〈やさしい税金Q&A〉 年金生活の親を扶養2023年12月17日
- 税理士 松井睦子
- 別居でも控除可能となる場合も
昨年に父が亡くなり、現在、母は1人暮らしで年金生活のため、私が仕送りをして生活費の大半を支えています。母を私の扶養親族に入れることで税金が安くなる、と知人から聞きました。詳しく教えてください。(青森・八戸市 45歳 会社員)
年末時点で母と生計を一にしていて、母のその年の合計所得金額が48万円以下であれば、母を扶養控除の対象にできます。
――生計を一にするとはどういうことですか。
家族と生活費を共にすることをいいます。例えば、別居の親族であっても、常に生活費や療養費等の仕送りをして経済的に支えていれば、生計を一にするといえます。
――合計所得金額48万円以下とは?
質問者の母のように年金収入のみの場合、国民年金などの公的年金の収入が、65歳以上の方は158万円以下(65歳未満の方は108万円以下)であれば、公的年金等控除額が引かれ、合計所得金額は48万円以下になります。なお、遺族年金や障害年金は税法上、非課税のため、合計所得金額に含まれません。
――親を扶養にした場合の控除額は?
所得税の扶養控除額は、親の年齢が70歳未満の方は、38万円(住民税は33万円)です。70歳以上の方は同居か別居かにより扶養控除額が異なります。親が70歳以上で同居の方は58万円(住民税は45万円)、別居の方は48万円(住民税は38万円)です。
――年末調整で控除を受けるには?
会社へ提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に扶養親族を追加することにより年末調整で控除できます。
――その他の留意点は?
年末調整で控除を受けていない場合、源泉徴収票の交付を受ける前であれば、年末調整の再計算をしてもらえるか会社に相談してみてください。年末調整の再計算がされない場合には、確定申告で親を扶養親族に追加することにより控除を受けることができます。