光の花束」を携えてゆく。
 庶民こそ賢い。
 庶民こそ尊貴である。
 無冠の友よ! あなたの確実な一歩一歩にこそ未来がある。
 毎朝、あなたが走る銀の道は、平和の金の道なのである。
 人類の悲劇を希望の劇へと転じながら、友よ、あなたは、愉快ににぎやかに駆けてゆく。
 私たちの進む「この道」はハッピー・ロード。路傍の人も「楽しそうね」と一緒に歩き出す。
 私たちの進む「この道」はビクトリー・ロード。凜々しき民衆のヒーロー、ヒロインは、皆のあこがれだ。
 最後は勝つ!
 最後に笑う!
 友よ、世界一の無冠の友よ! 偉大なるヒューマン・コメディー(人間喜劇)の勝利は、あなたの笑顔のなかにある。
  
 私が最も信頼し、最も尊敬する皆さまの無事安穏を心より祈りつつ――。
 一九九五年 元旦