〈随筆「人間革命」光あれ〉池田大作 創価凱歌のリズム2023年5月18日

ヒャクニチソウ、ペチュニア……いったい何色あるのだろう。ぱっと目の前が明るくなる。生命輝くカラフルな花園は、にぎやかな喜びでいっぱい。それは、創価の母たち、女性たちの朗らかな対話の園のよう(池田先生撮影。今月、都内で)

ヒャクニチソウ、ペチュニア……いったい何色あるのだろう。ぱっと目の前が明るくなる。生命輝くカラフルな花園は、にぎやかな喜びでいっぱい。それは、創価の母たち、女性たちの朗らかな対話の園のよう(池田先生撮影。今月、都内で)

 
 
希望の未来へ 勇気の鐘を打て 鳴らせ

 五月三日から、全世界の宝友とスクラム明るく、新たな広布旅へ出発できた。
 思えば、御本仏が「顕仏未来記」を流難の佐渡の地で認められたのは、文永十年(一二七三年)、七百五十年前の五月(閏月)であった。
 日蓮大聖人は、この御書で、「広宣流布」を明言された法華経の二つの経文を引いておられる。
 第一は、薬王品に説かれた釈迦仏の遺命である。
 「我滅度して後、後の五百歳の中、閻浮提に広宣流布して、断絶せしむることなかれ」(新606・全505)
 第二の文は、普賢品で、普賢菩薩が釈迦仏に申し上げた誓いである。
 「如来滅して後において、閻浮提の内に、広く流布せしめて、断絶せざらしめん」(新610・全508)
 前者は師が弟子に「広宣流布」を託す言葉であり、後者は弟子が「広令流布(広く流布せしめん)」を師に誓う言葉である。
 断固として誓願のままに広宣流布する! この師弟の共戦こそが、妙法の命脈を永遠ならしめるのだ。
 一閻浮提(全世界)への「大法弘通慈折広宣流布」――この大願を貫き、二十世紀から二十一世紀に続く波瀾万丈の世界に、生命尊厳と民衆凱歌の大光を放ちながら、創価の師弟は威風堂々と舞う。
 この誉れは天より高く、この福徳は海より深い。
 令法久住の未来は、青年で決まる。時は来たり、新時代の山本伸一たちが前面に躍り出て、大いなる歴史を創造してくれている。
 

仏法西還の使命

 「顕仏未来記」を拝し、戸田城聖先生は言われた。
 「『仏法西還』を妄語とさせないのが、学会の使命であります」と。
 先月五日、戸田先生の弟子として、また世界の同志を代表して、私はインドの州立マハラジャ・スーラジマル・ブリジ大学から「名誉文学博士号」を拝受した。
 この授与を推薦してくださったラメーシュ・チャンドラ副総長との懐かしい出会いが思い出される。
 副総長は、歴史を振り返りつつ述べられた。
 「残念ながら、インドでは、仏教は衰退してしまいました。しかし、SGIのご努力によって、世界の多くの人たちが仏教徒となり、釈尊の教えを、今日も実践しているのです」
 まさに「月は西より出でて東を照らし、日は東より出でて西を照らす」(新610・全508)との未来記を実現してきた学会への賛辞であり、“多宝の証明”の意義と受け止めた。
 今、「仏教発祥」のインドでも、また、恩師が「仏法西還」への深き宿縁を感じておられた韓国でも、広布の伸展は、何と目覚ましいことか。恩師の会心の笑みが、わが胸に迫り来る。
 

先師の関西訪問

 今、あらためて偲ばれる先師・牧口常三郎先生の足跡がある。それは、百年前の一九二三年(大正十二年)五月、先生は東京の小学校の校長七人と京都・大阪・兵庫の小学校等を視察されたのである。この訪問から五十年後に、わが関西創価学園が開校している。
 本年、関西学園に入学した英才は、五十一期生である。愛する卒業生たちは、社会や地域の中核となって活躍している。創立者として、これ以上の喜びはない。
 牧口先生は、軍国主義教育が支配的だった時代に、教育の最大の目的は「子どもの幸福」にある、と厳然と叫ばれた。
 戸田先生も、「どんな子も必ず優等生にし、幸せにしてみせる!」と、若き命の可能性を信じ抜かれた。ここに、世界へ広がる創価教育の原点がある。
 次の五十年、百年へ、生徒第一、学生第一の旗を掲げ、人類貢献と平和共生の世界市民を、隆々と育成しゆくことを願ってやまない。
 

応戦の力に光を

 トインビー博士との対談からも、はや半世紀となる。博士は“生きた世界宗教”として、学会に鋭く着目してくださっていた。
 ロンドンの博士のお宅での対話では、現代文明の危機を越えるために、社会の課題に挑む中で、宗教が生命力を増しゆくことを強く望まれた。
 文明は試練の「挑戦」に「応戦」する中で成長するという「トインビー史観」に立てば、宗教もまた、時代の「挑戦」に勇敢に「応戦」することで、新たな飛翔を遂げるのだ。
 博士の大著『歴史の研究』では、哲人アリストテレスの詩論に由来する「ペリペテイア」――「役割の逆転」を意味する言葉に光が当てられている。博士は、人間の歩みの中で繰り返される逆転劇に、重要な歴史創造の原理を見ておられた。
 それは、苦難に敢然と立ち向かって押し返す「反転攻勢」、さらには「変毒為薬」にも通じようか。
 トインビー博士ご自身、“苦悩からも必ず何かをつかみとってみせる”という信条で生き抜かれてきた。
 その博士が最大に期待された「仏法中道の智慧」を一段と光らせ、我らはいかなる試練をも、民衆の希望と幸福の価値創造へ力強く転じていくのだ。

人間勝利の哲学と教育の道を共々に! 2004年6月、160番目の名誉学術称号を記念して飾られた同じ数のバラの花の前で。現在、世界の大学・学術機関から池田先生に授与された知性の宝冠は400を超えている(東京・八王子市の創価大学で)

人間勝利の哲学と教育の道を共々に! 2004年6月、160番目の名誉学術称号を記念して飾られた同じ数のバラの花の前で。現在、世界の大学・学術機関から池田先生に授与された知性の宝冠は400を超えている(東京・八王子市の創価大学で)

 
笑顔の花咲かせ

 広布の前進にあって、常に反転攻勢の曙光となり、変毒為薬の原動力となっているのは、創価の女性のひたぶるな祈りであり、たゆまぬ実践にほかならない。
 第一の「七つの鐘」が鳴り終わる一九七九年(昭和五十四年)のこと。私の妻は参加した座談会で、友に求められて色紙に記した。
 「不退転 七つの鐘 総仕上げの年」
 それは、全国・全世界の母たち、女性たちの誓いそのものであった。この深く熱き誓いのままに、障魔の嵐の中でも、不退の信心で同志を励まし、守り抜き、地域のために汗を流してくれているからこそ、師弟の大城は揺るがないのだ。
 来たる六月は、“創価の女性の月”である。
 六月十日は婦人部結成の日であり、四日は世界の華陽姉妹の日でもある。
 この六月、全国幾十万のグループを舞台に、語らいの花、笑顔の花、友情の花を咲かせゆく「女性部総会」が多彩に開催される。
 新しくグループ長として総会を迎える友も多い。
 「グループ」は、一対一の語らいを基本とした少人数の集いだ。肩ひじ張らず、ありのままの生命の輝きで皆の心に笑顔を灯していく会座である。これこそ、仏法に説かれる「桜梅桃李」「自体顕照」の園であろう。
 戸田先生は「顕仏未来記」の講義で、「不軽菩薩は初随喜の人」(新609・全507)の一節を通し、わかりやすく語られた。
 ――不軽菩薩は、信仰を始めたばかりの姿で、ただ喜び、嬉しい、嬉しいと広宣流布をするのである。
 私たちも皆、凡夫の姿のままで広布を進め、成仏の境涯になれるのである。ゆえに自分らしく伸び伸びと振る舞えばよいのだ、と。
 グループ員、そして参加した友人たちが、気さくに何でも語り合い、「来て良かった」と喜び合う団欒こそ、まさに平和の文化の行進そのものといってよい。
 

恩師と「婦人訓」

 七十年前(一九五三年)の五月十六日、私が文京支部長代理となって間もなく、戸田先生をお迎えし、意気高く支部幹部会を行った。この時、支部婦人部長の真剣な所信を聞いて、先生は“我が意を得たり”と、いたく感動された。
 そして翌十七日、足立支部の総会で、この所信に自ら序文を添えて「婦人訓」として発表し、全婦人部員に贈られたのである。
 そこには、「私たち婦人も本当に教学を身につけなければならない時がまいりました。今この時をはずさず、あらゆる機会に暇を生み出して、教学を身につけようではありませんか」「教学心は完全な信心より起こると確信いたします」と。
 「婦人訓」に喜びが広がる中、戸田先生は信頼する足立の友に呼び掛けた。
 「信心が深ければ生活は一変する。運命の転換ができるのである」と。
 わが友は今も、広布の最前線で、「足は経なり」(新997・全716)と軽やかに歩みを運ぶ。立正安国の対話を重ね、励まし合って前進する。創価家族一人ひとりの尊貴な姿こそ、「行学の二道」の鑑である。
 多様化する社会や環境の中で、「女子は門をひら(開)く」(新1902・全1566)との大聖人の仰せ通りに、豊富な「幸の門」を幾重にも開きゆかれる女性部の総会の大成功、そして皆さんの健康と長寿、和楽と福運を妻と共に祈っている。
 

創立100周年へ前進

 日本一の音楽隊と鼓笛隊の活躍は、目を瞠るばかりである。各地のパレードなどでも、見事な演奏と乱舞を繰り広げてくれ、心から感謝し、讃嘆したい。
 草創期、音楽隊の友と、各国の行進曲の特色を語り合う中で、わが音楽隊の演奏の特長が話題になった。
 私は、「それは『勇気』ではないだろうか」と申し上げた。誇らかに頷いた若き友の輝く瞳が懐かしい。
 「広布の楽雄」「平和の天使」の奏でる妙音とともに、「師子王の心」という究極の勇気に燃えて、異体同心の行進は続くのだ。
 戸田先生は言われた。
 「昔、旅人が一里塚、一里塚と追うて旅したごとく、七年、七年と、七里塚を越えては、広宣流布の道へ進もう」
 学会は今、二〇〇一年から始まった「第二の『七つの鐘』」のもと進んでいる。
 現在から近き未来を語れば、七年後の二〇三〇年は創立百周年である。
 広布と人生の勝利の鐘を打ち鳴らす主役は誰か――ほかでもない、それは自分自身と決めるのだ!
 まずは、自らが、いかに人間革命し、わが家、わが地区、わが地域をどう発展、興隆させていくのか。大志を抱き、具体的な目標を掲げ、一つ一つ楽しく粘り強く挑戦してもらいたい。
 世界平和の基盤を築く「第二の『七つの鐘』」の本舞台は、「これから」だ。
 世界に生命尊厳の哲学を広げる時は「今」だ。 
 きょうも、妙法と共に、我らの生命に希望と勇気の暁鐘を打ち鳴らしながら、創価凱歌のリズムで、朗らかな前進、また前進の節を刻んでいこうではないか!
  
(随時、掲載いたします)
  

 <引用・参考文献>トインビーの「ペリペテイア」への言及は『歴史の研究 第8巻』「歴史の研究」刊行会訳(経済往来社)など。