〈ワールドトゥデイ 世界の今〉 世界をリードする国際都市 アメリカ・ニューヨーク2023年7月15日

アメリカ・ニューヨークの名門コロンビア大学に集った若き師子たち。同大学で行われた東部方面代表幹部会の運営役員等として大成功を支えた(5月20日)

アメリカ・ニューヨークの名門コロンビア大学に集った若き師子たち。同大学で行われた東部方面代表幹部会の運営役員等として大成功を支えた(5月20日)

どんな試練にも 挑戦をやめない!

 アメリカ最大の都市・ニューヨーク。経済、文化、ファッション、エンターテインメントなど、さまざまな分野で世界をリードする国際都市として、多くの人々を魅了し続ける。コロナ禍以降、分断や対立が表面化する中、SGI(創価学会インタナショナル)の友は、希望の連帯を広げようと奮闘していた。不屈の闘争精神で宿命転換に挑む、ニューヨークの同志を取材した。(記事=畑光治、写真=石川大樹)

   
 競うように伸びる摩天楼。地上では黄色いタクシーが駆け抜け、人々が足早に行き交う。雑踏の中で聞こえてくるのは、車のクラクションと街に流れる音楽、そして多種多様な言葉――。
 5月中旬、ニューヨークのマンハッタンはエネルギーに満ちていた。
   

ニューヨーク・ブルックリンの公園から、イースト川の対岸にマンハッタンを望む。川に架かるブルックリン橋は140年前に完成し、街の発展と人々の往来を見守ってきた

ニューヨーク・ブルックリンの公園から、イースト川の対岸にマンハッタンを望む。川に架かるブルックリン橋は140年前に完成し、街の発展と人々の往来を見守ってきた

   
 ニューヨークは、多くの移民や観光客を受け入れる玄関口。同時に、世界の金融の中心地であり、新たな文化や流行の発信地でもある。
   

 3年半前、この「自由」の天地を、新型コロナウイルスの猛威が襲った。
 多くの命が失われ、広がる経済格差や差別的な言動が、人々の対立を助長。薬物の過剰摂取による死者数も過去最多を記録した。
   
 分断、孤独、不安――社会に暗雲が垂れ込める中でも、ニューヨークの同志の心は燃えていた。
 その胸中には、池田大作先生が1981年6月に、ニューヨークの地で発表した長編詩「我が愛するアメリカの地涌の若人に贈る」の一節が、鮮やかに刻まれている。
   
 「信仰とは
  何ものをも恐れぬことだ
  何ものにも紛動されぬことだ
  何ものをも乗り越える力だ
  何ものをも解決していく源泉だ
  何ものにも勝ち乗り越えていく
  痛快なる人生行路のエンジンだ」
   

東部方面代表幹部会のフィナーレには「フォーエバー・センセイ」の大合唱

東部方面代表幹部会のフィナーレには「フォーエバー・センセイ」の大合唱

   
 ある友は力強く語っていた。
 「今こそ、先生の弟子として『宿命転換』を果たす時です。ニューヨークは、どんな困難や試練があっても、絶対に負けません!」
   

   
 碁盤目状に整備された、マンハッタンの15丁目、グリーンマーケット(野外市場)でにぎわうユニオンスクエア(公園)の程近くに、ニューヨーク文化会館は立つ。
 かつてここでは、“民衆の家”と呼ばれ親しまれた、社会人の教育を行う学校が開かれ、世界的な教育哲学者のジョン・デューイも幾度も講演したという。往時の外観をそのままに修復を進め、1995年に会館としてオープンした。
   

ニューヨーク文化会館に集まった、東部方面の青年部の友(5月19日)

ニューヨーク文化会館に集まった、東部方面の青年部の友(5月19日)

   
 市の文化財にも指定されている由緒ある建物で5月20日、チェルシー支部ジョイスシアター地区の座談会が開かれた。
 アメリカでは、未入会の友人を「ゲスト」と呼び、毎回の座談会に招待する。この日も3人の「ゲスト」が参加していた。
 会合が始まると、会場は“感謝の言葉”で満たされた。良き仕事相手と出会えたこと。病院の検査で異常がなかったこと。愚痴が減ったこと――赤裸々に語られる功徳の体験談に、みな感嘆し、爆笑し、最後は温かな拍手を送る。青年の発表には、ひときわ大きな拍手が送られた。
   

5月20日、ニューヨーク文化会館で行われたジョイスシアター地区の座談会(後列左から5人目がユウコ・グローバーさん、4人目がショーンさん)

5月20日、ニューヨーク文化会館で行われたジョイスシアター地区の座談会(後列左から5人目がユウコ・グローバーさん、4人目がショーンさん)

 「ようやく、青年たちの元気な姿が見られるようになりました」
 笑顔で振り返るユウコ・グローバーさん(地区婦人部長)だが、この3年間の戦いは壮絶だった。
 コロナ禍で、会合に参加する青年部は激減。ユウコさん個人としても父の他界や経済苦など、宿命の嵐が吹き荒れた。それでも、不安を抱えながら暮らす若き友を思い、「家族のように安心できる場所を提供しよう」と、励ましを送り続けた。
 集まれない時期は、オンラインを駆使して池田先生の指導を学んだ。訪問が解禁されてからは、一人一人のもとに足を運び、時にはカフェで近況を聞いた。夫のショーン・グローバーさん(支部長)も、「一方的な話はせず、青年部の声をじっくり聞きました」と。
 こうした取り組みで、青年部が一人また一人と立ち上がるたびに、組織全体に喜びが波及した。ある日の座談会は、36人の大結集。うち11人が青年だった。この勢いで対話拡大も進み、同地区では、今年に入って3人の青年が入会。ユウコさん自身も、昨年5月に親戚に弘教が実り、その親戚も2人の友人に御本尊流布ができた。
 一家の宿命も乗り越え、ユウコさんは晴れやかに語る。
 「創価の後継者を育てることを自身の使命として、ネバーギブアップの精神で頑張ります!」
    
 ニューヨークは激しい競争社会。仕事の結果次第で、役職や立場が激しく入れ替わり、突然の解雇も日常茶飯事だという。
   

世界の金融センター「ウォール街」

世界の金融センター「ウォール街」

   
 「だからこそ、創価の“励ましの絆”は、アメリカ社会で輝きを増しています」と教えてくれたのは、リョウ・クロキさん(本部長)。
 アメリカを代表する株式市場「ナスダック(NASDAQ)」に勤務し、全米を三つに分けた東部全域を担当する「シニア・マネージング・ディレクター」を務める。
   

リョウ・クロキさん

リョウ・クロキさん

 大学卒業直後にリーマンショックが起き、当時の勤務先の給料では、食事にも事欠く状況に。そんなクロキさんを支えたのが、地域の同志だった。座談会終了後、いつも地区部長がクロキさんの話を聞いてくれた。そして「大丈夫。諦めずに祈り抜こう!」と一緒に御本尊の前へ。その後には、婦人部が用意してくれたカレーライスが待っていた。
 温かな励ましに触れ、クロキさんは信心で勇み立った。祈り戦う中で「ナスダック」に転職。その後、両親の死や職場での大幅な降格など、多くの試練が襲ったが、そのたびに、師の励ましの伝言に奮起した。
 18年から4年間、アメリカ男子部長を務めながら、仕事においても昨年、社長賞を受賞。これまでに16人に弘教を果たし、現在は壮年部の本部長として、広布の最前線を走る。
 「池田先生に安心していただくため、自身を鍛え、人間革命して、アメリカ広布を果たしてまいります」
   

希望の哲学を語り抜く!

東部方面代表幹部会でコーラスを披露する、青年部の「イケダ・ユース・アンサンブル」

東部方面代表幹部会でコーラスを披露する、青年部の「イケダ・ユース・アンサンブル」

   
 信心の歓喜は大きな触発となり、青年部の中にも人間革命のドラマが続々と生まれている。
   
 アシュナ・アガルワルさん(女子部部長)は、自然エネルギーの会社に勤める傍ら、国連のSDGs(持続可能な開発目標)の目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」の達成を目指すNGOに所属している。
   

アシュナ・アガルワルさん

アシュナ・アガルワルさん

   
 4月末には、国連本部で行われたエネルギー問題のユースフォーラムに、アメリカの青年を代表して参加し、持続可能な未来のためのエネルギー転換の重要性を話し合った。
 「先生の平和提言を読み、この活動を始めました。国連本部のあるニューヨークで、常に“先生だったらどうされるか”を考え、平和推進に尽力します」と瞳を輝かせる。
   

ニューヨーク市内の交差点

ニューヨーク市内の交差点

   
 ファッションモデルとして活躍するマサミチ・ニュウノヤさん(男子部部長)は、数々の有名ブランドのファッションショーや、コマーシャルにも出演。その映像は世界中に配信されている。
   
 「全て信心の功徳です」
   

マサミチ・ニュウノヤさん

マサミチ・ニュウノヤさん

 現在28歳で、これまで50人に弘教を実らせた。折伏に挑戦し続ける中で今、実感していることがある。
   
 「友人たちは、心の底から希望の哲学を求めています。広宣流布のために、この仏法の素晴らしさを、今こそ、堂々と語っていきます」
   

グランドセントラル駅

グランドセントラル駅

   
 池田先生は1996年6月15日、ニューヨーク文化会館を訪れ、友に呼びかけた。
   
 「ニューヨークは、『一騎当千の獅子』の集いでいきたい。
 『一人』が大切なのである。『一人を大切にする』――そこから一切が開けてくる。これが広宣流布の永遠の方程式である」
   
 この指針のままに、ニューヨークの友は「一騎当千の獅子」として立ち上がった。師弟共戦の希望の光彩は、暗雲を切り裂く陽光のように、自由と共生の大地を照らしている。
   

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 kansou@seikyo-np.jp