〈民音ハートフル・インタビュー 明日へつなぐ芸術の力〉 ものまねタレント コロッケさん2022年9月21日
- 世代を結ぶ架け橋に

ものまねをするコロッケさん(右上から、五木ひろしさん、美川憲一さん、森進一さん)
――本紙では本年、五木ひろしさん、美川憲一さんのインタビューを掲載しました。お二人をはじめ、独自のものまね芸で私たちを魅了するコロッケさんの登場を心待ちにしていました。
大御所の方々が、歌への思いや信念を語っている中、私はものまねで“ぐちゃぐちゃ”にしてしまっていますが(笑い)。私なりに、ものまねの魅力をお伝えできればと思います。
――ものまねは、いつ頃から始めたんですか。
中学3年の時でした。ただただ女の子に“モテたい”と思って始めたんですが、全然だめで(笑い)。みんなを楽しませようとブルース・リーのものまねをしたら、一躍、人気者になりました。
以来、ものまね芸を磨いて、19歳の時に熊本から上京し、1980年に「お笑いスター誕生‼」というテレビ番組で芸能界デビューしました。

――ものまねをする上で心がけていることを教えてください。
やるからには、全力でふざけることです。それと、怒られないように、ものまねをする“ご本人”から逃げることですね(笑い)。
冗談はさておき、ものまねの魅力は、時代や人をつなぐ“架け橋”の役割を担える点でしょうか。
若い方には「昭和の大スター」の私のものまねを見て“ご本人”を知るという人もいれば、韓国のボーイズグループ「BTS」のものまねを通して今の流行を知り、子どもと会話が弾んだという親御さんもいます。
今は、スマートフォンなどの普及によって“エンタメ”も個々で楽しむ時代です。趣味や趣向が多様化する中にあって、ものまねが世代をつなぎ、笑顔と会話のきっかけになる。ここに、ものまねの可能性があると信じています。

――コロッケさんの前向きな姿勢は、お母さまの影響だと伺いました。
母が教えてくれた「あおいくま」という言葉があります。「焦るな」「怒るな」「いばるな」「腐るな」「負けるな」の頭5文字です。
これは、ずっと“人に対して”だと思っていました。初めて「ものまね王座決定戦」で優勝した時に、“自分に対して”の言葉だと気付いたんです。
「人に負けるな」だとその人のことを憎たらしく思わないといけない。だけど、それが「自分に負けるな」だったら相手を憎まなくてもいい。
そう考えるようになってから、“何のための”ものまねかを考えられるようになりました。
ものまねは“ご本人”がいて初めてできるわけですし、見てくれる方がいてこそ芸が成り立つ。
だから私は「相手が1番、自分は2番」と思っています。
「まねる」は「学ぶ」と同じ語源だそうです。私もまねる方を徹底して研究します。“ご本人がやりそうでやらないこと”が、自分の中からアイデアとして生まれるまで。
そうして出来上がったのが、五木ひろしさんのロボットダンスや、森進一さんのジュラシック・パークなどです(笑い)。今では、レパートリーは1000を超えました。

――民音公演が楽しみです。
実は私自身、人生初のコンサートは、母に連れて行ってもらった雪村いづみさんの民音公演なんです。舞台に立つ者としての出発点だと思っています。
その意味でも、感謝の思いを忘れず、全力で臨み、思い出し笑いをしてもらえるようなステージにしてみせます!
〈公演案内〉
民音公演「コロッケ スペシャルコンサート」が12月6日に東京で行われます。
【日時】12月6日(火)午後2時半、同6時半
【場所】東京・中野サンプラザホール
【主な予定曲】勝手にしやがれ、おふくろさん、契りほか
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