おはようございます。今日は天気がくずれそうですね。
毎日の積み重ねが大切。目標を持って、人間革命に邁進しょう!!今日もお元気で!!

〈Switch――共育のまなざし〉 親と“学会家族”で見守る「子どもの成長」
 東京・八王子市に暮らすある夫婦は、小学4年と小学1年の兄弟を育てる中、学会活動に参加しています。乳幼児期から学童期へと、直面する課題も変化の連続でした。夫婦で話し合い、子育てに取り組みながら感じたこと。それは「“学会家族”の皆さんと共に、子どもを見守ることの価値」でした。(記事=橋本良太)

子どもたちの夏休みの宿題に取り組む森上さん一家。両親は一生懸命な兄弟の様子を見守り、時にアドバイスを。夫婦共に「家族で一緒に過ごせる今を大切にしたい」と語る(右奥から時計回りに父・一樹さん、長男・勇真君、次男・誓冴君、母・尋子さん)
夫婦の対話

 2人の子どもを寝かしつけた後で、区男子部主任部長の森上一樹さん(区男子部大学校団長、男子部本部長兼任)と地区副女性部長の妻・尋子さん(白ゆり長兼任)は、夫婦で“お茶をしながら対話する時間”を持つよう心掛けている。 週1回の時もあれば2週に1回の時も、また、10分程度の短い時間の時もある。それでも子育ての課題について、雑談も交えて語らいを重ねてきた。  “対話”のきっかけは、2012年、長男・勇真君(小学4年)の誕生だ。一樹さんは当時、ガス販売会社で営業の仕事をしていた。休みは週に1日で、帰宅が日付を越えることもしばしば。勇真君が生まれてから1カ月が過ぎたある日、一樹さんが帰宅すると、夜泣きをする勇真君を抱えながら、わが子と一緒に涙を流している尋子さんの姿を見た。  「どうしたん、大丈夫?」と声を掛ける一樹さん。 「ちょっと、疲れてきたかも……」と答える尋子さん。  “ワンオペ育児”(ほとんどの家事、育児を一人で行うこと)の心身への負担は、尋子さんの想像を超えるものだった。早朝から、母乳を与え、おむつを替え、掃除・洗濯・料理、もく浴、寝かしつけ、そして夜泣き……。「寝不足の毎日が永遠に続くように感じられ、体力の低下と、ホルモンバランスの変化も重なりました」と尋子さんは当時を振り返る。 一樹さんは数少ない休日に家事と育児をし、平日の尋子さんの苦労に思いをはせた。 “せめて俺から笑顔を見せよう”と、職場から帰宅する際は、玄関の外で呼吸を整えドアを開けた。尋子さんが起きていれば、ジョークを言って場を和ませた。そして「今日はどんな一日だった?」と聞く。 それが、現在まで続いている“夫婦の対話”の出発点となった。

何気ない交流が

長男・勇真君が自作した新幹線の路線図。現在、最も熱中しているものが鉄道で、兄の影響で次男・誓冴君も電車が大好きになった
 関西出身の一樹さんは、少年時代に両親の離婚を経験している。母は懸命に祈り、働きながら、自分と弟を育ててくれた。「母への感謝が“わが子に関われる父親でありたい”という自分の願いにつながった」と感じている。 また、長男の誕生は、一樹さん自身が労働環境について悩み始めたのと時を同じくしてのことでもあった。 熟慮の末、一樹さんは尋子さんに「転職に挑戦したい」と告げた。勇真君が生後6カ月を迎える頃、専門商社に転職を果たす。収入は減少したものの残業は減り、土・日・祝日は休みとなり、家事と育児を担う時間が増えた。  もう一つ、一樹さんが多くの時間を割けるようになったことがある。以前から熱心に取り組んでいた創価学会の活動だ。 休日は勇真君と、さらに2015年に次男・誓冴君(小学1年)が生まれてからは2人を伴って、男子部の会合に参加した。気付けば、勇真君は幼稚園に入園する年に。数字が大好きになり、自分の体にペンで数字を書くほど熱中していた。 ある日の会合終了後、勇真君に、男子部のメンバーが会館の時計を指さしながら、数字に関するクイズを出していた。笑顔で時計を見つめ答えを言う勇真君の姿を目にし、一樹さんは男子部のメンバーに“ありがとう”と心の中で語り掛けたという。  実は当時、勇真君は、好きなことに集中力を発揮する半面、幼稚園での集団行動になじめずにいた。教員の呼び掛けを気に留めず、教室や園庭で自由に行動していた。 一樹さんは振り返る。 「会館で、親とも幼稚園の先生とも違う大人のお兄さんと、楽しく話せたこと。その何気ない交流が、勇真がその後、人とコミュニケーションしていく上で、大きな経験になったと思います」

父・一樹さん(左端)と共に会館に行き、男子部の友と交流する長男・勇真君(中央)。手を使って遊ぶゲームに勝って、会心のガッツポーズ!(八王子平和講堂で)
気楽に一緒に

 尋子さんにも、わが子への同志の関わりに感謝した出来事がある。 勇真君を連れて女性部の先輩宅での会合に参加した時のこと。勇真君が本棚から書籍を引っ張り出して、巻数順に並べていた。尋子さんが「やめようねー」と言いながら息子のもとへ向かおうとしたが、女性部の先輩は「いいのよ。好きなようにさせてあげよう」と言ってくれた。  「その言葉で、勇真の表情が穏やかになりました」と尋子さん。こうした経験を重ねながら、勇真君は幼稚園での生活に慣れていった。一方、次男の誓冴君について尋子さんは「お兄ちゃんとは正反対で人見知りが激しかった」と言う。「初対面の人の前ではあまり言葉が出ず、幼稚園の頃は、しばしば私の後ろに隠れていました。この時も“学会家族”の皆さんとの出会いが、誓冴を支えてくれたと思います」  尋子さんは日頃、地区女性部長である高松浩子さん(区副女性部長兼任)と共に訪問・激励に歩く。昔も今も、友のもとを訪ねる際は、ほぼ毎回、勇真君や誓冴君を連れて行く。

地区女性部長の高松浩子さん㊧と母・尋子さん㊥に同行し、地域を回る次男・誓冴君。夏休みの生活の様子などを高松さんに話しながら、得意の自転車で進む
 地域を歩きながら、高松さんが誓冴君に「何が好き?」と尋ねると、「電車! 八王子、豊田、日野、立川、国立、西国分寺、国分寺……」と暗記した駅名が返ってくる。長男の勇真君が初めに鉄道に夢中になり、兄の影響で誓冴君も電車が好きになった。  高松さんから「すごいねえ」と言われ、うれしそうにうなずく誓冴君。訪問先の家々でも、女性部の友から「よく来たね」「こんにちは」と言われるたび、「こんにちは」とあいさつを返す。尋子さんは「こうして言葉が返せるようになったのも、一緒に活動に出掛けて、人と交流できたおかげ」と。誓冴君は今年から元気に小学校に通っている。  かつて高松さんも、今は就職し独立した2人の息子を伴い、学会家族の輪に加わってきた。 「やんちゃな息子たちで、幼い頃は、会館に連れて行くたび、他の部屋の会合に“乱入”して、お騒がせしました(笑い)。でも、のびのびと過ごさせてもらったおかげで、人との関わり方を育むことができました。だから、親御さんには気持ちを楽にしてもらい、地区の同志も一緒になって、学会活動で動く日々を、楽しい“宝の思い出”にしていきたいです」

鉄道の路線図を作成する森上兄弟
受け継がれるもの

 まだまだ“子育て真っ盛り”の森上家。今年の春、尋子さんは“勇真が、まばたきをしていることが少し多いかも”と気になった。 子どもに同様の経験をもつママ友に相談すると、「珍しいことじゃなくて、“体質や癖”で一時的に見られることが多いらしい。真面目な子ほど気にするから、普段の生活の中で安心させてあげることが大切かも」と聞いた。  尋子さんは、“勇真に、長男としてしっかりしてほしいということを、要求しすぎていたのでは……”と自問したという。小学校の低学年までは、勇真君から不意に「僕のこと好き?」と聞かれることがあり、そのことも思い出された。春以降、尋子さんは息子たちへ、それまで以上に、「大好きだよ」と言葉にして伝えるようになった。  夫妻は、今後も子育ての課題は尽きないと思っている。大変だと感じる時にも、立ち止まって考えることで、改めて気付けることがある。それは“子どもの幸福”と、“そのために自分たち親に何ができるか”ということだ。 一樹さんは、「息子たちには好きなことを大切にして、自信をもって社会で生きていってほしい」と。尋子さんは「そのためにも、ありのままの姿を個性として認めてくれる“学会家族”と、子どもたちがふれあう機会をもち続けたい」と願う。

ブロックで遊びながら過ごす、森上家の団らんのひととき
 池田先生は語っている。 「友の嘆きに一緒に悩み、友の喜びをわが喜びとする。不幸に打ちひしがれている友の手を取り、励ましながら、ともに歩んでいく――これが学会です。こんな世界は、ほかにありません。言葉や、理屈で伝えるより、子どもを学会の世界に、じかにふれさせることが、いちばんしぜんな人間教育になる。学会そのものが、人々に『生命を与える』世界だからです」(『池田大作全集』第62巻、236ページ)  勇真君に、「パパとママはどんな人?」と尋ねると、こんな答えが返ってきた。 「優しいし、弟の誓冴が遊びたいと言うと、いつも遊んでくれる。必ず約束は守ってくれる」。そして学会活動に励む姿について、「会合に来た人たちに『ありがとうございます』と声を掛けたり、帰る時は最後まで見送ったりする。団長(男子部大学校団長)だからとか、白ゆり長だからやっているんじゃなくて、それが、きっとパパとママにとっての当たり前なんだよ。偉いなって思う」と――。親が子どもを見守るように、子どもは親の頑張る姿を見ていてくれる。 日常の学会活動それ自体が宝の思い出となり、子どもに明るい心が芽生えていく。その営みの中で、親の信念、生き方が、次の世代へ受け継がれていくのかもしれない。 

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