当日に向けた“ある活動”に成長の鍵があった ユースフェスタ・ルポ③=完(愛知・知多総県)2022年12月22日

清掃活動などSDGs達成に向けた取り組みが展示された

清掃活動などSDGs達成に向けた取り組みが展示された

 10月~12月にかけ、全国各地で開催された「SOKAユースフェスタ」。12月11日に半田文化会館で行われた愛知・知多総県では、当日に向けた“ある活動”の成果が光っていました。(取材=SOKAユースフェスタ取材班)。
 

 「自分でも驚くほど、メンバーが一人一人成長することができました」
 
 フェスタ終了後、こう率直に語ってくれたのは根木伸城総県青年部長だ。
 
 愛知県南部の知多半島にある5市5町を広布の舞台とする知多総県。根木総県青年部長は、2019年秋の就任当初、総県内の有名なランドマークである「中部国際空港」になぞらえ、“世界に誇れる広布の人材が集い合う”という組織ビジョンを描いていた。
 

当日の会場となった半田文化会館

当日の会場となった半田文化会館

 だが、その後、コロナ禍となると、学会活動は思うようにできなくなった。やがて再開したものの、一人一人と接していくと、さまざまな課題が見えてきた。「コロナ禍における厳しい社会経済状況の中で、活動に参加するのが難しいメンバーや、活動について友人・知人にうまく語ることができないメンバーが多くなったように感じました」
 
 そんなメンバーの成長の鍵となったのは、昨年12月から始まった中部男子部の清掃活動「マイタウンCFS(Clean For Smile)」だ。
 
 学会には、社会における存在意義や活動理念、行動規範を明示する「社会憲章」がある。そこには、次のような一文がある。「各組織はそれぞれの国、または地域の法令を遵守して活動を推進し、良き市民として社会に貢献する」
 
 「マイタウンCFS」は、この「社会憲章」に基づき、身近なところでできる国連のSDGs(持続可能な開発目標)達成に向けた取り組みとして企画された。「Clean For Smile」との名称には、“清掃によって地域に笑顔を広げたい”という思いが込められている。
 

「マイタウンCFS」についての展示コーナーを知らせる看板

「マイタウンCFS」についての展示コーナーを知らせる看板

 月1回程度の清掃活動をスタートすると、ある変化が生まれた。
 
 まずは、メンバーが妻や子どもと一緒に参加してくれたり、会館等での会合からは足が遠のいていたメンバーが参加してくれたり、顔が見える友が明らかに増えた。
 
 さらに、清掃活動に対し、行政や地元団体から感謝や賛同の声が寄せられるようにもなり、メンバーのモチベーションは、一段と上がっていった。
 
 「清掃活動中、たまたま通りかかった人から『どこの人たちなの?』と尋ねられ、『学会の青年部です』と元気よく答えると、『へー、そうなんだ』との驚きの声が返ってきます。こんなに自然に“学会宣言”をするなんて、これまでは全く考えられなかったとメンバーが語っています」
 
 中部全体では、これまで約1500人が参加。参加者からは「環境に対する意識が変わった」「同世代の仲間と楽しく活動できたので、また参加したい」といった声が上がっているという。
 

フェスタ当日も青年部の活躍が光った

フェスタ当日も青年部の活躍が光った

会館前に設置されたペットボトルキャップによるアートボード

会館前に設置されたペットボトルキャップによるアートボード

清掃活動の様子と共に展示されたアクセサリー

清掃活動の様子と共に展示されたアクセサリー

 迎えたユースフェスタ当日。清掃活動の成果や、メンバーの環境意識の高まりが光る企画が多くあった。
 
 会館の入り口で出迎えてくれたのが、巨大な「I ♡ CHITA HANTO」の文字。よく見ると、一つ一つが、清掃活動などで集めたペットボトルキャップだった。「今回集まったキャップは、認定NPO法人を通し、ワクチンに生まれ変わり、世界の子どもたちに届けられます」
 
 女性部の友から大好評だったのが、知多の海岸で拾った色とりどりのシーグラスを使ったアクセサリー作り。「どこからか流れ着いた海洋ゴミを有効活用することも、SDGsを進めていくための大切な一歩になります」
 
 さらに、フェスタでは、社会人大学院生として教育研究に励む女性部・浜えりかさんによる体験発表や未来部によるダンス、青年部による音楽演奏なども行われた。
 

女性部の浜えりかさんが体験発表を行った

女性部の浜えりかさんが体験発表を行った

防災ボトル詰め体験も

防災ボトル詰め体験も

 根木総県青年部長は振り返った。「一人一人にとって活躍できる場を創出することができれば、メンバーは、互いに触発し合い、思っている以上の力を発揮していくものなんだということを気付かせてくれました」
 
 一人一人の同志が、何らかの形で、自分は、こうやって地域のために貢献していると言えるものをつくっていく。そのことが、新たな時代を担う新しい人を育てていく鍵なのかもしれない。