〈時事解説〉 師弟が織りなす歩みに注目2023年10月24日

  • Z世代の学生記者が選ぶフォトニュース

記者会見で師匠の杉本昌隆八段㊨から花束を受け取る藤井聡太八冠=10月13日午後、名古屋市

記者会見で師匠の杉本昌隆八段㊨から花束を受け取る藤井聡太八冠=10月13日午後、名古屋市

 第71期「王座戦」五番勝負第4局で藤井聡太竜王・名人が10月11日、永瀬拓矢王座に3勝1敗で勝利。将棋界において史上初となる八大タイトルを全て獲得する「八冠」に輝き、大きなニュースとなりました。

 2勝1敗と王座のタイトル獲得まで、あと1勝となって迎えたこの日。藤井竜王・名人は、対局終盤まで劣勢。AI判定による勝率はわずか1%と絶望的な状況でした。しかし、相手のわずか一手の悪手を鋭く見抜き、勝利をもぎ取ったのです。

 この偉業について、数多くのメディアが報じる中、私が注目したのは、藤井八冠に「どんな言葉をかけたいか」と尋ねられた際の師匠・杉本八段の言葉です。二人の師弟の関係が垣間見えます。

 「『お疲れさん』と言いたいです。でもだいたい、『ありがとうございます』って言われて、話がそこから発展しないのがいつものことなので、今回もそうなんだろうなと。そして、『こないだの将棋は危なかったね』という話をふると、凄く楽しそうにその話にのってくるんじゃないかという気がします」(NHKのインタビューから)

 かつて杉本八段は弟子との関係について「弟子は一緒に学び、成長する仲間」であると述べたり、弟子に「将棋盤の前では師匠も弟子もないから反論してもいい。本当に納得しなかったら別に言うことを聞かなくてもいい」と伝えたりしてきたそうです。

 今後は、藤井八冠の活躍とともに、この二人の師弟が織りなす歩みにも注目していきたいと思います。(コノハズク)

 ●ご感想をお寄せください youth@seikyo-np.jp